異能力者が世界各地を跋扈する中、俺は自宅のPCにてチュートリアル講座を受ける。
にしじまなな
第1話 プロローグ
日本の大都市と言われている、この街で現在、異能力者と呼ばれている異能力を持つ者と、異次元から来訪してきた魔物とが戦いを繰り広げていた。
人間何百人分もの体格を誇る魔物――ケルベロスとでも名ずけておこう。
ケルベロスは周りにあるビルや何やらを足の踏み台にしながら、異能力者から逃げるように戦っていた。
対なる異能力者――右手に剣を握る赤髪の少女は何も無い空間を足蹴りで浮きながら追いかける。
この光景を傍から見れば、きっと映画の撮影か何かに見えてしまうのは確実かもしれない。
しかし、こんな状況下で、街の地上では甚大な被害が起こっており、血を流して倒れる者も多数と居た。
少女に対し、罵声を上げる者も居れば、静かに見守る者も居た。
そして徐々に少女とケルベロスとの距離は近くなっていき、ついに少女の間合いに入ってしまう。
瞬間、少女の握っていた剣が少しだけ動くと同時に、少女に対して噛み付こうと攻撃をしようとしたケルベロスの動きは途中で止まってしまう。
その数秒後、ケルベロスの体と首は二つに分かれると、地球の重力に従うかのようにして地上に向かって落ちていってしまう。
ズドンッ
そんな鈍い音を大音量で鳴らすと同時、ケルベロスの生命力は零となり、一瞬する間に光の粒子になって風に流れるように消えてしまった。
「
今はもう光の粒子になって消えてしまったケルベロスを追うようにして地上へと戻ってきた雛と呼ばれた少女は、反応を示すことなく握っていた剣を、同じく光の粒子にさせ消した。
「何回も言ってるけど、異能力を持つ私達は本来は管理されるべきなのよ? けど、人間には自由がある。それを踏まえて、もう少し周りのことを気にして戦わないと、いずれ自分の心を虫歯めるわよ!!」
雛に説教をしている女性――
歳は幾つか離れていたはずだ。
「お姉ちゃん、分かってるから。後のことは他の人に任せよう」
華の話を流すようにスルーする雛は、近くに停めてある車へと戻っていった。
「もう、なんで分かってくれないのよ」
雛の後を追うように、華も車へと戻っていく。
その後二人を乗せた車は、押し寄せるであろう一般人の人混みから隠れるようにしてその場から消えてしまったのだった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
時は同じく。
自宅の部屋に引きこもりニートをしていた少年――
PCに届いたとあるメールを開こうとしていた最中だった。
ただメールには文章はなく、一つの添付ファイルがあるだけ。
もしかするとウイルスの類いかもと思った和真だったが、最近出た新作のゲームを寝らずにプレイしていた結果として、回らない頭のせいで添付ファイルを謝って開けてしまった。
瞬間、和真の体は光の粒子化し、電子分解され、PC画面へと流れるようにその場から姿を消してしまうのであった。
異能力者が世界各地を跋扈する中、俺は自宅のPCにてチュートリアル講座を受ける。 にしじまなな @NanaseAoi
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