俺、参上!!!
「キャァァァァァァ!!!!!」
「行くぞキュラン!まだ見ぬ報酬のために!」
悲鳴のする方へ足を踏み出した瞬間、ありえないほどの速度で目の前に木が出てきた。
「ッえぇ!?オラァ!」
叩き折った。
「何だこの速度!?ハッ!そうか!これがSPD5桁の世界…!でも、これくらい御して見せなきゃ極振りマニアの名が廃るってもんだよなぁ!」
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<悲鳴少女side>
「キャァァァァァ!!!!!」
恐ろしさのあまり私はみっともない声を上げてしまった。どうしてこんな事になってしまったのだろう。私は、ただお姉ちゃんに認めてもらいたかっただけなのに…
「あぁ…もうだめなのかな。」
巨大な狼が3匹ゆっくりと近づいてくる。迫りくる死の匂いを前に私はゆっくりと目をつぶろうとした。
ッパパパァン!
「……え?」
私の前に、神様が現れた。父がいつも着ている服も霞むようなきらびやかな服を着て、右手には遠くからでも暖かさを感じさせる杖を持ち、そばに神獣様を連れていて。そしてなにより、とても、とても綺麗に笑っていたのだ。私は安心感とともに意識を失った。
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<ラックブレイドside>
えげつない速度で悲鳴の方向に飛んでいって女の子を襲っていた狼三匹を叩き割ったら女の子が気絶しました。
「どういうこと???」
「あるじ!このニンゲンもたおしていい?」
「だめだよキュラン。この人間さんは報酬をくれるはずだからね〜。」
人間でも容赦ないキュランマジキュート。
さて、この女の子はNPCっぽいけどこれ俺じゃなかったら間に合わなかったのでは?というより、狼が複数で襲ってくる事自体ありえない。この森は狼一体でのエンカウントが普通だ。
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《鑑定》
すべてを見通す目。
モンスターの情報がより詳しく分かるようになり、他人の装備の情報を読み取ることが可能になる。
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『王家の首飾り(呪)』
王家の証明であるとともに王家を護るためのものでもあったが呪いにより装備した者に災いをもたらす物になってしまっている。
魔物避けの加護(魔物寄せの加護【高度隠蔽】)
潜在能力解放(能力制限【高度隠蔽】)
幸運(不運【高度隠蔽】)
・呪術師〜候爵家嫡男ミレシウス・グラヌス【軽度隠蔽】
(侯爵家専属呪術師カパスル・ノイロ【高度隠蔽】)
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「ほぉ?運を悪くするとは、生かしちゃおけねぇな。」
とりあえず、王女ちゃんに王様のところまで案内してもらおう。そこでこの企みをすべて露見させてやろうそうしよう。
「んぅ…」
「気がついたか?」
「あっ…はい!助けていただきありがとうございました。あのままでは私は死んでいたでしょう。」
「いいってことよ。それより王女ちゃん。王様のところまで案内してくれねぇか?ちょっと伝えたいことがあってな。」
「…ッなぜそれをっ…いえ、愚問でしたね。かしこまりました。父のもとまでお連れいたします。」
(神に隠し事などできるわけがないものね…さすがです。そういえば御名をお聞きしていないわ。)
「私、ストロファスト王国第二王女のラビューティフル・ストロファストと申します。貴方様の御名をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「確かに、自己紹介がまだだったな。俺は、旅人兼ラクチャンス教教祖のラックブレイドだ。よろしく、王女様。」
「やはり…いえ、それでは行きましょうか。」
彼女はまだ、国一番の教会と大司教がラクチャンス教に下っていることを知らない。知ったらむしろ喜びそうではあるが。彼女もまた、信者の素質があるゆえに。彼女が信者になるかどうかはまだだれも知らないのだ。
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「でっか……」
「我が国自慢の城なんです!聖国にもここまで立派な城はないんですよ!」
「ほぉ〜、聖国にもいつか行ってみたいな。」
「普段は聖国行きの馬車が運行しているのですが、最近強大な魔物が住み着いたようで今は運行を停止しておりますわ。」
「そうか…それは残念だな。時間があれば、その魔物を討伐できるかもしれないな。」
「本当ですか!?聖国の聖水が最近入ってこなくなっていたので非常に助かります!」
聖国は北の方にあるということだし、おそらく北のエリアボスを倒すと行けるようになるのだろう。俺はユニークボスが出るんだけど大丈夫かな?まぁエリアボスなんて何回でも復活するんだし、ストーリー的な街道封鎖なんだろうな。
そうこうしているうちに王城が近づいてきた。王女を目にした門番がホッとした表情で叫んだ。
「姫様!また城を抜け出して!お怪我があったらどうするのですか!…ん?そこの男は何者ですかな?」
「彼は私の命の恩人よ!父様にどうしても伝えたいことがあるらしくて、お連れしたの。」
「そうでしたか。命の危機があった件については後で聞くといたしまして、姫様をお助けいただきありがとうございます。このままお入りください…と言いたいところなのですが、姫様の命の恩人とはいえ規則として一応検査を受けていただかなければなりません。」
「あぁ、もちろんですよ。むしろこちらからお願いします。無駄に疑いをかけられるのも面倒だ。」
「ご協力ありがとうございます。それではこちらの水晶に手をかざしてください。」
この水晶は、犯罪歴や悪意の有無を調べることができる魔道具らしい。
俺が水晶に手をかざすと、水晶は虹色に輝いた。
「これはッ…!!!失礼いたしました。神族の方だとは露知らず、どうか非礼をお許しください。」
「あぁいえ、俺は旅人なので気にしないでください!門番さんは職務を全うしただけなんですから頭を下げなくて結構ですよ。」
「おぉ…!なんと、お優しい。この国の教会の奴らは神の権力を笠に着てやりたい放題でしてな。大司教様のように万民に優しい方もおられるのですが……全く嘆かわしいことです。」
「なるほどそんなことが…俺は神としてはまだ年若いのでこれくらいしかできないけど、この国の良民達に運命の導きがあらんことを…」
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〜ワールドアナウンス〜
ストロファスト王国の良民に運命神の加護がかかりました。
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「おぉ…!なんと温かい魔力なのだ…!神よ、私は王家に忠誠を誓っている身ですが、貴方様にも同様の忠誠を誓わせていただきます…」
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《王国騎士団長》アセラ・マリウスが信者になりました。
一定以上の力を持つ者が配下になったことで聖騎士団の作成が開放されました。
種族レベルが20に上がりました。
スキル《神託》を獲得しました。
教団レベルが10になりました。
信者への幸運補正が大になりました。
神界掲示板が開放されました。メニューからアクセス可能です。
信者数が確認できるようになりました。メニューの宗教の欄から確認可能です。
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《神託》
我が子らよ、神託だ。
信者に一斉に言葉を伝えることができる。
特定の人物に絞ることも可能。
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まずツッコませてくれ……なんで騎士団長が門番やってるんだよ!人材不足なのか!?(姫様捜索に行こうとしてただけ)あと、こんなに簡単に配下増えちゃっていいの?悪い事してる気分になってきたんだけど……そんなにこの国の宗教腐ってたんかなぁ。
「難しいお顔をされていますが、大丈夫ですか?」
「あぁ、ちょっと考え事してただけだよ。大丈夫。」
「そうですか?それでは城に入りましょう!」
そうだ。まずはネックレスについて王に伝えなければ。
待ってろよ侯爵家!
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