第14話 アイクさんと同じ、Sランク冒険者
「俺は今から神言とやらを聞きに来てやったんだよ。邪魔だ、どけ!この愚図ども!」
ドマリスは後ろに他の冒険者を3名ほどつれている。
「ねえ、ドマリス、いっそ殺してあげた方がこの物乞い達も嬉しがるんじゃない?」
「そうかもな、だがこいつらの汚い血を俺の『清王剣』に吸わせるわけにはいかねえだろ。いくらすると思ってるんだ」
「それは確か、虹硬貨5枚…つまり5億円くらいで、とあるドワーフに作らせたものですよね。作り終えた後ドワーフは自殺したとか言われてますけど」
「それだけの最高傑作の一振り何だろ。イイじゃねえか」
――後ろに居る3人も確か…全員Aランク冒険者の…魔導士『メリル・トルキス』聖女『メアリー・ハストン』武闘家『キリス・サザリエ』…。どうしてここに…。
「おい、神父の爺…ここでアイクが神言を受けたのは本当か?」
「は…はい、そのように伝えられております…」
「ほ~、じゃあ俺も神言を受けられると言う事だな」
「い…いえ、アイク様が神言を受けられてから既に70年以上たっております故…。それに、アイク様以降…この場で神言を受けた者はいないのです‥‥」
「はぁ…俺様が受けられないとでも思ってるのか?舐めた爺だなホントによ…昔っからクソうぜー面しやがって…」
「そ、そんなことを言われましても…うぐ…」
ドマリスは神父様の首元を掴み、高く持ち上げながら威圧するように言った。
「さっさとアイクが神言を受けた場所に連れていけ。こっちは時間を潰して来てやってるんだ。忙しい身なんだよ俺はな。これからSランク任務なんだわ。魔王復活の兆しが見えたらしいからよ、魔王をぶっ殺す前に、肩慣らしに行かなきゃならねえんだ。分かるだろ」
「は…はい、只今…」
観光客も信徒も全てを避けさせ、道を作らせる。
「ほう…ここが祭壇か…、いっちょ前に決壊何て張りやがって。ふ!!」
ドマリスの持つ『清王剣』が祭壇までの道を塞いでいた決壊を貫通する。
決壊はガラスのように罅が全体に巡り、今にも崩壊しそうだ。
ドマリスが柄を回転させると、剣身も回転し決壊が崩壊した。
決壊の崩壊する音は、ガラスというよりも水晶玉を落としたときのような音に近い。
教会内に反響し、美しい音色が外の入り口にまで聞こえた。
「はぁん、ザコい決壊だな。何のスキルも使わずに壊れるなんて、いったい誰がこんなもん張ったんだ、もっとましなもん張れよな爺」
ドマリスは何事も無かったかのように祭壇に向かう。
七色の光集まり一筋の光が差し込む場所へと移動し、その光を全身に受け止めた。
「…………」
「どうしたの、ドマリス?」
「何か聞こえますか?」
「おーい、聞いてるのかよドマリス」
「は、何も起こらんし、何も聞こえん。やはりただのおとぎ話であったか…。俺レベルが神言を受けられないとなると、この世の者たちではだれも受けられないと言う事になるな。時間のむだだ、さっさと任務に向うぞ」
「了解」×3
ドマリスは何も聞こえないと知り、潔く大聖堂から出てきた。
数人を罵倒した後、ギッラギラの馬車に乗り込んで、そのまま大聖堂を去って行った。
「あんな人がSランク冒険者だなんて…なんか悔しいな…。本来の冒険者は探求する者、あんなに威張っていいものじゃないのに…」
「え…皆さん大変申し訳ございませんでした。大聖堂内で大変ご迷惑をおかけしてしまい、謝罪の言葉を申し上げます」
神父様が観光客の人々や物乞いの人たちに謝罪の言葉を述べている。
「お詫びとしてはなんですが、決壊が壊されてしまったため本日限りで、どうか祭壇の方へとお越しください。その眼で七色の光を感じてもらえると、嬉しく思います。本来は12月の生誕祭、1月の神言祭時にのみ公開されるのですが、本日は私の特例処置として対処させていただきます。入館料はいりません。どうか先ほどの事をご内密にお願いいたします」
――え…祭壇に行っても良いの…なんか悪いけど、ラッキーだな。
僕は既に長蛇の列となっている最後尾に並び、順番を待つ。
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