香水
私は肌が弱いから、香水は付けられないの。
そんなことを言っていた彼女が、ある日急に香水をつけ始めた。しばらくすると、髪を明るい茶色に染めた。メイクの雰囲気も変わり、季節がひとつ移ろうあいだに、彼女は別人になった。ずっと近くで見ていなければ、彼女が彼女であることに気づくことができなかったかもしれない。
女性の雰囲気が変わる理由など、恋愛に疎くてもすぐわかる。いつでもそばにいてくれる、そう思ってしまっていた自分が、今になっては涙が出るくらいに悔しい。
じゃあまた明日。
そう言いながら席を立ち、背中を通り過ぎていく彼女の、ドルチェ&ガッバーナなのか、ブルガリなのかの香水が、ぼくの心臓をぎゅっと締め付け、デスクから立ち上がれなくした。
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