第3話 アライさん杖を買う
魔法屋"魔法の杖"に来たアライさんとロデウスはそこの店主少女のルリに軽い挨拶をすると、アライさんが初来店とのことで店内を案内してもらった。どうやらここは様々な商品を取り揃えているようだ。例えば魔法書もあるし魔力を回復させるアイテムもあったりする。また武器の類いも取り扱っていた。
「アライさん、そんな装備で冒険者をしていたらすぐにしんでしまう。アライさんに合った杖を選んでもらえ。」
「おや、転生者様でしたか。この店の杖はどれも一級品です。ではさっそくアライさん様の杖を選びましょうか。」
杖には火、水、土、雷、光、無の6属性がある。アライさんの属性は水属性に違いない、そう思っていると。ルリは何やら直径20cmくらいの水晶を持ってきてアライさんを覗いた。
「アライさんのソウルは赤色と青色をしているから火、水属性ですね。それでしたら」
品を出そうとする店主にアライさんは質問する。
「待つのだ、今のソウルって何なのだ?」
「ソウルですか。そうか、転生したばかりですもんね。えっと、この世界の生き物なら必ず持っている生命の源のようなものでしょうか。」
「つまり"魂"のことなのだな。」
「そちらの世界ではそう呼ぶのですね。で、そのソウルが壊れると死んでしまうんです。そしてソウルには色が付いています。水晶でソウルを覗くことで色を見て属性を判別できるというわけです。」
「なるほどなのだな。」
アライさんはこの世界の知識を得て満足すると、道具屋が杖を勧めてきた。高級感のある漆塗りの木の棒に魔法石らしい石がはめ込まれている。さらに木の質感を損なわない程度に暗めの赤色と青色のラインが入っているのもポイントが高い。
アライさんはそれを受け取ると、その重さを確認した後に軽く振ってみた。なかなか扱いやすそうだ。アライさんはそれを購入しようとしたが財布には金が無い。
「仕方がない、今回の報酬から天引きするから一旦ここはワシが出そう。」
「マジ?助かるのだ。」
それからロデウスと一緒に街に戻り、自宅を目指した。そこでロデウスが別れ際にこんなことを言い出す。
「今日は良い日だったな。それじゃ、またな、アライくん」
「はい、また明日なのだ!」
アライさんは手を振りつつ笑顔で答えた。
「うむ、元気でな」
そして、帰宅したアライさんは自分の部屋にこもると早速手に入れた魔法の道具を使ってみることに。試しに水属性の魔法を使ってみる。この杖はどんな効果があるのだろう?
試してみるとアライさんの体は青く輝き出して杖先に20cmくらいの水玉ができる。それを窓から空目掛けて発射してみた。すると、ゾンビキングに使ったウォーターカッターの倍近くのスピードで飛んでいったのだ。
「ひっ、とんでもない威力なのだ。壁に向かって打たなくて良かったのだ。」
予想以上の火力にこの杖が兵器であるこを再認識する。人に撃てば簡単に死ぬだろう。より慎重になるアライさんは次を試す。それは炎魔法だ。アライさんは火属性も使えるらしいのだが、どんなものなのだろう?アライさんが力を込めるとアライさんは赤く光出した。魔力を絞りに絞って火球を出してみるとロウソクの炎サイズの火球が出た。アライさんはそこで魔力量を増やしたり減らしたりすると精度良く火球は大きさを変える。杖の感度は良好なようだ。
最大火力が試せないのは惜しいが、いい買い物をしたことに満足したアライさんは自然と笑みが浮かぶ。アライさんは満足するとベッドに飛び込むと眠りに就いた。
明日も冒険者見習いとして頑張るのだ。
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