第4話魔眼を宿す少年〜4〜


「……特異点の魔眼…。過去に何かの書物で目にした記憶がありますけど……」


ハジメは過去の記憶を思い出そうと視線を天井に向けながら腕を組む。


「…ほう。お前が小さい頃は書物等、一切読まなかったが目を通すぐらいまで成長したか」


「別に今でも書物は好きじゃないですよ。ただ、必要になったから調べる為に読んだだけです」


「必要になった?何を調べたんだ?」


「魔眼の事です。認めたくはないですが、俺もその少女と同じ″生まれながら魔眼を宿した側″です。魔眼について知らなければならないと判断したから書物を漁ったんです」


「己自身を知ろうとするのは良い事だ。ただ、恐らくハジメが調べた魔眼について記されている書物には″特異点の魔眼″については詳しく記されていなかったのではないか?」


「…そうですね。確かに″特異点の魔眼″について記憶にないと言う事は、詳しく記されていなかったと思います。師匠は何か知っているんですか?」


師匠との会話と並行して思い出そうとしてみたが、やはり何も思い出せなかったハジメは、普段とは違い真っ直ぐ真剣な視線を向けている師匠に問いかける。


「……私自身も詳しくは分かってはいないのが現状だよ。ただ、1つだけ確信している事はある」


「…確信…ですか?」


「あぁ。このままではイリスはこの先、この世界の闇を目の当たりにするだろう。それは幸せとは全くの正反対の血で血を洗うような凄惨な人生を送らなければならないだろうな」


「……………」


師匠の口からもたらされた言葉に絶句する。

確かに″生まれながらに魔眼を宿す者″に人並みの幸せな人生を送れるとはハジメ自身思ってはなかったが、師匠から出た言葉はハジメの予想以上だった。


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