第43話 子供の歯磨き

僕は子供たちの歯を磨く手伝いをしてみる。


やってみると中々大変で、…人と結構歯の形が違うため磨くのにとても苦労した。


「こら、エナ…。指をかんじゃダメだって」


「主~の手が食べた~い」


「怖いこと言わないで! 口あげて、はい…あ~ん」


「あ~ぶ」


――な~、また噛んできた…。エナの身長に合わせて中腰の体制をしてるけど…キツイ…。それに…歯を磨くの難しい…。なんとか慣れていかないとな…。


「それにしても…、皆はなんでほかの4人の所に行かないの? 多分あっちの4人の方が歯を磨くの上手いと思うよ…」


「主様にやって貰いたい!」

「私も…」

「…僕は出来るけど…仕上げで…」

「歯ブラシまずい!!」


「はは…。ちょっと…待っててね~。子供たちは分かるけどさ…な~んで君たちが居るの?」


子供達の後ろに、歯ブラシを持ったハルンさんとルリさんの姿が…。


「え? あ~いや別に特に理由は無いですけど…」


「そうです、そうです…。特に理由は無いですけど…」


――物欲しそうな目で見られても…流石にそれは出来ないな…


「2人の歯は磨かないからね?」


「………はい…」


「………はい…」


あからさまに落ち込む2人…。


しかし、ここは大人としての自覚を持ってもらいたい。


エナから1人ずつ歯磨きし終わるのに、とても時間が掛かってしまった。


最後に磨いたハオは、寝る寸前で全く動かず凄くやりやすかった。


「zzzz…」


「ほら、ハオ。口の中にある水を出して…飲み込んだら駄目だよ…ダメだからね…」


「zzzzzz…ごぼごぼ…」


「溺れたみたいな音出さないでよ…。怖いじゃないか…」


僕はハオを抱きかかえ星形の部屋に戻る。


洗面台は部屋に無く廊下の一か所に設置されていた。


どうやらその洗面台には井戸水が引かれているらしい。


桶1杯で銅貨1枚らしく、良心的だ。


飲み水ではないらしいので、吐き出さないといけないのだとか。


「よし、それじゃあ…寝る部屋はさっきと同じで、花柄の部屋は女子、星形の部屋は男子ということで…いいよね」


「はい…分かりました」

「大丈夫です…」


女子はモモとルリさんしか起きていない。


マル、ミル、エナ…は夢の中だ…。


男子もハルンさんとナロ君以外夢の中…。


「明日の朝、食堂に行くとき扉をノックするから。それじゃあ…お休み」


「はい、お休みなさい…ご主人様…」

「お休みなさい、コルト君」


女子組はマル、ミル、エナを抱いて花柄の部屋に入って行った。


「さてと…僕たちも、星形の部屋に行こう…」


「はい…」


僕とハルンさんでパーズ、ハオを抱いて、ナロ君は後ろからついてくる。


男子組は星形の部屋に入り、睡眠の準備を始めた。


「さてと…ベッドが2つ。子供たちは落ちたら危ないから床に布団を敷いて…布団の上で寝てもらおう。僕は…床でもいいけど…二人はどっちがベッドで寝る? それとも二人ともベッドで寝たい?」


「いやいやいや…。自分たちは床で寝るので、コルトさんは気にせずベッドを使ってください」


「でも、ベッド…1つ余ってるの勿体ないよ。なんなら二人で一緒に使っても良いかもしれないけど…ちょっと狭いかな…。まぁ…好きな様に使ってよ。僕はちょっと疲れたから…先に寝かせてもらうね…」


「はい、自分たちは…もう少し考えます…」


「うん…そうするといいよ…」


僕は疲れすぎていたのか、すぐに眠ってしまった…。


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