第5話 みんなでお泊り

夕食も終わり、カランコロンと下駄を鳴らして、みんなで離れに戻る。秋田先輩と村瀬先輩は、お酒に酔って恋人つなぎで手をつないで前を歩いてる。私たちは気をきかせて、ちょっと距離をとって後ろから歩くことにした。


左に雅美。右が私。真ん中にマリ。152cmのマリはちっちゃくてカワイイ。


雅美:「うわー。あの二人もう堂々と恋人やってるねー」

マリ:「ほんとう。ラブラブです」嬉しそうにマリが言う。

私:「あの2人がそういう関係だったなんて。気づかなかったなあ」


空は快晴。

満天の星が輝いている。

ここは空気がキレイなんだなあ。


雅美:「はあ。今夜は眠れるかなー」雅美が空を見上げてちょっと憂鬱そうに言う。

マリ:「え?」目をパチパチしてマリが反応した。

私:「雅美。それどういう意味?」私は雅美のほうを向いてたずねた。

雅美:「どういう意味って。アレ見ればわかるでしょ?」雅美がアゴで2人を指す。

マリ:「え?あの、まさか。私たちが一緒なのに?」マリが両手で口をおおった。

私:「だから、それ、どういう・・・?」

雅美:「みゆき。あんたホントにわかんないの?」私をさえぎって雅美が言う。

マリ:「どうしよう。わたし声出しちゃうかも」マリがうつむいてモジモジしてる。

私:「は? なんでマリが声出しちゃうのよ?」


前を歩いてた先輩たちが立ち止まった。

肩を寄せ合って星を見てる。

合わせて私たちも立ち止まった。

うわー、ロマンティック・ナイト!


雅美が声をひそめ、マリも私も小声になった。


雅美:「そりゃ、アタシだって、アハーンって気持ちになっちゃうかもだよ」

マリ:「そうですよ。となりでいろいろされたんじゃ、わたし、眠れないです」

私:「ああ、そういうこと。いくらなんでも、それはないでしょ?」

雅美:「さあ。どーかなー。その前にもっかいお風呂でいいことしちゃうかもよ?」

マリ:「やっぱりですか? はあ~」マリの声がなんだかアヤシイ。

私:「さて、どうするかな。おふとんのポジション」


私は真剣に考え始めた。部屋のサイズは正方形の8畳間。5人はギリギリ。ふつうに布団を敷くなら、3人並びの上に2人が向かい合うポジション。両先輩方には奥の方に当然並んで寝かせてあげないといけない。3人並びのあとひとつ。たぶん、マリはそこに自分が寝ると思ってるんだな。両先輩方に頭を寄せて向かい合わせってポジションは・・・やっぱボツだな。


ふーむ。いろいろ考えてると、急に秋田先輩が振り返って言った。


秋田:「ねえ、あなたたち。先に戻って。あたしたちちょっとそのへんで涼むから」

村瀬:「気を遣わなくていいわよ」今夜の村瀬先輩はびっくりするくらいキレイだ。

私:「はい。じゃ、先に戻らせていただきます」私は愛想笑いをして頭を下げた。


雅美とマリも会釈して二人を追い越して離れに戻った。


もう9時かあ。部屋に戻ると、お布団が予想通りに敷かれてあった。

マリは3人並びの廊下側の端っこと決めてるらしく、明日の衣類を揃えている。


雅美が四つん這いで擦り寄って来て顔を近づけてきた。


雅美:「ねえ。あの二人、またあの東屋でベロチューかな?」

私:「ちょっと、あんたさあ。その下品な言い方やめなさいよ」

雅美:「はいはい。ディ~~~プ、キッス!でしょ」声が大きい。

マリ:「フレンチキスです」衣類をたたみながらマリが言った。

雅美:「どっちも同じよ。舌をからめ合って。でしょ?」なんかヤラしい。

マリ:「フレンチキス・・・」マリの顔がみるみる赤くなっていく。


マリは “フレンチキス” という言葉だけで熱くなるらしい。

今夜こっそりマリの耳元で “セ××ス” って言葉をささやいてやろうかな。


私:「マリ。お風呂に入る前からゆだった顔してどうすんのよ。」


勝手に盛り上がってる2人をほっといて私はもう1回お風呂に入ることにした。




ひとりで檜風呂の湯船につかりながら、また今夜のことを考えた。


私:「まさかねー。いくらなんでも私たちが一緒に寝てるそばではヤらないよね」


考えてることが独り言で口から出てしまった。


雅美:「ヤルかもよー。あの様子じゃー」雅美が脱衣所から言った。

私:(いつの間に!)「雅美、入るならひと声かけてよー」


引き戸が開いて雅美がまったく体を隠さずに堂々と浴室に入ってきた。小さめだが形のいいバスト。背が高くて腰がくびれたナイスプロポーション。一糸まとわずとはこういうことを言うんだなあ。と私は妙に感心した。雅美は女きょうだいしかいないからなあ。恥じらいというものを知らない。父親の帰りが遅くて、夏は4人姉妹がリビングでキャーキャー裸でふざけてたらしい。看護師の母親が夜勤の日には、それはもう魔女集会さながらに大騒ぎしたとか。


タオルで胸と前を隠して、おっとりしたマリも入ってきた。


マリ:「わたしも一緒に入ります」


マリは服を脱ぐと形のいいバストが目立つ。確かに着やせするタイプだ。肌が白くてキメが細かい。さすが新潟美人。ってそんな言葉あったっけ。


雅美が湯船に入ってきて擦り寄ってきた。


私:「ちょっ! 気やすくヒトの胸に触らないでよ」

雅美:「いーじゃん。減るもんじゃなし。ケチだなー、みゆきは」

私:「ちょっと。アンタのエッチなお姉ちゃんと一緒にしないでくれる?」

雅美:「そうお? このへん、感じるでしょー」また胸を触ってきた。

マリ:「胸が大きいと感じやすいってホントですか?」まじめな顔できいてくる。

私:「ちょっ、そんなの、しるもんですかっ!」マリまで胸を触りに来た。

雅美:「ねー、マリ? これこそ “本物のオッパイ” って感じがしない?」

マリ:「そうですね。ホンモノ感に満ち溢れてます」マリが私の胸をガン見してる。


3人でキャーキャーやってると、先輩たちの声が聞こえてきた。

どうやら酔いを覚ませて戻ってきたらしい。


雅美:「おっと、先輩たちが戻ってきた。さ、もう上がろうっと」

マリ:「わたしも」

脱衣所で私がブラを付けずに浴衣を着てると雅美が感心したように言った。


雅美:「は~。やっぱ、迫力あるね。ノーブラだと」なんだか見世物にされてる。

マリ:「ホント。すごいです」マリまで。なにがスゴイんだか。

私:「マリこそ、いい形してるじゃん」

マリ:「いえ~、わたしなんて。とても」まんざらでもなさそうに頬をさすった。



部屋に戻ると、縁側で秋田先輩と村瀬先輩が仲良く並んで麦茶を飲んでいた。後ろから見るとショートの秋田先輩とロングの村瀬先輩はカップルそのものだ。私たちに気づくと、秋田先輩がかるく手をあげた。


秋田:「ただいま。もうお風呂はいいの?」

私:「はい。もう寝ようかと思って」10時をまわったところだった。

秋田:「じゃ、千恵、寝る前にもいっかい入ろっか」

村瀬:「うん」村瀬先輩の笑顔はあでやかでキレー。華があるヒトだ。



二人が連れ立ってお風呂へ行くのを見届けてから、雅美が顔を寄せてきた。雅美と私は向かい合わせの布団なんだけど、雅美がこっちに来たのだ。


雅美:「ムラ先輩ってキレーだよねー。カラダもけっこうイケてるしさ」

私:「誰にそんなこと聞いたの?」

雅美:「去年の夏、江ノ島行ったじゃん? ムラ先輩の水着見たっしょ?」

私:「よく覚えてないなー」

雅美:「まったく、天然なんだから。みゆきは」

私:「あ、思い出した。村瀬先輩、大胆なビキニだったな。ちょっとびっくりした」

雅美:「でしょ? でしょ? なんかこう、女のアタシでもムラムラきちゃった」

私:「ムラムラって。ムラセ先輩に掛けてるワケ?」

雅美:「違うって。ほんとだって。エロいよね。ムラ先輩の黒ビキニは」

マリ:「ビキニって、わたし着たことありません。エロいんですか?」


マリが枕を持って近くに寄ってきた。



私:「ちょっとー、マリ。一緒に寝るつもり?」

マリ:「一緒じゃだめですか? あそこの場所はやっぱり居づらくて」

雅美:「マリ。今夜はアタシとセ××スしよっか?」雅美がマリの耳元で囁いた。

コイツ、私とおんなじこと考えてたんだ。棚橋雅美。油断のならない女。

マリ:「ひゃっ! なにするんですか」マリがびっくりして雅美の顔を見た。

雅美:「やさしく教えてあげるよ。セ××ス」なお雅美がマリの耳もとで囁く。

マリ:「や、やめてください。ホント、お、怒りますよ」顔が真っ赤だ。

私:「雅美。悪乗りしすぎ」頭にゲンコツしようとしたら、素早くかわされた。

雅美:「おっと。その手はクワナのヤキハマグリ。反撃のキョジ~ン!」

雅美が私を仰向けに倒して胸をわしづかみにした。ナニ? この状況。

私:「ちょ、ちょ、ちょっと! コレなんの悪ふざけ?」

雅美:「ちょっと吸っていい?」雅美の目がまじめなのがこわい。

マリ:「みゆきさん、顔が赤くなってる」なんだ? 逆バージョンか!


頭の中がグルグルしてるうちに、雅美が私の浴衣の合わせを開いた。


私:「ちょっと、アンタ、やめないさいよ」私の裸の胸がむき出しだ。

雅美:「ほれぼれしちゃう。このボリューム」私の胸をガン見してる。

それから雅美は愛おしそうにわたしの胸をもてあそびはじめた。

私:「ちょっと、やめてってば!」ほんとに感じてきた。

マリ:「わたしも」マリまで! なんてことを!

両方のバストを2人にいじられて私は体が熱くなってきた。

ああ、感じちゃう。ジワジワきちゃう。どうしよう。



雅美:「あはは~。みゆきのカラダってほんっと正直」雅美がはじけて笑う。

マリ:「ほんとです。反応してます」マリ。この子がこんな不良だったなんて!

私は2人を押しのけて仁王立ちになり、あわてて浴衣の前を直した。

こんなところを先輩たちに見られたら『仲がいい』どころじゃない。

私:「ちょっと! 2人ともふざけるの、いいかげんにして。怒ったからね」


雅美とマリがびっくりしたように目を見開いて顔を見合わせてる。


マリ:「ごめんなさい。ちょっとやりすぎました」しゅんとして頭を下げるマリ。

雅美:「でも、みゆきの胸って気持ちイイよね」雅美は全然反省してない。

私:「二人とも自分の布団で寝なさい! 私はアンタたちのママじゃない!」

雅美:「ごめん、ごめん。私の胸触っていいから。なんだったらアソコも」

マリ:「よかったらわたしのも触っていいです」京極マリ! この不良娘!

私:「私、もう寝る! さっさと戻って!」 11時を過ぎていた。


雅美もマリも素直に自分の布団に戻っていった。

先輩たちは戻ってこない。

まだお風呂なんだろうか。

それとも、どこかで・・・






つづく。

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