第44話 寝起きの思考…

翌日の朝


――う…うう…ん…何か体が重いな…いったいなんでだ…。


僕は朝っぱらから金縛りに合ってしまったのか体は上手く動かない…。


「う…うん…ななんだ…なんでこんなにベタベタになってる…って…」


「あ…主~起きた…~ エナをなでなでして~」


「エナ…どうして星形の部屋に…ん?」


僕の左手は何かに持ち上げられる。


「な…ミルも…どうしてこっちの部屋に居るんだ?」


僕は寝ぼけた頭で必死に考える…しかし、子供の頭の中は全く分からない…。


「頭に手を置かれても…何か言ってくれないと…僕、分からないよ?」


「主様に…なでなでしてほしいの…」


「あ、ああ…そうだったのか…、分かったよ…よしよし…」


「んぅっ…うぁう…」


僕が頭をなでるとミルは眼をキュッと閉じて細くてしなやかな尻尾をフリフリ揺らす。


「主…エナも…~ エナもなでなでして~」


体を踏みつけるように四つん這いになっていたエナは…ミルと同じように僕の右手を自分の頭に乗せる。


「はいはい…」


僕は言われるがまま優しく撫でてあげると気持ちよさそうにふさふさの尻尾を大きく振った。


「ふぁわう~♡」


「はい…おしまい。2人とも…満足したかな?」


「あ…主様…もっと…おねがいします…」


「主~エナにも~いっぱい~なでなでして~」


「はいはい…。2人が満足するまで…撫でてあげるよ…」


――僕のベッドにエナとミルはあがってきていた、そして今頭を撫でている…。鍵かけてなかったかな…。まぁ良いか…。


ベッドの上から周りを見渡すと…いるはずの無い女子組がなぜかみんな星型の部屋にいた


「あの~、女子組はどうして星形の部屋に居るんですか…。女子組は花柄の部屋で寝てたんじゃ…」


「いやぁ…ちょっと寝れなくて…。どうしても、昔のトラウマが合ってですね…」


「私も…夜…寝るの…怖くて…」


「そうだったんだ。ごめんね、気づいてあげられなかったよ…。できればもっと早く言ってくれてたら、怖い思いさせずに済んだのに」


「いえ、ご主人様は悪くありません…。ちゃんと言えなかった私たちが悪いんです…」


「それは違うよ。聞かなかった僕も悪い…。これで何方も悪い。つまりどちらも悪くない…裏の裏は表だからね」


「何ですか…それ…ふふ」


――ちょっと笑ってくれたな…。良かった、少しでも心を開いてくれたって事だろうか。


「主~ぎゅ~てして…」


「甘えん坊なのか…エナは…はいはい。ぎゅ~」


「スンスンスン…主の匂い…落ち着く…」


「そう…それなら良かったよ。エナは怖い思いしなかった?」


「した…、エナ、1人しかいなかった…。暗くて…ちょっと怖かった…。だから…こっち来たの」


「そうか…一緒に寝てあげたほうが良かったかな…」


僕は近くにおいてある時計を確認し、現在の時刻が午前7時と丁度いい時間の為、早起きをしようと思いたった。


「良し、皆起きよう。ほら、エナも起きよう。寝ぼけた顔してたら、朝ごはん食べられないよ」


「朝ごはん…食べる…」


「それじゃあ、皆顔を洗って歯を磨いたらもう一度ここに集合」


僕がそう言うと、年齢の高い4人はキビキビ動き出し子供を1人ずつ持ち上げ、洗面所の方へと向かって行った。


「エナは僕と一緒に行こうか」


「あい~!」


右腕に抱き着き颯爽と噛みついてくる。


「またか…、僕の腕は美味しいかい?」


「美味しい…、でもなんかクラクラする…」


「それはヤバい食べ物だな…、早く放しなさい。朝ごはん食べられなくなるよ」


「ふぁい~」


「嚙みながら、返事しない…はぁ」


僕はエナを抱きかかえ、洗面所の方へと向かった。


「あらま…大渋滞…。これじゃあ時間が結構掛かっちゃうな…」


洗面所は各フロアに1つしかない為、各フロアに止まっている人たちが皆こぞって使いに来るのだ。


「まぁ安いから仕方ないんだけど…。ん? エナ…どうしたの? モジモジして…」


「主~エナ…おしっこ、行きたい…漏れそう…」


「な! それはマズイ! なぜもっと早く言わなかったんだ!」


「エナ…場所~ 分からない…から」


「言えば連れて行ってあげたのに、というか部屋にトイレ合ったでしょ。扉開けなかったの?」


「手え…届かなかった…」


「それじゃあ仕方ない…」


僕は急いで星形の部屋まで向かい、あと数秒でトイレの扉を開けられるところまで来たのだが…。


「生温かい…。はぁ…間に合わなかったか…」


僕の右腕から右足までの体をつたう生温かい液体は…部屋の床へと滴り落ちる…。


「エナ…大丈夫?」


「う…う…うぅ、あるじ~…。ごべんなさい…エナ…おしっこ…漏らし…ちゃった…」


「別に良いんだ、気にしなくて大丈夫。ほんとに大丈夫だから…、すぐ拭いてもらえば匂いも気にならないよ。後で僕が掃除すればいいだけだから。エナは何も悪くない。子供の生理現象だからね…」


「う…うぅ…あるじ…」


エナは僕の胸に抱き着きながら体をこすりつけてく…。


「??」


「これで…主はエナのもの…~♡」


「はは…盛大なマーキングだな」


「あの~コルト君…って! エナ! 漏らしちゃったの!」


「あ、すみません。ルリさん。宿の人呼んできてもらえますか。タオルと水、雑巾なんかも宿の人に言えば何とかしてくれると思うので」


「わ、分かりました。すぐ行ってきます」

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