第十一話

教室にて。




「みんなおっはよ〜!」


そういって柊は教室へと入っていった。てか現実にもこんな挨拶するやついるんだ。てっきり漫画のだけかと思ってたわ。


「おはよ柊。朝からうるさ……元気だなぁ。」


クラスの男子が挨拶を返す。というかこいつ今うるさいって言いかけたよな。






「柊くんおはよう♡」


「おっおはようございます雪璃くん♡」


柊が教室に入ると途端に女子に囲まれる。まぁこれも日常茶飯なのだが、やはりいつ見ても慣れない。こういうのを少しばかり見ると引いてしまう。今日も女子は凄いな。




「うん皆おはよう。」


まぁ一番凄いのはこれに動じず平然としている柊なのだが。こいつはこんなに女子に囲まれているというのに好きな女子はいないと言ってたな。となると……あいつ相当理想が高すぎやしないか?流石モテ男となると違うのだろう。




いつも通り前のドアからとても入れたものじゃないな。仕方ない後ろから通るか。


後ろのドアから入って窓際の自分の席につく。




「……寒いな。」


それもそうだ、今は十二月だし。しかももうすぐ冬休みだ。冬休みはあの二人に振り回されなくて済むな。どうせあいつら俺の家は知らないだろうし気が楽になる。二人は俺のことを友達だと言うけれど俺は友達なんて今まで作ろうなんて思ったことすらなかったし、これから作ろうなんてのも思わない。友達なんていてメリットなんてあるのかとも考えてしまう。




別に二人は金をせびるわけでもないし。翠の場合は面白半分で付き合ってるだけだと思う。柊は本当にわからない今までにいなかったタイプの人間だ。あいつが俺と友達になろうとしたときはからかいに来たのだろうと思ったけれどいつも柊の目は悪意を感じないような気がする。悪い奴ではないだろうが……




俺がそんなことに頭を抱えていると、授業開始のチャイムが鳴り出した。そして俺はふとあることに気がつくのだ。


「勉強してなかった……」


俺が後悔したときには時すでに遅しだった。




「お前ら席つけ。今日は前回言った通り生物の小テストをやるぞ〜」


その声を聞いた生徒達が席に着いた。その後テスト用紙が配られ俺はシャーペンを手に取り問題を解き始めた。






「じゃあ後ろから集めてこい。」


まぁまぁ解けたと思いたい。これくらいなら柊には勝てないとは思うが翠には勝てるだろう。あいつ二十点くらいはとってそうだし。流石にそれはないかな。




……というかなんで少しノリノリになってんだ俺は。


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