第7話 天野さんと僕とステータス



「はっ…はっ…はっ…」


「ほらあと34回で腕立て250回終了よ!がんばんなさい!」


「そう…は…言っても…シャトルラン379回…と…腹筋250回もして…るし… 次は体幹トレーニングを…1時間くらい…するん…で…しょ?」


「そうよ。よくわかったわね。時間があまりないから30分のつもりだったんだけども、1時間が良かったの?」


「いえ結構です」



天野さんがそう笑顔で言ってきたので、さっきの疲れも知らないと言わんばかりの真顔で、僕は答えた。



「ふふっ。わかったわよ」



天野さんの今回の笑顔は本物だと思う···



相変わらず天野さんのトレーニングはキツイ。


ワン○ンマンもビックリの筋トレ生活だ。


けれども異世界では命が懸かっている、死んでも教会で生き返ったり、仲間の後ろを棺桶で付いていくようなこともない。


だからこそ天野さんは僕のことを心配してくれているのではないかと思う。


というか、そうだと思いたい。



そんなこんなで何とか筋トレを終えて、休暇していると不意に天野さんが僕に聞いてきた。



「ところで松下くんは自分のステータスが今どうなっているか見たい?」


「!? そりゃ見れるなら見たいですよ!」


「わかったわ。見せてあげる」



そう言った天野さんが何か唱えたかと思うと、目の前に、なにやら半透明の板のようなものが現れた。


そこにはこう書いてあった。



名前 マツシタ ハルト

性別 男

年齢 17歳

Lv. 1

HP体力154

MP魔力7,753,000,000,000

Str 216

Def防御 158

Agi敏捷 289

Intかしこさ 413

Sta持久 427

Tec技術 172



···MPの値がおかしすぎるんだが? 何がどうなったら7.7兆とかいう値になるんだよ!



「天野さん… MPの値って、これ、正常ですか? 明らかに桁がバグってるんですが?」


「ん? これは正常よ。地球人の平均値を100としたときの相対的な値なのよ、これは。地球人にはほとんどMPがないから平均値100といっても異世界換算だと、ほとんど0に近いの。松下くんは地球でMPを持つ唯一の存在なんだから、だいたい地球の人口に平均値100掛けたものが、さっきの松下くんのMPの値になるのよ。だからこれくらい何ら変じゃないわよ。ちなみに異世界でも松下くんのMPはかなり多い方よ」



とりあえずMPは···触れないでおこう。


他のステータスは地球人の平均から見れば割と高水準だと思う。


天野さんと勉強会をしたお陰だろうかIntとStaはそれらの中でもかなり高い。

(Intが勉強会で育ったのか不明だが。)


問題は異世界換算のステータスだといくらになるかだが···ステータスはあくまで相対的な値らしいので比べれる異世界人がいないので、換算した値がわからないのは残念だ。



そうこう考えていると天野さんが話しかけてきた。



「どう? 日々の勉強会や筋トレの成果は? 凄いでしょ? 普通は成長の限界ってのがあるんだけど、それは魂の大きさに依存するのよね。前にも話したけど、松下くんの魂は、はっきり言って異常な大きさなのよ。だから松下くんの成長は底が知れないの。努力すればするほど報われる。異世界行きの日までにどこまでステータスが上がるか楽しみね。だから今日はランニング10キロ走って、明日からも今日と同じ筋トレ生活を送るわよ!」



天野さんは声高らかに宣言した。


どうやら僕は筋肉モリモリマッチョマンになるようです。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「イダァイィィィ!」


「痛くても学校は行かなければダメです!早く用意しなさい!」



昨日の筋トレの効果がさっそく悪い方で表れた。


そう、全身あちこちが筋肉痛でツラい。


ステータスが上がってても身動き1つするだけで、その痛みに襲われる。



「天野さん、流石に休ませてくれないですか?」


「ダメって言ったらダ~メ。痛みへの耐性を得るためだと思って頑張ってちょうだい」


「···はい」



痛みに耐えながら登校した僕はさらなる試練が待っているとは知らなかった。


今日は、体育、家庭科、情報と移動教室が多い時間割だったのだ。


体育は流石に見学したが、それでも体育館と教室の往復が堪えた。


それでも1日耐えきった。



僕が筋肉痛に苦しんでいる、そんな中、僕個人としては関係ない事件が起きた。


長谷川といつも一緒にいることの多いクラスメートの林 尚生はやし なおきの財布が無くなったのだと言う。


情報の移動教室の際に、ホームルームの机の中に入れっぱなしにしてしまい、戻ってきたときには無かったらしい。


まぁ多分、隣のクラスの小原だろう。彼には過去に2回の前科がある。


二度ある事は三度ある、予想ではあるが。


集会とか関係なくても呼び出されるし、正直面倒事はあまり起こさないで欲しい。



放課後、学年集会が急遽集められた。


やはり話題はそのことだった。


まぁ長々と話があったが、まとめると、『いい年して何しとるんや。はよ、自首せんか!』ってこと。


それで名乗り上げるなら警察はいらないと思うのは僕だけでしょうか?



天野さんは放課後の筋トレの時間が潰されたとか頬を膨らませてプリプリ怒っていた。


そんな天野さんに癒されていたら、こちらに気づいたのか危なげなオーラを放ちながら微笑み返してきた。



それ以降、僕の筋トレがよりハードになったのは言うまでもない。





━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



朝の更新を忘れてしまいました…

申し訳ないです…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る