第3話魔眼を宿す少年〜3〜
師匠にリビングへと招き入れられ、部屋の中央に置かれている高価な木材を使用し作られているテーブルの椅子に腰を落とす。
数分後、リビングの奥にあるキッチンから人数分のコップと紅茶をお盆に乗せ、姿を表した師匠と足元に縋り付いている少女がゆっくりとハジメの対面のテーブルに腰を落とした。
「長旅疲れただろう。ほら、紅茶だ。熱いから気をつけな。熱くて飲めないならフーフーしてやろうか?」
「いりません」
ニヤニヤと腹の立つ笑みをハジメに向ける師匠を軽くいなす。
そんなやりとりをしながら師匠は大人しく座っている少女へとフーフーと息を吹きかけ、紅茶の温度を下げたコップを少女の目の前へと置く。
「少し冷ましたが気をつけて飲むんだぞ、イリス」
「うん。ありがとーイール」
イリスと呼ばれた少女は満面の笑みをイールに浮かべながら小さな手でコップの持ち手を掴みながら恐る恐る口をつける。
「熱くないか?」
「うん。だいじょーぶ!」
「ふふ、そうか。なら良い」
ふわふわ、ほわほわした空気を醸し出す2人のやり取りを冷めた目で眺めるハジメは、邪魔をするかの様に横槍を入れ言葉を挟む。
「…で、いい加減、俺への用事はなんなんですか?そのイリス?だったか?その少女は一体誰なんです?」
「…まぁ、そう急かすな。ゆっくり説明していくから。じゃぁ、そうだな。先ずは、ハジメが1番気になっているだろうイリスについて話をしようか」
師匠はテーブルに腕を乗せ、真剣な眼差しをハジメに向けながらゆっくりと口を開いた。
「…この子、イリスはな、お前と同じ魔眼を宿した者なんだ。いや、違うな、″魔眼を生まれながら宿した者″と言えば正確だな」
「………それは間違いないんですか?」
師匠の口から発せられた言葉に一瞬、言葉に詰まったハジメは、無意識で額に嫌な汗を流しながら聞き返した。
「あぁ。間違いない。私が何度も確認した。ただな………」
「……?ただ…何ですか?」
険しい表情を浮かべ言葉に詰まる師匠。
そんな出来事、過去に一度しか目の当たりにしていないハジメは頭の中で予想される幾つもの返答を思考し、緊張しながら師匠の返答を待つ。
だか、その予想は師匠の返答で全て無駄に終わったのだった。
「イリスは……″特異点の魔眼″を宿している」
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