第九話
「あ"〜…喉痛ってえ…」
俺は昨日行ったカラオケで二人に歌わされたせいで、喉を痛めついでに少し声が枯れた。まぁ俺も途中から調子に乗って歌いだしたんだけど……最近家族以外と話していなかったしな。ましてや歌うなんて数年振りか?
「マジで喉が……」
「のど飴あるけど要る?」
と背後から声をかけられた。
「おお…サンキュ……ってうお?!」
「よぉ。雪璃かと思ったか?残念オレでした〜。」
そういって目の前の奴はしてやったりという顔をしているが、俺はそいつの名前を思い出すのに必死だった。ええっと誰だっけ名前が思い出せない。
「ツインテール……くん。」
「水無瀬 翠だ!覚えてくれよ!確かにツインテールだけどさ。」
それだ。それにしてもこいつがなんでここに……?
「じゃあ水無瀬は……」
「名字で呼ぶのはやめてくれ。なんだかむず痒い。」
「じゃあなんて呼べばいいんだよ?」
「翠で。」
即答である。何か深い事情でもあるのだろうか?ただこれは聞いたらいけないような気がする。
「分かった。じゃあ翠はなんでここに居るんだ?」
「それはだな…」
そう翠が言いかけたその時。
「おはよ〜翠!待った?」
柊が走ってこちらへと向かって来た。ああそういうことか。
「いや楓と遊んでたから大丈夫。」
いや遊んでたってなんだよ。
「へーそうなんだ……ってなんで二人が一緒なの?」
「偶然だ。」
俺が即答する。
「そーそーぐーぜんだな。」
そういって翠は欠伸をする。
「ふぅん。」
そう柊が心底どうでも良さそうな顔になる。
さて、柊が来るとろくな事にならないしさっさと学校に行くか。
「じゃあせっかくだし三人で学校に行こうよ!」
急に柊が無駄にニコニコして提案してくる。
は?俺は今一人で行こうと……そう戸惑っていると、この状況を察したであろう翠が
「おっ、良いねぇ〜♡」
この通りニヤニヤしてくる。こいつ状況が分かった上でニヤニヤしてやがる。ちょっとうざったいな。
「楓も行くよね?」
なんだろうこの感覚。覚えがある。口調は優しいけど圧を感じるあの感じだわ。これには逆らったら駄目な感じ……。
「はい、行きます!行かせてください!」
「そんなに行きたかったんだね!!それじゃあ早速レッツゴー!」
「……w。」
おい翠さっきからチラチラ俺の顔を見てはニヤニヤすんな!!見えてるからな!!
「ん?どうしたの?楓早く来なよ。」
半分はお前のせいなんだけどな。
いつの間にか雪璃のもとに行っていた翠は
「楓く〜ん遅いよ〜?遅刻しちゃうよ♡」
とわざと甘ったるい猫なで声を出しては俺を煽ってくる。その姿を見た瞬間俺はこいつはマジで許さねぇと思ったのは言うまでもない。
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