第9話 遭遇
キャンプから数日後、俺は俺はあの駅に通いながら徐々に鑑識課からの信用を勝ち取っていった。
これも徐々にではあったがそれまでにあった出来事なども話してくれた。
つい先日、それも俺がキャンプの準備などで忙しかった時にとある廃ビルで殺人が起こったこと。
そして犯人の供述が四年前の事件と変わらなかったこと。
『そんなことがあったのか』
俺はさらに詳しい話を聞き、その日は帰ることにした。
帰る途中、その日得た情報を整理しながら歩いていると
『付かれてるな』
尾行と言うにはお粗末な程の存在感を出しながら俺の後を付いてくる人間がいることに気がついた。
『どうしたものか』
そう思いながら何事もないように歩いていると
「ねぇ君」
向こうから声をかけてきた。
「なんですか?」
とりあえず返事をし、できる限り敵対感情が湧かないように徹する。
正面からの戦闘は確実に勝てない。
それほどまでに仕上がっている体だ。
「この近くに城田宗佑って人がいるらしいんだけど、知ってるかい?」
低く野太い声でそう告げる。
「俺ですが」
そう答えたあと出てきた言葉に俺は絶句した。
[平井裕斗って人知ってるかい?]
一瞬の寒気と恐怖が襲った。
もちろん俺は生前こんな人間には縁のない生活をしているし、会ってもいない。
「知りませんが、平井って駅で殺された人ですよね?」
「そうなんだよ。知り合いだったんだけどね、城田って子によろしくって昔から言ってたからさ」
これも嘘だ。
生前、俺は城田家と関わりなんて持ってないしあってすらいない。
しかしここは相手に乗った方が得策だろう
「思い出しました。小学校に入る前までよく遊んでもらったんですよ」
「そうだったのか。僕はその時用事があってお葬式にはいけなかったんだけど、悲しかったよ」
「それでは僕はこれで帰ります。あの人のこと色々話してくださりありがとうございました」
「気をつけて帰るんだよ」
そう言って俺は家まで内心で冷や汗を流しながら帰った。
家に帰り、自室のベットで横になりながら今後について考える。
あの男はおそらく皇に雇われた奴だろう。
忠誠心があるようでも無かったし、何より皇の部下であれば誘拐でもなんでもしているだろう。
となると厄介なことになる。
つまるところ皇にはあそこまでの奴を雇えるだけの何かがあるというわけだ。
なかなかに面倒だな、そう思っているところで丁度夕食になった。
夜、いつも通り風呂上がりにニュース番組を見ていると
「ここで臨時ニュースです。◯◯駅で平井裕斗さんが亡くなった事件で、新たに自称無職の原田史郎容疑者が書類送検されました。この件に対し警察は……」
やはりか。
また別の犯人が捕まった。
しかも容疑を認める供述をしているとなると皇が何かしたのであろう。
さてとどうしたものか。
そんなことを考えながら自分の中で今まで見つけた証拠を整理し、事件を頭の中で構築しようとしてこの日は眠りについた。
しようとしただけで実際はどうしても皇が犯人になる構図ができなかったわけだが…。
どうも皆さんこんにちは。
若者です。
体調が回復したため最新話の更新です。
ご迷惑とご心配をおかけしてしまい申し訳ありません。
軽い風邪程度のものが長続きしてしまい、寝たきり状態になってしまっていました。
話は変わりますが、五年生編はここで終わりです。
次から六年生編を書いていくのでよろしくお願いします。
またこのようなことがあると思いますので、近況ノートなどに記載していこうと思います。
もしよろしければご覧ください。それではごきげんよう。
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