第7話 アルレフォン
試験は無事に終わり、マムの講評は前回のクリスの時と同様に少女を「試験官兼監督役」とする事で決まった。
監督役まで付けた理由は、未だマムに対して
とは言っても、ルミネが実践試験を行う過程でトラブルを巻き起こした場合にのみ、監督不行届に於いて少女が罰せられるだけの話しだ。
結果として少女は「そんな気がしてたわ。まぁ、アタシが全責任持つって、言っちゃったしね」と心の中で呟いていた。
そして、少女はクリスの時と同様に、ルミネにもハンターとしての役目を教えていく事になる。
クリスは現代に生きながらも
江戸時代から現代に来たのであれば、文明の発展に伴う利器は使い方以前に存在も理解していない。だが、それらは教えればなんとかなるモノだ。
一方でその時代は戦国の世ではなく生命の定義はそれなりに重い。
故に価値観は多少異なるかもしれないが現代と
だが、ルミネは
価値観や倫理観は種族の違いからか、ヒト種とはだいぶ掛け離れている。
更に「魔界」と言う世界の
文明の発展はそこまで進んでいないからそこはクリスと同じだが、独学でデバイスの機構を応用出来てしまうルミネにとっては、文明の利器を扱う事は造作もないコトだ。しかし中世ヨーロッパに於ける生命の定義は軽い。
だから種族の違いが倫理観や価値観を掛け離したのではなく、時代考証に因って
とは言っても
要はそれを自制出来る精神力と理性を持っているかどうかが問われるのであって、思考はその時代に
拠って、現代の人間界で生きていく為の知識や知恵、倫理観や価値観といった事を全て教え切るのに時間が費やされる事になる。
その上で、ハンターの職務や認識、考え方等の「いろは」を教えていく。だからそれだけで、気付けば実技試験から数日が経過していた。
だがそれは、ルミネの頭のキレや回転があったからこそ数日で済んだと言うべきなのだろう。しかし、戦闘訓練に関しては行っていない。
ルミネは完全な
剣の腕は一朝一夕で磨けるモノではないし、ルミネの魔術の腕は実力的に、
ルミネは、勉強の合間を縫って屋敷に勤めるサラやレミとよく話し、一般的な知識や見解を取り入れていくコトを忘れなかった。
そして、爺とは最初こそ火花を散らしていたが、
「ルミネ、今日は
「えぇ、分かりましたわ御子様!」
「ねぇ、ルミネ?ところでちょっと相談なんだけどさ……」
「御子様?改まってどうなさいましたの?」
「いや、やっぱりここは人間界なんだから、その「御子様」ってやめて欲しいなって思ったんだけど……」
「そうですの?でも、御子様のお名前をお呼びするワケには参りませんわ。その名を口にして宜しいのは限られた方だけですもの」
「それはそうなのよねぇ……」
「お嬢様、それでしたら、クリス様と同様になさっては如何がで御座いますかな?」
「クリスと同様?あっ!そっかそっか、その手があったわね!」
「クリス?誰かは存じませんが、その方とわたくしを同様になさるんですの?」
「クリスっていうハンターがいるのよ。で、そのクリスとも同じようなやり取りが前にあったのよ」
「そのクリスって方も御子様を御子様と見抜いた方なのですわね?」
「いや、そうじゃないけど…。で、それは置いといて、クリスにはアタシのコトを「アルレ」って呼んで貰ってるから、ルミネも「アルレ」って呼んでくれないかしら?」
「アル…レ?御子様のお名前をどの様にして
「あ、そっか!そう言えばルミネはアタシのミドルネーム知らなかったのよね?アタシのミドルネームは「アルレフォン」って言うのよ」
「まぁ!わたくしの名前に付けて下さった「ミルフォード」と同じようなモノなのですね」
「そゆこと。だからアタシのコトは「御子様」じゃなくて、「アルレ」って呼んでもらえるかしら?」
「わかりましたわ、アルレ様」
「い、いや、出来れば「様」もいらないんだけど……」
朝食を食べ終わり、雑談を終えた2人はセブンティーンに乗り込み
その車中で少女はルミネに今回の
今回の
とは言っても少女は、そもそもクレーム対応は苦手だ。
どうせなら、
要するに
試験官がそれでいいのかとも思うが、当の本人が「クレーム対応なんて面倒く……いやそうじゃなくて、取り敢えず黙らせとけばいいよね?」と考えているし、そんなスタンスなので仕方がない。
まぁそれが、トラブルメーカーの
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