第4話 植物館で
「はい、ここだ! 入って入って!!」
壁の至るところに……植物が生えているんです。ひとつじゃなく、たくさん。色とりどりで綺麗ですが。
「
玄関らしい扉を、琥珀さんが開けていらっしゃったので入ります。私は幽霊なので、多分すり抜けられますが……作法は大事にしますよ。生きていなくとも、それは大事です。
中に入ると……お部屋の中も植物ばかりでした。匂いは感じないのですが、色は鮮やかで目には優しい感じですね。
『……お邪魔します』
「どーぞどーぞ。国綱はなんか飲む?」
「とりあえず、いいかな。占いの方を頼む」
「おーけーおーけー」
『占い、ですか?』
どう言うものかよくわからずに返事をすると、おふたりは不快に思われていないのか……琥珀さんは、ニヤリと。国綱さんはくすくすと笑いました。
「見通す力。俺と国綱が合わされば最強!」
「最近見かけなかったから、今日になってしまったけどね」
「ま、偶然も必然。俺もちょいちょい出かけてたしぃ?」
琥珀さんの案内で進んだ先には……これまた、植物がたくさん壁などを埋め尽くしていたお部屋でした。壁と床の境目がよくわからないくらい。お部屋の真ん中には、可愛らしいテーブルに大きな丸い玉のようなものが載せてありました。
大事そうに、綺麗な紫の座布団のようなものもあります。
「翠羽、気になる?」
『……はい。あれは、何ですか?』
「あれは、占いの道具。大きな水晶というものだよ」
『……すいしょう』
「マナーは消えてないけど、そう言うのは記憶がマジでないんだ?」
琥珀さんはそう言うと、水晶の方に近づき……両手をかざしました。そのあとに、水晶の方から……光が出たのです。綺麗な水色の光が!
『……綺麗、です』
こう言うのを何と言うのでしょうか?
何か言葉があったかもしれませんが……記憶がないせいでうまく頭に出てきません。
「うん。綺麗だ。あれが……作業とは思えないくらい」
『……作業?』
「探っているんだ、あいつは」
『……さぐる?』
「君の身体をだよ。……ちょっと、僕も手伝ってくる」
国綱さんはそう言って、琥珀さんの方に行きました。光が顔に当たると……国綱さんのお美しい顔が輝いているように見えます。いつまでも、見ていたいくらいに。
【【……照らせ】】
琥珀さんと、国綱さんが同じ言葉を口にしただけですのに。
何かが……震えた感じがしました。
驚いたと言うのが、私の行動は正しいのかもしれません。
言葉と同時に、国綱さんの赤紫の瞳が……少しずつ、光っていくような気がしました。
すいしょう以上に……綺麗で、まるで……そう、宝石のように。
キラキラと輝いていて……とても、綺麗です。
このような光景が……作業だとは、思えません。
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