第十七話
そんなこんなで神社に着いた。
「うわ〜結構人が多いねぇ。」
「まぁオレ達が来たのが遅かったんだし並ぶしかねぇだろ。」
横で二人がそんな会話を繰り広げる。
「お前らが家に来たの朝の八時だぞ……」
「遅すぎたかな?」
「早すぎだ馬鹿。」
世の中にいるのがお前達みたいな朝型人間だけだと思うなよ。
「ったく、今年も寝正月するって決めてたのに……」
「寝正月なんて体に悪いわよ!お母さん許しません!」
「おい翠、お前はいつ俺を産んだんだ?」
「そうそれは十六年前……」
「何歳だよ。」
「ほら〜二人共!順番きたよ〜!!」
前で一人大人しく待っていた雪璃が大きな声で叫ぶ。
「行くか。」
「おう。」
「「は〜い。」」
ついに俺達の番になった。
「えっとこういう時どうすんだっけ?」
いざここに立つと頭が真っ白になるんだよな。細かい作法とかがあるんだろうけど……
「えっと、まずは鈴を鳴らして?」
と雪璃が切り出し、手本を見せる。俺も見様見真似でやってみた。
「そうしたらお賽銭を入れる。」
「入れ…る。」
「そこまで出来たら二礼二拍手一礼だな。」
「あっなんか聞いた事はあるな。」
「最初に深い礼を二回繰り返す。そして胸の高さで両手を合わせるんだよ。このときに右手を少し手前に引くのがポイントだな。両手を肩幅程度に開いて拍手を大きく二回打つ。そして両手を合わせ、祈る。両手を下ろし、もう一度深い礼をして終了だ。」
そう翠が丁寧に説明を始める。
「おお……」
「……とまぁここまで詳しく言ったけどやった方が早いだろ。ほらやるぞ。」
「お……おう。」
俺は翠に言われた通り二礼二拍手まで終わらせた。願い事は……っと。決めて無かったな。どうしよ
「ん〜……」
「ちなみに願い事は自分の為にじゃなくて人の為に願った方が叶うらしいよ?」
そう雪璃が横から話しかける。でも人の為に願う事もないしなぁ……あっもう、これでいいや。
(今年は平和に過ごせますように……!)
「なんか……楓だけ長くない?」
「色々あるんだろ。」
「色々……?苦労してるんだな……って楓!もう後ろ詰まってるから終わりにして!!」
怒られてしまった。
「そういえば二人共よくこんな細かい作法知ってるよな。」
「まあオレは色々と仕込まれてるっつうかなんつーか。」
「楓さんや中々に失礼だなぁ。仮にも僕達毎回テストの点数の順位は結構上位にはいるんだよ?」
仮にもって言うんだなそこ。
「あっそうだった。」
「僕は学年三位以内にも入ってるし、翠だって五位以内には入ってるんだよ?」
「……偶然だろ。」
「翠は自分をもうちょっと褒めるべきなの!あと毎回だからね!?偶然では言い表わせないよ!」
しかし俺には縁遠い話だな。
「まぁテストっていうよりか今回のは教養だな。」
再び翠が口を開く。
「教養?」
「そうだね〜暗記とかだけじゃテストで満点は取れないから。こんな知識を常に身につけておくといいね。これが百点を取るコツ。」
「俺は別に百点は取らなくても……赤点さえ回避しておけばいいし。」
「そういう気持ちでテストに臨む姿勢が大事なの!」
「抑えろって雪璃。今日はせっかく遊びに来てるんだからさ。」
「翠の言う事も分かるけど……」
「おみくじ引かなくていいのか?」
「おみくじ!?引きたい!」
おみくじと聞いた瞬間雪璃が急に目を輝かせ駆けていった。
「あ……ありがとな。翠。」
「まぁ勉強はさせるけどな。」
う……忘れてはくれなかった。
「楓と翠!早く早く!!」
「おー今行く〜」
と翠が返事をする。
「ねぇおみくじで勝負しよーよ!!」
おみくじは決して勝負するものではないけどな。
「まぁいいけど。」
「えっマジ?オレも別にいいけど。」
何故か翠に驚かれた。
「じゃあいくよ〜!せ~の」
雪璃の掛け声て一斉に引く。そしてその結果は……と。中吉だ。こんな所でもなんの面白味のない結果になるって逆に才能だよな。これ。
「ねぇ楓はどうだった?」
「中吉。」
「結果まで普通だね。」
「どういう意味だコラ。ていうか雪璃はどうなんだよ。」
「え〜僕?僕は……」
そう言いかけた雪璃がみるみる青ざめていく。
「きょっ、凶……!?」
運無さすぎか。
「あーところで翠はどうだったんだ?」
「だ……」
「まさか大吉?」
「大凶……」
は?二人共??中吉が勝っちゃったよ。なんの面白味のない結果で勝っちゃったよ。というか中吉、凶、大凶ってむしろこの神社に悪意があるだろ。
「二人共良かったじゃないか。普通じゃない結果で(笑)」
「……うう。」
本気で落ち込んでいらっしゃる。
「あーなんだ。悪い結果だったらそこの木に結ぶといいらしいぞ。」
「結ぶか結ばないかは自由だけどね(泣)」
「お……おう。まぁ頑張れよ。」
「「同情するな!!」」
今回は神社の話です。改めて学び直しました(笑)
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