第16話 ハルミはきめた

 ミサキが進くんと付き合うようになってから、しだいにハルミの生活にほころびができるようになっていった。


 春泉「はぁ……」


 なんだか命をいただくことにさえ罪悪感を感じるようになり、朝は野菜ジュース一本だけであとは何も食べないで過ごすことが多くなった。


 春泉「……ごちそうさま」


 最近そういう人を見かけるようになったので、そのせいもあるかもしれない。ハルミも少し極端だと思った。だけどやめられなかった。


 春泉「このままハルミ、幸せになれず死んでいくのかな……」


 それは、結果的に正しかった。


 ♦


 食べなくなった分の食費は恵まれない人のために寄付していくように。ハルミはこれが正しいと信じてやまなかった。


 春泉「ハルミは質素でいい……たとえこのまま死んだとしても……」


 そして、わたしは首を吊った。


 ♦


 好きになれるものが少なくなっていく。人生ってそういうものだと思った。


 春泉「ここって天国かな、それとも地獄かな……」


 わからない。薄もやのかかった灰色みたいな景色。それでもハルミは進み続ける。


 春泉「どうか、ここでシアワセに暮らせますように……」


 願いながら歩き続ける。白く輝く未来に向かって。

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