第12話 訓練
皇と対面し、警察の取り調べを受けた30分後。
ようやく宿泊している旅館に戻ってきた俺は、
担任からの説教を受けた後、自分の部屋で今回の件について少し考えていた。
頭の中では恐怖の記憶と悔しさが同時に押し寄せ、だいぶ混乱していた。
『今回は警察が来なかったら確実に死んでいただろうな。千桜が俺のいた場所まで案内してくれなかったらやばかった』
少しだけ気持ちの整理をつけ、自分に何が足りなかったのか考える。
と言っても答えは明白だ。
実戦経験の不足。
どれだけ基礎値が高かろうとそれを使いこなせる経験を積んでいないのだ。
実際、今回の戦闘が人生で初めてだった。
普通に異世界転生とかならそこらへんはどうなななったのだろうが、ここは現代の日本。
戦闘は当然許可されてないしなんなら刃物を持った時点で刑務所行きとなる。
詰まるところ柔道や空手あたりを習わない限り実戦経験を積むなんてことは不可能であり、
そんなことをしていたら日が暮れてしまう。
皇の件は遅くても中2までには終わらせたい。
「どうしようかな〜」
そんなことをぼやきながらその日は就寝することにした。
そして最終日となる三日目、流石に昨日あんなことがあったせいか、生徒が別々にならないよう対策がうってあった。
ただ単に教員の人数を増やし少しでも外れようとする生徒がいたら戻るよう促すだけといったものだが、思ったより効果があったようで最後の見学場所では誰一人遅れる子はいなかった。
俺も普通なら病院で一日安静にしておくべきなのだが、担任の説得により通常よりゆっくり動くことを条件に行動を共にすることを許可してもらった。
俺個人としても見学はしたいと思っていたため、俺の方からもお願いすることで今回の状態に至った。
ちなみに最後の見学場所は清水寺である。
数名の生徒は自由行動の時点で既に行っていたようで、教員が説明することをクラスの子たちに自慢げに話していた。
しかし実際にきてみると150ちょいしかない身長で見る清水の舞台は絶景だった。
秋の季節のため紅葉が見られとても風情ある景色を堪能でき、改めて来てよかったと痛感した。
その後現地で昼食を済ませバスに乗り、学校に着いた頃には既による7時過ぎになっていた。
親の車で自宅に着いた俺は、両親にお土産と現地での話をして夕食を食べ、自室にて少し
筋トレした後に風呂に入ってすぐ眠ることにした。
本当はもっと遅くまで色々やりたいことがあったのだが、疲れと傷を癒すことを考え、就寝することにしたのだ。
「なぁ、君最近なんでそんな怒った顔してんの?」
後日、学校に登校し同訓練相手を見つけるか考えていた俺に、一ノ瀬がそう声をかけてきた。
「そんなに怒ったような顔してるのか?」
俺がそう聞くと
「うん、すごい睨んだような顔し続けてるよ。
それも三日目からずっと」
そうだったのか。
全然自覚していなかったが、どうやら俺は真剣な顔をすると睨んだように見られるらしい。
「別に怒ってないよ、ただ少し悩み事があってさ」
「どんな?」
二日目に俺が不審者に襲われたって言ってたろ?あの一件があったから、せめて護身術くらいは身につけようかなって思ってさ」
できるだけ嘘だとバレないように虚実を混ぜながら会話する。
「ならうちの父さんから教われば?」
「そういえば一ノ瀬の家って道場だっけ?」
「うん、けど父さんは志願した人だけに対人用の護身術を教える講師もやってるんだよ」
「そうなの?」
「うん。中には警察とか自衛隊の人とかも教わってるってじいちゃんが言ってた」
そんなに凄い人なのか。
でも自衛隊とかと一緒に教わるのであれば年の離れた人間との実戦経験も積めるしいいかもな。
「それならお願いしてみよっかな」
「僕の方からも父さんに言ってみるよ」
「ありがとう」
「どういたしまして」
思わぬところからツテができたことで経験の方も知識の方もどうにかなりそうだな。
本当に幸運だった。
そうなったらついにもう確定できる証拠を集めることだけに絞られた。
ついにここまできた。
待ってろよ皇。
必ず俺を殺したことを立証してやる。
みなさんどうもこんにちは、若者です。
前回の投稿から相当間が空いてしまい、申し訳ございません。
マイペースに投稿するといえどもここまで間が開くのは流石にやばかったです。
投稿を待ち望んでいたみなさん、改めて申し訳ございません。
次話は四月中には投稿しようと思っていますので読んでいただければ幸いです。
では、13話で
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