第90話 隠し事

コルトが意識を閉ざしている時…。


「いいモモ…。しっかりとコルト君の傍にいるんだよ。モモの気持ちはちゃんとコルト君に届くから!」


「な! ルリさん、何を言ってるんですか… ご主人様に聞こえてしまいます…」


「大丈夫、今のコルト君…なぜかボーっとしてて何も耳に入ってないから。それより買ったあれはちゃんと付けるんだよ…。いい! 3か月後にどうなっているのか見に行くからね! 性の付く食材いっぱい買っていくから!」


「ななな…な、何を…、どうしてそうなるんです…か…」


「だって…、モモ…ずっとコルト君の方をチラチラ見るんだもん…。大丈夫! コルト君なら押せば落ちる! グイグイ押して押して、押しまくるの! 獣人族と人族は子供出来ないって言われてるけど…あれ嘘だから…。めっちゃ低い確率で出来ちゃうから…。うん…既成事実を作ってさっさとコルト君を取らないと他の人に取られちゃうよ…」


「あわあわわ…、ななな…何で、ルリさんがそんな話を…」


「この先どうなるか分からないでしょ。コルト君はしないと思うけど…、体罰とかあるかもしれない…、そうならない為には愛情が身を守る一番の防御策になるのよ。愛情のある相手の仲間には手出ししないでしょ。子供たちに危害を加えない為にも…モモが頑張らないと…」


「で…でも…」


「モモはコルト君を嫌いじゃないでしょ…、まぁ私達の中でコルト君を嫌いな子はいないと思うけど…」


「わ…分かりました…、私…頑張ります…。なんだかご主人様なら大丈夫な気がしてきました…」


「お、やる気になったね! いい、無理する必要は無い。本当にそうしたいと思った時行動しなさい。あれは愛がないと相当キツイから…。コルト君なら誰でも愛しそうだけど…」


「トラウマを克服できるように…頑張ります…。それに…、この白髪も…」


「まだ気にしてるの…、まぁ仕方ないけど…、正直に話せばきっとコルト君は親身に聞いてくれるよ…。それに今のところ何も悪い事態にはなっていないじゃない」


「いえ…、ご主人様の腕に剣先が刺さったり、水魔法を3発も受けてしまったり、さっきのSランク冒険者さんに絡まれたのだって…。全部私のせいです…。呪われた白髪のせいで…、ご主人様にご迷惑を…掛けてしまうのではないかと、不安で…」


「モモ! 顔を上げなさい。そんな暗い顔をしてたら悪い事態を引き寄せちゃうでしょ! モモは笑って、コルト君の傍にいればいいの。きっとコルト君ならどんな厄災でも薙ぎ払ってくれる。だって見たでしょ、強そうな人を吹き飛ばしたあの強さ。神様の様な筋肉、全てを押しつぶす威圧感、どれも私達の体を震わせるほどすごい迫力だった。モモはそれを見てコルト君が気になってるんじゃないの?」


「わ…私は…、ご主人様の寛大なお心遣いに…」


「なら、その寛大なお心に甘えちゃいなさい。今の歳からでも十分甘えても大丈夫だから、モモ…まだコルト君に撫でられてないでしょ。コルト君の触り方…相当エグイから覚悟しておきなさいよ。あれに慣れたら…誰に撫でられても感じなくなるから…」


「そ…相当ですね…。わ…分かりました…、まずは頭を撫でて貰う所から始めます…」


「その意気よ! 頑張ってね。私も頑張ってお金貯めるから!」


「は…はい。頑張ります」

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