第十話
「そういえば今日って、確か小テストがあったような…。」
柊が今思い出したように口にする。
「柊さん今なんと?」
「ん?だから小テスト……」
「あーなんかあったような気がするわ。学年共通だったっけ?」
と翠も口にしだす。翠まで!?というか俺ノー勉なんですけど。
「……ちなみに、教科は?」
俺は恐る恐る聞く。せめて理数系じゃないといいが……
そしたら、二人はニコッと笑って同時に、
「「生物。」」
そう答えて見せた。息ピッタリだなこいつら。生物って……終わったわ。というか俺早速フラグを回収した……?
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!!!!」
「ちょっと楓!気持ちは分からなくもないけど、道のど真ん中で叫びながら仰け反らないで!!こっちが恥ずかしいよ!」
「さてはこいつノー勉だな。まぁ〜オレも同じようなもんだけどな〜(笑)」
と翠が口に出す。ああ、なんかお前はそれっぽい。
「あっ、いいこと考えた!!もはや勉強を諦めているそこの君!!僕が考えたやる気を出す方法を教えてあげるぜ!!」
こいつが絡むとろくな事にならないんだなぁ……
「雪璃が絡むとろくな事にならないんだよなぁ……」
今初めて翠と心の繋がりを感じたような気がする。
「ちょっと酷いよ!!」
「冗談だって(笑)」
笑って誤魔化しているように見えるが、俺には分かる。このアホに振り回されて苦労してるんだな翠。
「で、まぁそれは置いときまして」
置いとくんかい。いかんいかん、思わず心の中でツッコミを入れてしまった。
「テストの点数勝負といこうじゃないか!!」
ほら言わんこっちゃない。
「ちなみに最下位はジュースを奢るというルール付きで。」
「ヤダ。」
俺は即座に返す。そもそも柊の勝確だしな。
「え〜どうして?翠は?まさかの翠も反対?」
そういって柊は翠の方を向いた。
「え〜俺は別に……」
そう翠が渋る。翠も嫌そうだし二対一だ。諦めるんだな!柊!
「まぁ良いけど。」
今のは完全に断る雰囲気だっただろ!マジでやるしかなくなったじゃねぇかよ。
「やったー!楓もやるよね?」
「あーはいはい。」
まぁ要するに最下位にならなければいいだけなんだよな。見た目で人を判断してはいけないというが申し訳ないけれど翠には勝てそうな気がする。なんかアホそうだし。ノー勉だとも言っていたし成績はいい方でもないだろう。
そんなことをしている間に学校についた。翠とはクラスが違うため途中で別れた。
「さぁ一体誰が勝つのか楽しみです!それではスタジオにお返しします。」
となぜか、リポーター風に柊が横で嬉しそうに話しかけてくる。
「なぁそれ、わざと言ってる?」
「??」
この顔は本当にわかっていないなこいつ。全く嫌な天然もいたものだ。
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