2 バケモノカラニゲロ

 前回、正しい扉を選択させられた千佳、智明、真優の三人。

三人とも、無事に生き残れただろうか?


結果はYESだ、全員、無事に合流できた


真優「みんな無事、、だね。」

千佳「私がびっしょびしょな事以外はね」

智明「それは無事っていうだろ」


, そして、またモニターが現れる

『皆さん、今回はとても素晴らしいですね。

では皆さん、突然ですが私のペットから10分逃げていただきます。

今回のゲームはバケモノカラニゲロ。では』


千佳「ペット、、?」

智明「真優、千佳、気を付けろよ」

真優「え、あ、うん」


『皆さん、今回も健闘を祈ります』

 気づくと、右の壁が開き、何かの目が複数光っている。

モニターがあった左の壁も開き、薄暗い空間が広がっている


智明「、、、」


後ろからは、大きな、足と目が多い猫のようなバケモノがゆっくりと向かってくる


智明「真優走るぞ!!千佳こっちこい!」

真優「え、うん」

千佳「、、ん?」


 智明は、千佳を近くに呼ぶと、横抱きにして奥の方へ走り出した

真優「待ってよ!」

真優も、全速力で走りだす


1,2,3,GO!

 大きな機械音声が聞こえる。

カウントダウンが終わると同時に、バケモノも走り始めた



真優「待って待って待って!あれ速くない⁉」

智明「そりゃ速ぇよ!真優!ぜってぇ捕まるなよ!捕まったら殺す」

真優「殺す⁉ぼくだって捕まりたくないよ!!ていうか千佳だけずるい!!」


智明「お前持久走何位だよ!!」

真優「学年男子で2位だよ!!」


千佳「私学年女子で135位だよ」

真優「じゃあずるくないわ!!」


 こんなくだらない会話をしていても、

実際、自分より5倍も6倍も大きいバケモノから逃げてる最中だ


どんな場所でも、無限に広がってる事はない。

勿論、ここも例外じゃない。走って走って、後3分と言う時だった

突然、目の前に壁が現れた


智明「チッ、やっぱりな」

真優「どどど、どうしよう、、」

智明「俺が考えるから、とりあえず走れ」


 智明は数秒間悩んでいる間に、遂に壁に背が付いた

そして、智明は思いついた


智明「千佳、立て」

千佳「うん」


横抱きにしていた千佳を立たせると、

一度深呼吸すると、大きな声で叫んだ


智明「左右に分かれて一気に走れ!!!」


 訳も分からないまま、千佳は左に、真優は右へ走り出した

智明は、その場から動かずに、目を固くつぶっていた


智明は、自分自身を犠牲にしようとしていた


ふと気づいた、いつまで経っても痛みは来ない。

気づくと目の前のバケモノの気配がない


 バケモノは、真優の方に向かって行った


真優「ヤバイヤバイヤバイ!なんでっっっ!」

千佳「猫っぽいし、、三つ編みじゃない?長くて揺れてるから」

智明「早く結べ!団子にしろ!」


真優は急いで髪を解いて結びなおそうとした。

焦っているのか手元が滑る


 そして、走っていると長く伸びた髪は揺れる。

それに反応したバケモノとの距離は縮まっていく


5m、4m、3m、2m、

じわじわと後ろから殺気が近づいてくる。

そして、遂に真優の真後ろにバケモノが付く


 そして、真優は走るのを辞めた。時計を確認しふと諦めたような顔をして。

焦る智明と千佳。大きな声で真優を呼ぶ。


智明「真優!何してんだよ!こっちにこい!」

千佳「真優、なにしてるの、、、⁉」


 ぽつりと、真優は声に答えた

真優「ぼくね、もうあきらめる事にしたよ」

真優はさらりと言う、なにか、生きる事をあきらめるのが普通かのように


千佳「なに、、言ってるの?早くこっちに、、!」

智明「、、、チッ」

 説得をしている間も、親友との時間に浸らせてはくれない。

バケモノは、今も近づいてくる。そして、バケモノは口を大きく開けて、、


急いで、早口で真優は言う


真優「後1分位かな?ぼくが囮になるからさ、、___」


最後の言葉は、とても小さな声だった。

それでも、千佳と智明には聞こえていた、『生きて』と


最後に、精一杯の笑顔を、しかし、強張った顔を残して、

真優はバケモノの口に収まった


 その後は、語るも無残な光景が広がった

バケモノが咀嚼すると、グチャグチャ、クチャクチャと音が鳴る。

口からは、血とよだれと髪が垂れる。微かにうめき声が聞こえる


ピリリリリリリリリリリッ!


 そんな、悲惨な光景をただ何もできずに眺めている千佳と智明を、

さらに追い詰めるように、時間終了のタイマーが鳴った


 千佳は、色々な感情が入り混じった心を抑えながらも、その場に泣き崩れ落ちた

千佳に駆け寄る智明、智明は血が出る程に下唇を噛んでいた


そして智明は、小さな声でつぶやいた

智明「またか、、」

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