第5話 急がば回れ

 未咲「ねぇ進くん?♡」

 進「何かな、未咲ちゃん?」

 未咲「おっぱい見せてあげよっか?」

 進「いいのかな、僕まだちゃんとした身じゃないけど……」

 未咲「いーのいーの、わたしこう見えて進くんのことちゃんと支えて……」


 そのとき、電話がかかってきた。


 未咲「ん? 誰からだろ……玲香ちゃん、じゃないよね……」


 かかってきた相手をなんとなく察したけど、違うと思いたかった。


 未咲「もしもし。玲香ちゃん?」

 玲香「わかってたならもっと早く出なさい。悪い予感がして連絡したのよ」

 未咲「えっと、なんのことでしょう……」

 玲香「とぼけないで。あなたちゃんと彼氏さんの面倒見れてるのよね?」

 未咲「そう、だと思う……」

 玲香「自信のない回答ね……連絡して正解だったわ……」

 未咲「いまね、進くんにおっぱ」

 玲香「はい、切るわね」

 未咲「待って玲香ちゃん! せっかく連絡してきたならもっとお話……」


 コロン。切れた。


 未咲「なんかむなしいね、話を聞いてもらえないって……」

 進「さっきのはさすがに未咲ちゃんがいけなかったんじゃ……」


 わかりやすく汗をかく進くん。いけそうな気がしたんだけどな……。


 未咲「だめ?」

 進「さすがにいまはちょっと……もうちょっと時間がほしいというか……」

 未咲「そっか……進くんもっとがんばって?」

 進「それはもちろんだよ……だからいまは……」


 進くんが小刻みに震えてる。やっぱりしたいのかな……。


 進「おしっこ……」

 未咲「どうしたの、進くん?」

 進「したいんだよっ! でも未咲ちゃんがいきなりあんなことするから……僕どうしたらいいかわかんなくなっちゃって……」

 未咲「あー……トイレ行く?」

 進「むり……でちゃう……っ」


 いつの間にかこんなに小さくなってた進くんに、わたしは気づけなかった。


 進「ここってベッドだよね……いましたらおねしょみたいになっちゃうよね……」

 未咲「別にいいよ。わたしもその上からおしっこするもん♪」

 進「わかった……えっ?」


 言ってることの意味を飲み込むまでに、かなり時間を要した。


 進「待ってくれるかな……もう出ちゃったんだけど……」

 未咲「うんうん、この調子でどんどんいってね?」

 進「困るよ……未咲ちゃんのことばかり考えてしまうから……」


 むしろそれが目的なんだけどな……それは言わなくても伝わってるはず。


 未咲「んしょっと」

 進「ち、近いなぁ……もしかしてこのままするつもりじゃ……」

 未咲「そうだよ? 何かおかしいかな?」

 進「どう見てもおかしいような……ううん、未咲ちゃんがしたいっていうなら僕はそれでもいいけど……」

 未咲「じゃ決まりだねっ、もうちょっとで出ると思うから待っててね?」


 見かたによっては最高だ……ちょっとでも思ってしまった自分が嫌になる。


 未咲「んっ」


 未咲ちゃんのおしっこの音。一緒に過ごしはじめたから慣れてはいるけど……。


 進「未咲ちゃん、反応しちゃうからもうちょっと抑えめに……」

 未咲「無理だよ……進くんの前だとどんどんあふれちゃう……」


 そこらじゅうにハートマークがただよっている。僕にはそう見えてしまった。


 進(あぁっ触りたい……未咲ちゃんのあんなところやこんなところ……)


 だけど、あんな情けないところ見られたらそんな気持ちにもなれない。


 未咲「ん? 進くんどうしたの?」

 進(これは気づかれちゃったかな……なんでもないふりしないと……)


 それも難しかった。手が前のほうに出てしまっている。


 未咲「やっぱり進くん触りたいんでしょ~? 遠慮しなくてもいいのに……」

 進「違う! これは……」

 未咲「これは?」

 進「その……やっぱりいいよ……」

 未咲「うそばっかり……全部知ってるんだから、進くんのこと……」

 進「全部知られてるとちょっと……僕としてはやりづらいというか……」

 未咲「じゃ見るね? 進くんのここがどうなってるか……」

 進「待って! まだ心の準備が……」


 ぴょこんっ。


 未咲「やっぱり……わたし受け止めきれるか自信なくなってきちゃった……」

 進「それ、絶対思ってないよね……」


 自虐する余裕があるうちはいいとして、このままだと僕があぶない……。


 進「やるなら早くしてほしいな……僕ちょっと眠くて……」

 未咲「寝かさないからね?」

 進「もう、お好きにどうぞ……」


 ぼろぼろになりそうな身体を動かして、未咲ちゃんの後ろに立った。


 未咲「はいっ、どーぞ♡」


 未咲ちゃんは僕にお尻を向けながら笑顔でこっちを見ている。「いつでも来ていいよ」と言いたげだった。


 進「未咲ちゃんって僕としたことなかったよね……もしかして誰とも?」

 未咲「そうだよ……進くんのためにとっておいたんだから……」


 耳まで真っ赤になる未咲ちゃんの中に、僕は入れたくてたまらなくなった。


 進「そうなんだ、嬉しいな……ところで未咲ちゃん」

 未咲「なに、進くん?」

 進「その……こうなる前におしっこしておいてよかったなって」

 未咲「えっ? どういうこと?」

 進「未咲ちゃんってよくおしっこするのにわかってないんだね……」

 未咲「ううん、わかるけどそこは進くんの口から聞いてみたいなぁって」

 進「未咲ちゃんならわかると思うんだけど、おしっこした後って気持ちいいよね……そのせいかな、こうやってやりたくなってしまったんだよね……」

 未咲「そうなんだ、うれしい……ねぇ進くん、まだいれないの?」

 進「未咲ちゃん、わかってたなら最初からこうしてほしかったよ……」


 そして僕たちは結びついた。ちゃんと感じてくれるかどうか不安だったけど……。


 未咲「いい、いいよぉっ……あっ、あっ……!」


 行為にいたる前に、未咲ちゃんは身体が冷えたのか思いっきりおもらししていた。


 未咲「んんん~~~~~っ!」


 相変わらずすごい勢いだった。これだけでじゅうぶんだったけど……。


 進「うぅっ、僕もでる、でるっ……」


 未咲ちゃんに思いっきりかけてしまった。未咲ちゃんはすごく怒っていた。


 未咲「も~進くん、わたしが風邪ひいたらどうするの……くしゅん!」


 いい漏らしっぷりだと思ってしまった。記憶から消したいけど消せない。


 進「僕たちってまだセックスしてなかったよね……おもらし遊びはしてたけど」

 未咲「そうだね、なんでだろ……」

 進「未咲ちゃんのおしっこで十分って思ってたからね……ようやくこうしてできたけど、未咲ちゃんは嫌じゃなかった?」

 未咲「うん、赤ちゃんもそのうちできるといいな……」

 進「そうだね、そのためには僕がもう少し頑張らないといけないようだけど……」

 未咲「わかってるならこれからちゃんとしてね?」

 進「もちろんだよ……うっ!」


 天高くあがるおしっこ。まだいけるような気がしたけど、もうやめたくなった。


 未咲「寝よっか」

 進「うん、そうだね」


 あったかくして寝ることにした。ここまで長かったようであっという間だった。


 玲香「あの子たち、ちゃんとやれてるかしら……」


 考えながら楽譜を書いていた手を止めて寝ることにした。うまくやりなさいよ。

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