青緑と炎
-N-
輸送車両にて。
軋む音楽を聴きながら、私は全面戦争に向かう車列の中で今これを書いている。
かつて、地球は青く、緑であった。世界は何処までも広がる大海原の地平線まで伸びて、山々は白き頂に枯れるまで自然の営みが広がっていた。
軋む音楽を聴きながら、避けられぬ全面戦争に思いを馳せて、これを書く。
地球には太古からの資源があった。人々はまだ見ぬ富を目指して、世界を駆けずり回った。
軋む音楽を聴きながら、輸送車両に揺られている。砂埃が車窓の向こうで舞う。
今やそれらは枯渇している。我々の、そして生き残るための争いが始まった。
人は過ちを繰り返す。
立てかけた愛銃を見るたびに、私の心はブザーに振れる。
人は過ちを繰り返す。
引きずるようなベースの音が、頭の中でこだまする。
人は過ちを繰り返す。
これで何人を殺し、そして生き残ったことに安堵してきたのだろう。
軋む音楽を聴きながら、私は過ちを繰り返す。
青緑と炎 -N- @-N-
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます