第26話 公共機関利用
何やら……大変な事が起きたようです。
お帰りになられた、透明人間の
『けーたい』と言う薄い板で、何やらお知らせと言うものがあったようです。何があったのでしょう?
「…………」
国綱さんは、音が鳴ってから少しの間……けーたいとにらめっこされていました。重要な連絡なのでしょう。『乃亜さん?』と呟いてから……何もおっしゃいません。
飲みかけだった、コーヒーもそのままでした。
私は声をかけて良いのか悩みましたが……しばらく、そっとしておいた方がいいかもしれません。お庭でお花を眺めていることにしましたが。
「
お庭に着いて、少しした後に……お着替えされていらした国綱さんに呼ばれました。そのお誘いを断る理由もありませんので、私もついて行きますとも。
ただひとつ、問題があるとすれば。
「……え? 足?」
「透明人間……じゃないし、なにあれ?」
「幽霊? え? 何なに?」
私の戻った身体の一部が、目に見えているため……少々今までと勝手が違うようです。
様々な存在が居ますのに、奇妙に見えているようなのです。
『……翠羽は堂々としてていいから』
国綱さんには、事前にそう言ってくださいましたので……私はいつものように飛んでいくだけです。足は少々重くは感じますが。
道ゆく存在のヒソヒソ話は……無視させていただきます。それよりも、国綱さんのご用事の方が大事だからです。
私達は、徒歩だけでなく……私が幽霊になってから、はじめて乗る『バス』や『電車』を使って、あちこち移動しました。
存在が多く集まる箱のようで、右足だけある私は酷く目立ちます。
視線とやらは、やはり無視しますが。
とにかく、ガタゴトと動く箱があっという間に目的の場所へ届けてくれるのは便利ですね?
「……翠羽、ここで降りるよ」
国綱さんが席から立ち上がり、浮いている私に声をかけてくださいました。
電車から出て……出口らしき場所に行きますと、大きな建物が見えてきたのです!
『……大きい!』
国綱さんや、エルフの
どこまで高いのでしょう!!
上へ上へと見ても、見上げるのが大変ですね!!
「翠羽、あそこに行くよ」
国綱さんがそうおっしゃっいましたので……急いでついていきますとも。
周りの存在は、やはり右足だけがある私を見てびっくりはされましたが。
建物の入り口で、国綱さんが乃亜さんと同じような服装の存在に声を掛けますと。
また、おいでと手招きしてくださいました。
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