朝焼けを待つ曇り空(文芸)


 午前5時45分。

 目が覚める。携帯で時間を確認し、ため息。


「まだ、日も出てない」


 つぶやいて、枕に頬を埋める。

 しばらくそうしてぬくぬくと温かい毛布と枕に守られて、まどろんでいると、目覚ましがなった。

 昨日の昼寝のアラーム。午前と午後を間違えてこんな時間になるなんて。

 起きていた自分は運がいいのか悪いのか。

 そんなことをおもいながら、アラームを止める。

 起き上がって、ひとのび。体の奥でミシミシと音がして、首を回したり腰をひねったりしてみる。

 そしてまだ暗い外を見るために、カーテンを開けた。

 ふと思う。


──朝日が見えるかもしれない。


 そう思ったら、あとは動くだけ。

 腰をあげて、台所へ。

 お湯をわかし、ココアパウダーをマグカップへ。あまくあまく砂糖を入れて、仕上げに隠し味のシナモンを入れたら、お湯を少し。

 ねばるチョコレートを再びお湯でとかしたら、簡易ココアのできあがり。

 白い温かい毛の上着を羽織、いざベランダへ。


 息が白い。


 寒い。


 雲が、空をおおって何も見えない。

 時計を確認して、日の出まであと、3分。


 1分。まだ、暗い。

 2分。まだ、雲の色は変わらぬ。

 3分。まだ、朝日は見えない。



 4分。5分。10分。


「なあんだ」


 空は相変わらず曇っていて、何も見えない。

 朝日が当たってオレンジ色になる建物も見当たらない。

 風ばかりがつめたくて、心地よいけれど寂しい。


 今日は曇り空、太陽は見えない。


 でも、外はほんのり明るい。


 そしてまた一日が終わる。


 翌日朝。5時45分に起床。


 今日も朝焼けをまつ。曇り空の下で。


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