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次の日さっそく母はウキウキとしながら、その筋の…なんとお店のスタッフの人から、わざわざ情報を仕入れてきてくれて。
題して『ママの保健・体育講座』…なるものを、
開かれてしまったのだが。
その内容はあまりにも凄まじく。
衝撃的過ぎたため…
僕の口からではちょっと、語れそうにない代物…で。
…と、一通り知識だけはなんとか得たので。
後は芝崎次第、だったのだけど…。
そういう雰囲気になると何故かアイツは必ず、
自らの熱を投げ出して。
その身を引き、僕から離れてしまうんだ…。
最初はやはり、男同士でそういった行為に及ぶには、抵抗があるのではないかと…
だから僕相手では、欲情出来ないのだと。
内心かなりショックを受けていたのだが────…
(──────あっ…)
その日は押し倒され、
いつもより深いキスを仕掛けられ、密着した際に。
僕は芝崎の変化に、気付いてしまった。
(…コイツ、勃ってるのか…)
正直、嬉しかった。
僕にもちゃんと反応してくれている芝崎に。
…けれど、同時に罪悪感も生まれてしまった。
(我慢、してるんだ…。)
今更そんなこと、しなくていいのに。
性欲が元々薄い僕でさえ、芝崎に触れられると身体がとても疼き出してしまうのだから。
お互い寸止めにも、
逃げるよう…さっさと帰ってしまう芝崎。
その後、ひとりモヤモヤした気持ちを抱えても…
一向に晴れる事はなくて。
同じ男だったら、芝崎だって辛い筈なんだ。
なのにお前は…
芝崎は知っているんだろうか?
その、男同士でも…
性行為に及ぶ方法があるということを。
知っているからこそ我慢しているのか、それとも…
どちらにせよ、アイツはもう、限界な気がする…。
このまま我慢し続けて、
欲求不満で耐え切れなくなったら─────…
(町田、さん…)
つい浮かんでしまった、芝崎の元恋人。
違う。
芝崎は浮気するような奴じゃない。
けど、怖いんだ。
付き合い出して解ったが…
アイツは凄くモテる。誰にでも…。
スタイルも顔もモデル並みに格好いいから。
外を歩けば、擦れ違う女性にしょっちゅう声を掛けられるし。通っている男子校であっても例外ではない。
容姿以上に性格も明るく社交的だから。
一緒に行動すると、嫌でもそういった事を痛感させられるんだ。
だから、かなり焦っていた。
自分に自信がないから、追い詰められてしまう。
芝崎は、ある程度のスキンシップは要求してくるけど。それ以上は絶対強要したりしないから。
気を遣わせているのが解る分、罪悪感でいっぱいになるんだ…。
(…僕から、誘う…?)
無理だ。
母の話を聞いてしまったから…
芝崎とあんな…行為を、自分で仕掛けるとか、
有り得ない…。
でも、このままじゃ先に進めない。
芝崎とこの先この関係を続けたいなら、
一番に乗り越えるべき壁…なんじゃないだろうか。
パタンと進まない参考書を閉じる。
悩んでばかりじゃ拉致があかない。
その所為で、苦労したばかりじゃないか。
だから、はじめの一歩くらい、
自分から歩み寄るべきなんだと、思う。
机の上の携帯電話の画面を開き。
高鳴る胸と震える手を抑えながら、
僕は覚悟を決め、作戦を実行に移した。
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