世界は僕と君の手の中に(文芸)
その日、僕が見たのは世界の全てだったのかもしれないし、そうではなかったのかもしれない。
ただ僕は、それが世界の一部であるということだけは、確信していた。
君の隣で、広い、広い、どこまでも広い空を見て、大地を見て、僕はそう、思ったんだ。
世界はこんなにも美しくて、残酷で、とても両手で掴むことなんて、到底できないほど大きいと感じるのに。それでも確かに、世界は僕の手にあった。
君と手をつないだ、君と僕の手にあった。
「君は誰?」
「わたしは……」
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