第十四話

こんにちは楓です。今日は十二月二十四日。つまりはクリスマスイブである。だか俺には関係ない。今日は漫画を読むという大事な用があるのだ。街はとても賑わう中俺は堂々と家でだらけてやるっっっ!!!


イルミネーション?カップル?そんなの知るか!!




 ピンポーン




とインターホンが鳴る。母さんか父さんが宅配でも頼んだのだろうか?まぁ俺には関係ないし、続きを読むか。




「楓〜お友達が来てるわよ〜?」


友達?俺に友達なんて……そう疑問を抱きながらも俺は玄関のある一階へと赴いた。そしたらいた柊と翠が。




「あっ、お母様これつまらないものですが。良かったら。」


柊が爽やかな笑顔を浮かべながらうちに来る前に買ってきたであろうケーキを渡す。その一方、




「おー楓邪魔するぜ〜」


翠がこれまた笑顔で言葉を放った。




「楓に友達が出来てしかも家に遊びに来るだなんてお母さん感激!!さっさっ、二人とも上がって上がって♡」


「母さんも余計な事言わなくていいから!」


「「お邪魔しま〜す」」




その後、母さんは眩しいとかぶつぶつ言いながらリビングへと戻って行った。眩しいってなんだ?まぁ母さんにとって十代の若さは眩しいかも知れないが。俺はあまり深入りはせず自分の部屋へと向かった。




「すげぇ漫画がいっぱいある。」


そういって翠が興味深そうに漫画を見つめた。そんなに珍しい事か?量だって言っても人並み程度な物だと思うのだが。




「で?聞こうじゃないかなぜ二人は俺の家に来た?そもそも俺の家の住所なんて知らないはずだろ。」


「そっそれはー…… 」


「とっ友達だからねっ!!」


と柊が取ってつけたようなセリフを口にする。




「本当は?」


「担任に住所聞きました……」


いや柊も悪いけどあの教師……生徒の個人情報をやすやすと…!




「しかもこいつ天宮くんが忘れ物しちゃって届けに行きたいんですけど……とか言ってたぜ?」


「ちょっと翠……!!」


それ言われたら俺も住所答えるわ。ん?ちょっと待て。




「へぇ?というか翠違うクラスだろ。なんで知ってんだ?」


「あっヤベッ……墓穴掘った」


「翠も僕と一緒になってやってました!!!」


先程まで分かりやすい位にうなだれていた柊が元気に報告した。


「おい雪璃お前……」


「お前もグルじゃねぇか」


「すみません。」


「何に対して?」


「「勝手に住所聞き出してすみませんでした。」」


そうして二人は綺麗な土下座をしてみせた。




「そういえばなんで俺の家になんか来たんだ?」


ふと俺は疑問を二人に投げかける。




「僕はせっかくのクリスマスイブだから三人で遊びたいなぁと思って。」


「オレは面白くなる気配を察知したから。」


「なんだそれ。」




「まぁ話はこれくらいにして〜じゃじゃん!!」


「ケーキ?」


「そうケーキ!!」


「どうしたんだよわざわざ……」


「今日はクリスマスイブだからね!奮発しました!」


「何雪璃が全額払った事になってんだよ。オレも半分出しただろ。」


「ふむ……確かに……」


「あっ、楓も遠慮なく食っていいからな〜」


そういって翠がケーキを目の前に差し出す。


「俺も?」


「そーだよ!そのために買って来たんだし!わざわざ人の家に来てケーキ見せしめに来たわけじゃないから〜!」


「そーそーちゃんと食べて貰わないと。でも嫌いなら食べなくてもらわなくていいけど?」


「食べる。」


俺は甘党なのだ。そして肝心のケーキはうまかった。




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