第86話 我慢できるかな…

「主~。エナ~歩き過ぎてお腹減った~。いっぱい食べたい~」

「マルもお腹減りました!」

「えっと…ミルも…」

「ハオ様はでっかくなる為に勿論デカいのを食べる!!」「……特大で……」


子供達はいっぱい食べたいらしいので特大にする。


残りの4人は…聞く必要がなく特大にした。


僕は中にしておく。


「それじゃあ、唐揚げ定食は中1つ特大4つ、お子様ランチは特大5つでお願いします」


「お子様ランチも特大でいいんですか…。結構…いや超量が多いですけど…」


「えっと…多分問題ないと思うので、お願いしてもいいですか…」


「は、はい…私達は問題ないですから…。お会計は…唐揚げ定食:中・銀貨1枚、特大・銀貨3枚×4、お子様ランチ:特大・銀貨3枚×5ですので…、銀貨28枚ですので小金貨2枚と銀貨8枚です」


「ギルドカードでお願いします」


「はい、ではこちらのスキルボードに翳してください」


僕はスキルボードにギルドカードをかざす。


「ガオン」


「はい、ありがとうございます。完成しだいお持ちいたしますので、好きな席でお待ちください」


「分かりました」


僕は、どこか皆で座れる席はないか探した。


しかし、10人が座れる長テーブルは無かった。


5人テーブルを2つ使い、くっ付ける。


簡易的な長テーブルを作り、皆を座らせた。


「主~ お腹減った~ 」


「そうだね、もう少し待てば美味しい昼食が食べられるから、一緒に我慢しようか」


「我慢…エナ、我慢苦手…」


「でも、我慢すれば凄く美味しい昼食が食べられるんだよ。エナは食べたくないの?」


「食べたい…。うぐぐ…、エナ…頑張って我慢する…」


エナは自身の小さな手で口をぐっと摘まみ、アヒル口にして我慢した。


ただ…我慢しすぎて口もとから涎が垂れてしまう…。


「あらら…えっと、ティッシュ、ティッシュ…。あ、ナロ君そこのティッシュを取ってくれる」


「これですね…」


僕はナロ君からティッシュ箱を受け取ると、二~三枚ティッシュを抜き取り、エナの口から垂れる涎を拭き取る。


「凄い我慢してるな…。ちゃんと息してるのか…」


「ふぁ~! はぁはぁはぁ…もう、息我慢するの…無理…」


「いや…息するのを我慢してたんかい…。思わず突っ込んじゃったんだけど」


「フフフ…エナは主の命令絶対に守る。ご飯の誘惑に何て…負けない」


「へぇ~、ほんとかな…。料理が来ても僕が良いよって言うまで食べるのを我慢できる?」


「エナは出来る。エナは誰よりも我慢できる! 」


「それなら、エナは皆より5分我慢出来たら本当に意志が強いって認めてあげよう。エナ、やってみるかい?」


「5分? 主~それは指の数何本?」


「そうだね…300本かな~」


「さ…300…、エナ…指の数、足を合わせて20本しかない…。主~、エナの指じゃ足りないよ~」


ーー指の数を足し合わせられるんだ…、まだ小さいのに、誰かに教えてもらったのかな。


「心配しなくてもいいよ。ギルドに掛けられている大きな時計の針を見て居れば分かるから」


「ほんと?」


「うん、ほんとだよ。あ…丁度来たね…」


「お待たせしました~。中・特大:から揚げ定食と特大:お子様ランチをお持ちしました」


「えっと、僕が中・から揚げ定食で身長が高い獣人さん達は特大から揚げ定食です。子供たちは皆、特大お子様ランチなので、前においてあげてください」


「分かりました」


店員さんは両腕で抱えるほどの、お子様ランチを1つ持っている。


――いや…お子様の食べる量じゃないぞ…。このお子様ランチ…。僕のから揚げ定食の5倍はある…。何だよその皿…ほぼ盥と同じ大きさじゃないか…。


特大のから揚げ定食はもうから揚げの山…。


昨日食べたから揚げのように山盛りになっている…。


皆は手を合わせたあと、食べ始めた。


エナと僕だけはまだ箸とスプーンに手をつけていない。

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