第19話 スキル名『バーサーカー』

「すげ~、めっちゃテンション上がるな。…あ…名前何だっけ?」


「はぁ…コルトで良いよ」


僕達はドリミア工房に入店し、武器を虱潰しに見ていくことにした…。


余りの広さに目が回ってしまいそうになるが、ちゃんと見やすい用に工夫して陳列されている。


僕達が今見ているのは…大剣、長剣、中剣、短剣、双剣、此処はどうやら剣のコーナーらしい。


あっちには槍…弓…盾…etc... 。


それぞれの武器に各コーナーが設けられており自分の好きな武器を選びやすい用になっている。


「それじゃあ、コルト。俺に1番似合いそうな武器はどれか選んでくれ!」


「いや…自分で選びないよ。リューズの使う武器なんだから…」


「ん~、まぁそれもそうなんだが…。俺自身どんな武器を使えばいいのか全く分からん!武器の使い方もさっぱりだ!」


――いや…じゃあ何で冒険者になったんだよ…武器の使い方すら分からないとわ。


「はぁ…何言ってるの?冒険者になったのに武器の使い方が分からない…。ホントに言ってる?」


「ああ!ホントのホントだ、なんせ俺は武器を一度も触ったことが無いんでな!成人になっても親の脛をかじり続けるのはなんか嫌だったからよ、自分のスキルに合う仕事をギルドに行って聞いたら、『冒険者をお勧めします』って言われてさ。は~、なら冒険者になるか!ってすぐ冒険者登録済ませてきた所に、コルトが居たってわけ!」


「何だよ…それ、まぁ良いや。それでリューズの『スキル』は何なの?まず教えてくれる。教えられないならどんな能力かだけでも良いからさ」


「ああ。俺のスキルは『バーサーカー』って言う強そうな名前のスキルだ。まぁ、俺の実家では、全く使えなかったんだけどな。親にもガッカリされたよ。不遇スキルなのか?」


「『バーサーカー』って…何でスキルを調べようとは思わない分け?成人ってことは15歳…だろ。僕と同じじゃないか。普通すぐスキル辞典とか開いて自分のスキルを確かめようとしなかったの?」


「ああ、別に興味なかったからな。スキルなんて無くても普通に生きていけてたし。14歳までただ言われるがまま勉強して、1年間親父の仕事手つだって、たらたら生きてたらいつの間にか成人になってたんだよ。『親父の仕事を継ぐよ!』って言ったら、『お前はバカだから無理だ』って言われて、じゃあ仕方ないから『何か仕事探すしかないじゃん』ってなったわけ」


「まぁ、そう言う家庭もあるんだね…。確かにリューズは『バーサーカー』っぽい性格してるよ」


「なんだよそれ、どういう意味だ?」


「特に深い意味は無いけど…。まぁ『バーサーカー』は強いよ。冒険者としては大当たりのスキルだ。貴族も欲しがるレアスキルだと思うよ」


「そうなのか。じゃあ『バーサーカー』に合う武器はどれだ?」


「ん~、大剣か…。大斧、大刀、とかまぁとにかくデカイ武器が使いやすいと思うよ。小さいとどうしても力負けして武器が壊れちゃうことがあるから。とりあえず手あたり次第いろんな武器を握ってみてさ、『これだ!』って言う武器を探してみてから色々考えてみたら良いんじゃないかな」


「なるほど…、じゃあ…ちょっくら物色させていただきますかね」


リューズは店内に陳列されている武器を見ては握り、持ち上げ一度振る。といった工程を何度も繰り返している。


――ああ見えて結構マメなのかな…。僕も何か1本くらい見て行こうかな…、せっかくだし。


「それにしてもやっぱり冒険者さんたちが多いな…。どこ見ても冒険者さんしかいない。こう見ると、男女半分半分くらいなんだな…。武器を見に来ているのは新米冒険者さん達か、報酬が入って結構高い武器を見に来た中堅冒険者さん達かな。武器のメンテナンスを行っているのは上級冒険者さんかも。みんな自分好みの武器を使ってるんだ…。そりゃそうだよね、自分の命を守るための武器なんだから、絶対に妥協なんてしたら死んでも死にきれないよ」


僕は、自分が昔使っていた剣を物色しようとした…が。


「お~い!コルト、俺はこれに決めたぞ!」


先にリューズが自分の武器を決めたみたいだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る