第14話 コイツ…ぶっ飛ばしても良いか?

 現在、俺の前には…円形のテーブルに八人の神と向かい合わせに座っていた。

 多分…神だとは思うんだが?

 なんかオリンポスの神殿みたいな柱に、ほとんど白一色の部屋に白い服を着た八人の男女が座っているから。

 すると、真ん中に座っている髪と髭の長い老人の様な男が俺に向かって言った。


 「こ~んぐらっちれ~しょ~ん(笑)」

 

 あまりにも軽すぎる祝福に殺意が沸いた。

 コイツ…ぶっ飛ばしても良いか?


 「素直な奴じゃのう…儂をぶっ飛ばすと申すか!」

 「え? ぶっ飛ばして良いのか?」

 「良い訳なかろう! 儂は八神の主神じゃぞ!」

 「じゃあ、俺は何の為に呼ばれたんだ?」

 「その前に…自己紹介をしよう。 まず、第一の女神・アヴェリシア…第二の男神・イヴァリアース…第三の男神・ウルヴェリアス…」

 「ん? ちょっと待て…じゃあ、第四の女神の名前はエルヴェリシアで、第五の男神はオルヴェンテスか? 更に第六の男神はカルヴァドスで、第七の女神はギヴェリアだよな?」

 「ほぉ…鋭いのう!」

 「当たり前だ! それぞれ俺が呼ばれた異世界の…世界の名前だからな!」

 「そう…儂らはお主が行った世界を管理するそれぞれの神という訳じゃ!」

 

 なるほど…それぞれの世界で手に負えなかった魔王を討伐させたのか?

 

 「残念ながら…それはちと違う! 儂らは…ゲームをしておったのじゃ!」

 「ゲーム?」

 「左様…事の初めは、アヴェリシアの世界に魔王を名乗る者が現れてな! そこで地球から適当な人間を選んでアヴェリシアの世界の住人に異世界召喚を教えて呼び出させたのじゃ…それがお主じゃ、不知火朔夜君。」

 「適当…だと⁉」

 「左様…最初は誰でも良かったんじゃ! 神々の世界も娯楽は少なくてな…一種のギャンブルみたいな物じゃ!」

 「俺の命懸けの冒険でギャンブルだと⁉ なら、勝敗は俺が死ぬかどうかか?」

 「それもじゃが、無事に魔王を討伐を達成できるかどうかもじゃな!」

 「へっ…へへ…へへへ……って、ふざけるなよ‼」

 

 俺の異世界召喚は…神々の暇つぶしの為に呼ばれたのか?

 俺は何度も死にそうな目に遭ったというのに…。


 「それで…イヴァリアースの世界にも魔王が現れたのじゃが、また適当な人間を選ぼうとしたら…多数決で前回の達成したお主をまたあの世界に送り込んでから見て居たのじゃ!」

 「おい、このクソジジィ…テメェ、ふざけるんじゃねぇぞ‼ また俺はゲームの駒として、何度も死にそうな目に遭ったのか⁉」

 「そして…またもお主がその世界を達成した。 その所為で…儂の賭け金がパーになったんじゃ!」

 「んなもん、知るか‼」

 「そして儂は、以前失った分を取り戻す為に…今度はウルヴェリアスの世界に、お主を含めた40人を送り込んだのじゃ!」

 「おいジジィ…お前、マジでいい加減にしろよ‼ あの時に何人死んだと思っているんだよ⁉」

 「じゃが…お主は生き残ったじゃろ?」

 「お前等は本当に世界を管理する神か?」


 コイツ等って本当に神なのか?

 邪神じゃねぇだろうな?


 「おいおい、聞こえておるぞ! 誰が邪神じゃ!」

 「関係ない人間を大勢死なせておいて…それが神のする事か‼」

 「言いたい事は解る…じゃが、まぁ聞け! ここまで生き残れたお主の勝負方法を変更する事になったんじゃ! これは半々に意見が分かれてのう…お主が世界を救って生き残る方と途中で断念して死ぬ方とな。」

 「俺が…どの世界でも死にそうな目に遭って魔王を倒していたというのに、お前等はそれを見て楽しんでいたのか⁉」

 「仕方ないじゃろう? 神々には娯楽が無いんじゃから…」

 「開き直りやがったなジジィ‼ あ、そもそもお前の名前って何だ?」

 「儂か? 儂は…」

 「まさか、地球とかほざかねぇよな?」

 「あぁ、それはない! 儂らは地球にいる神では無いからのう! 地球とは別の神じゃ!」

 「おいおい…この事を地球の神が知ったらどうするんだ?」

 「地球の神は…内緒でコッソリじゃ!」


 マジでコイツ等殺したい!

 本当にこんなのが神なのか⁉

 それにしても…俺は何故呼ばれたんだ?


 「その質問に答えてやろう。」

 「そっか…考えている事が筒抜けなんだもんな。」

 「先程から結構無礼な事を考えている様じゃな…許そう!」

 「そりゃどーも!」

 「今迄お主は、7つの世界を救って来た。 7つ目の世界を救った時、儂らはお主の前に姿を現してから全てを打ち明けようという話をしていたのじゃ!」

 「はい、では会えたのでこれで~~~~」

 「ちょっと待つんじゃ! 話は最後まで聞け!」

 「まだ何かあるのか?」


 ジジィは未だに名を名乗らずに咳払いをすると話を続けた。


 「要はお主にクリア報酬として…どんな願いでも3つだけ叶えられるギフトを与えるのじゃ!」

 「どんな願いも…とか言って、願ってみたらそれは無理だ…とか言わねぇか?」

 「お主は…儂らを見くびってはおらんか?」

 

 3つの願いねぇ?

 1つ目の願いを1億個に増やしてから、1個ずつの願いとかは可能…


 「そんなのは不可能じゃ!」

 「ほら、出来ねぇじゃねえか!」

 「あくまでも3つのみじゃ!」

 「なら…1つ目だ!」

 「なんじゃ?」

 「今迄の異世界召喚で死んだ者達を生き返らせてから…そうだな? どこかの島に復活させてくれ!」

 「それは可能じゃが…何処の島に送れば良いんじゃ?」

 「そうだな…人がいる場所で船や飛行機がある場所となると、子傘原島で頼む!」

 「良かろう! では次だ!」


 3つだけとなると…叶えたい願いは、あ!


 「2つ目は、異世界召喚で変化した現状をそのままの状態で…」

 「何か漠然としておるのぅ?」

 「俺の家族や幼馴染、そして異世界で使えた能力をそのまま元いた世界でも使える様にして欲しい。」

 「バランスの関係があるから全てとはいかないが良いか?」

 「あぁ、寧ろ世界を破壊出来る魔法とかは必要ないから別に要らん!」

 「わかった…それで次は?」


 あと1つか…

 まぁ、あと1つはなぁ?


 「これは願い事とは別に爺さんの名前をいい加減教えてくれ!」

 「儂か? 儂の名は…グヴェリオンじゃが?」

 「なるほど…では、最後の願いだが…」

 「む?」

 「俺を二度と異世界召喚に呼ぶな! それが3つ目だ‼」

 「な…何じゃと⁉」

 「そういう反応をするという事は…俺を8回目の異世界召喚させる気だったろ? 名前からしてどうもおかしいと思ったんだ。 あんたも自分の世界を管理しているんだろ?」

 「何でその事に気付いた?」

 「八神の名前だよ。 ア・イ・ウ・エ・オ・カ・キ…と来て最後がクから始まる名前だという事は、絶対に8回目の召喚をする気だったろ?」

 「ぐっ…」

 「これは出来ねぇとは言わせねぇぞ‼ 他の2つに比べたら、口約束程度でも出来る事だからな!」

 「お主も…中々知恵が回るのぅ?」

 「当たり前だ! こうでもしないと今迄の世界で生き残れなかったからな!」

 「わかった…お主の願いを聞き届けよう! 絶対にお主を異世界はせん!」


 これで…今度こそ本当に元の世界で静かに暮らせる。

 長かったな…殺伐とした生活が。

 そして俺は、目を覚ますと…フレイラッツの街の俺が作った邸のベッドで寝ていた。


 「後は三人と…ルリアという女も連れて帰るか!」


 今回の異世界召喚で死んだ者達となると…マサギも生き返るのか?

 あいつは別に生き返らせなくても良い…生き返っても島で一生暮らせ!

 そしてこれで全てが終わる…俺はこの時はそう思っていた。



 ~~~~~神々の間~~~~~


 「甘いのぅ、不知火朔夜君…異世界をするなという話じゃったが、異世界については問題ないじゃろうしな!」


 神々の策略は…まだ終わらない!

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