青緑と炎

-N-

輸送車両にて。


 軋む音楽を聴きながら、私は全面戦争に向かう車列の中で今これを書いている。

 かつて、地球は青く、緑であった。世界は何処までも広がる大海原の地平線まで伸びて、山々は白き頂に枯れるまで自然の営みが広がっていた。

 軋む音楽を聴きながら、避けられぬ全面戦争に思いを馳せて、これを書く。

 地球には太古からの資源があった。人々はまだ見ぬ富を目指して、世界を駆けずり回った。

 軋む音楽を聴きながら、輸送車両に揺られている。砂埃が車窓の向こうで舞う。

 今やそれらは枯渇している。我々の、そして生き残るための争いが始まった。


 人は過ちを繰り返す。

 立てかけた愛銃を見るたびに、私の心はブザーに振れる。

 人は過ちを繰り返す。

 引きずるようなベースの音が、頭の中でこだまする。

 人は過ちを繰り返す。

 これで何人を殺し、そして生き残ったことに安堵してきたのだろう。


 軋む音楽を聴きながら、私は過ちを繰り返す。

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