第2話 私達の出会い
多種多様な、生きとし生ける者が存在する時代……と言うよりも、世界でしょうか?
国綱さんのように、『視える』存在が少ないからかもしれません。
「
国綱さんが、私の様子を見て気づいてくださり……手招きする方に置いていかれないように、気をつけて飛び……角を曲がっていきます。
大通りのような道を外れても、様々な生きる者は存在しているが……先ほどよりは少ない。私が『視える』者は相変わらず居ないようですが。
(……けど、それが悪いとは思わないです)
それは、国綱さんがいらっしゃるからなんです。
この方がいらっしゃるから……私は不満を覚えたことはありません。
数日前……国綱さんに見つけていただいた時に、私は電柱の横でぼーっとしていたのです。
『……君、何をしているんだ?』
私はただそこに立っていただけだったんですが……綺麗な男性に声をかけられ、違う意味で口をぽかんと開けてしまいました。
『……私、ですか?』
何とか言葉を紡ぐと、小さく頷いてくださいました。
だから、何か答えを言おうとしたのですが……言えませんでした。『何も覚えて』いなかったのです。
『……記憶がない?』
『……はい。何も』
『だから……そんな姿に?』
『……姿?』
言われたので、私は自分自身を見てみました。なんと、体が透けていたのです。電灯にかざしても、自分の手までも透けていました。
『……行くところがない、浮遊霊にしてはおかしいね?』
彼は、私の足に指を向けました。透けてはいましたが……たしかに、足は存在していたのです。ただの幽霊ではないと言うことでしょうか?
『……私、死んでいるんですか?』
記憶がないはずなのに、知識はいくらかあるようです。
質問すると、彼は首を左右に振りました。
『いいや。死んではいない。……身体が行方不明になっているようだね』
と言って、私の前で軽く手を振ると……手を差し伸べてくださいました。
『あの?』
『僕は、何でも屋の国綱。君の保護者になるよ』
『くつな……さん?』
『君が嫌でなければ……僕のいるところに来ないかい?』
怪しいとか。
危険とか。
そう言う気持ちは……不思議と出て来ませんでした。
優しく、微笑んでくれている……赤紫の綺麗な瞳に囚われてしまったかもしれません。
私は……直接触れることは出来ませんでしたが、国綱さんの手に自分の透けた手を重ねました。
そこから、私の身体探しも兼ねて……彼との共同生活が始まったのです。基本的には自由ですが、国綱さんが出掛ける時は……私の身体を探してくださいます。
そこで初めて……『視えない』以外に、様々な存在がいることも知りました。
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