第276話 自由行動
僕は重い剣を片手で持ち、店員さんに手渡す。店員さんもドワーフ族なので練習用の重たい剣を持ってもそこまで重たそうに持っていなかった。
「ご購入ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております」
店員さんは僕に頭を下げてきた。僕も会釈をしてその場を去る。
今回買った剣は一本で金貨二○枚。僕は剣を持って外に出たあと、パーズに手渡す。
「はい、パーズ。大切に使うんだよ」
「……ありがとうございます……」
パーズは練習用の重い剣を持ち、ペコリと頭を一度下げてきた。
僕はパーズの頭を撫でながら剣を見つけた悦びを分かち合った。
僕とパーズはお店の外で待機している皆のもとに戻る。
「皆、お待たせ。おとなしくしてたかな?」
「ハーイ」×子供達。
「それじゃあ、皆はモモとナロ君に手を繋いでもらってだったら、お店の中を回ってもいいよ。他のお客さんに迷惑を掛けないようにね」
「ハーイ」×子供達。
「モモはミルとマルをナロ君はパーズとハオの面倒をお願いね。時間は一時間くらいにしようか。待ち合わせ場所は一階にある休憩所にしよう。いいかい皆。もう一度言うけど、くれぐれも人に迷惑を掛けないようにするんだよ。分かった?」
「ハーイ」×子供達
「それじゃあ、いったん解散。一時間後に一階の休憩所に集まるのを忘れないようにしてね」
僕が一度手を叩くと子供達はモモとナロ君の手を引っ張って見に行きたい場所に早歩きで向かう。走っていないのを見ると賢いなと感心してしまった。
「主~、どこいく?」
エナは僕の手を握り、顔を覗き込むようにして聞いてくる。
「エナの行きたいところでいいよ。エナはどこに行きたい?」
「ん~、エナはね……、主とならどこでもいいよ」
一番困る回答をされた僕はエナと一緒にただぶらぶらと歩くことにした。
四階をぶらぶら見て回って何か面白そうなものがあれば手に取って試してみる。
魔法陣が描かれている罠の体験が出来る場所があり、エナが試しに罠を踏んでみるとエナの体がクルクルと周り始め、眼が回ってしまい、真っ直ぐ歩けなくなっていたのを見て僕は笑ってしまった。
眼が回ったエナは頭をふらふらさせて酔っぱらった人のように千鳥足になっている。
「あ、あるじぃ~、真っ直ぐあるけな~い」
「あんなに回ったらそうなっちゃうよ。罠なんだから発動したらいい効果が出る訳でもないし、よく踏もうと思ったね」
「何か、面白そうだったから……。ついふんじゃった。そしたから体がくるくるって回って止まらなかった。面白かったけど、止まったあと、あまたグワングワンして全然前に進めなかった」
「いっまもまだ視界が回ってるみたいだし、危ないからもう乗ってはいけないよ」
「はーい」
僕達はお店の中をぶらぶらしていると握力が分かると言う器具を見つけた。
エナがやりたいと言うのでお試し品を渡す。
取っ手の部分を思いっきり握ると、矢印が回り、矢印の止まった一が握力なんだそうだ。
エナは右手で握力を測る器具を握り、どれほどの力があるのか調べた。
「ふっ!」
「パチンッ!」
エナは四五○キログラムを優に超え、矢印が一瞬で振り切れた。
「主、エナはどれくらいなの?」
エナは器具の数字を僕に見せてくる。
「あまりにも一瞬で分からなくなっちゃったよ。人ようだから獣人の力は測れないのかもしれないね」
僕はエナから器具を受け取り、矢印がゼロに戻ったところで僕も試してみる。
「ふっ!」
『バギシッ!』
「あ……。やってしまった……」
器具の持ち手がぺしゃんこになってしまった。
これでは握力を測れないのでどうやら壊してしまったらしい。僕はお店の人に弁償し、何度も誤る。
僕は出来るだけ物に触れないようにしなければなららないと思った。そうしなければ何でもかんでも壊してしまいそうだったからだ。
僕達は四階のお店を一通り周り、三階に向う。
エナは三階のお店を回るごとに大はしゃぎ。
本や玩具、色々な刺激で溢れており、表情からしてとても楽しそうだった。
本をパラパラと読んだらすぐに内容を理解し、玩具を渡したら一日中ずっと遊んでいそうなくらいはしゃいでる。
子供なのに子供っぽくないと言うか、元気過ぎて困ると言うか……。
どうしようもないくらい嬉しそうにしている姿を見ると平和だなぁと感じる。
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