第4話 多忙
学校が始ってはや数日が過ぎた。
その間、俺は目立たないように動きながら情報収集をしていた。
しかし、やはり子供にも得られることのできる情報というのは少なく、堂々巡りの毎日だった。
得られた情報はやはり別の人が逮捕されたと言うこと。
そして近くには人が大勢いたこと。
あの駅が家からそこまで離れていないということ。
三つ目はとても有難い情報だった。
直接現場を見れる、それは他のどんな情報にも勝るものだからだ。
今すぐにでも見に行きたい、その思いが強くなっていく。
俺は思い切って現場を見に行くことにした。
「そうちゃんがニュースに興味があるなんてねー」
土曜の朝、俺は母と共にあの駅に来ていた。
やはり生、テレビで見るよりもよくその惨状がよくわかる。
駅とだけあって片付けはもうすでに済んではいたが、未だ警察がちらほら見える。
ここまでとはな、ホームにはまだ掃除なされていない血痕が残っていた。
そんな感じでふらふらと歩きながら残っている情報がないか調べていると。
「君」
ふと声をかけられて振り向いたあと、俺は戦慄した。
その子は俺を突き落としたあの子だったのだ。
「何やっているの?」
「えっと、えっと」
必死になって子供っぽく振る舞う。
「お母さんとはぐれちゃったのかな、おいで、一緒に探そう」
まずい、俺がどうにかして振り払おうとしているところで。
「そうちゃーん、こっちだよー。」
そう声がかかった。
「じゃあ僕もう行くね、ありがとうお兄さん」
「うん、気をつけるんだよ、ここは危ないからね」
そう言いながらさっていった。
「お兄さん名前は?」
必死に呼び止めて名前を尋ねる。
「皇、皇尊だよ。」
なんとか名前を書き出したところで母の元へと
駆け寄る。
「もう帰ろ。」
「いいよ〜」
そういい駅を去る。
素晴らし収穫だ、皇 尊。
年齢差的に長期戦は確定だろうが出来れば皇が社会人になる前にケリをつけたい。
そのためには味方を集めること、そして真犯人として認めさせられるられるだけの証拠を集めなくてはならない。
『まずは味方を集めるところからだ』
そしてどうやって集めるか考えながら俺は帰った。
家に帰った俺はさっそく今後の作戦を練っていた。
『小学生を味方につけるってどうやるんだ?
そして誰を選ぶかも重要になってくるな。』
どうしようか悩んでいだところではと入学式のことを思い出す。
間宮千桜ちゃんか…。
あの子の友達になれれば何かといいかもしれない。
利用するわけじゃないが仲良くしない手はないな。
とりあえず当分はまた情報収集になるだろう。
それと並行して準備も進めていきたい。
まずは学校で優位なポジションにつくところからだ。
今後の方針がざっくりと決まったところで夕食の時間になった。
週明けの月曜日、どう声をかけようか悩んでいると。
「ねぇ、宗佑君。」
と声をかけてきた。
あまりにも突然だったため驚いたが素直に返事をする。
「なに、千桜。」
「宗佑君の家はどこにあるの?」
「小学校を左にずっと言ったところ。」
「じゃあ私の家とも近いね、今日一緒に帰らない?」
「…え?」
あまりにも突然だったためそんな声をあげてしまう。
「だめ?」
こちらとしては願ってもないことだ。
今後のことのためにも是非ともご一緒したい。
「うん、良いよ」
俺はそう言った。
「やった!じゃあまた放課後ね。」
すごいラッキーな出来事だ。
ここでの失敗はそのまま作戦の失敗を意味する。
故に絶対に成功させなくてはならない。
いつになく気合いを入れ、俺は授業に臨んだ。
その日は授業説明とレクリエーションだった。
授業説明の方はなんの問題もなく進み、レクの時間になった。
内容はレクらしく、鬼ごっこだ。
久しぶりだな、そう思い出に浸っているとさっそく始まった。
逃げる側だった俺はとにかく捕まらないように逃げることにした。
はじまった瞬間必死に走る。
目を瞑って走っているとすぐに壁に激突した。
『え?』
どうやら相当のスピードで走っていたらしい。
「大丈夫!?」
担任の先生が近くに駆け寄る。
不思議と痛みは少なかった。
「大丈夫です。」
俺はそう言いすぐに立ち上がった。
「気をつけてね」
担任の先生が声をかける。
全員で大笑いした。
「ダッセー」
「前向けよw」
などと言いながら笑っている。
俺もばかばかしくなって一緒に笑った。
その後すぐに続きが始まり、レクは終わっていった。
それによって分かったことがある。
現段階の俺の運動能力は少なくとも小学五年に相当すると思われる。ちなみに現在の俺の年齢は六歳、小学五年生は十一歳である、
そのため理論上は五年先の子と同じ身体能力があるということになる。
これは有難い発見だ。
皇の年齢は多く見積もっても高ニ。
おそらくは中三あたりだろう。
これならば小六の時点で身体能力は十七歳の域に達する。
[ちなみに皇は現在十四歳、そのため城田が小六の時点では皇は二十歳である。]
これなら十分に戦える。
[この発見は後々重要になってくることを城田はまだ知らない。]
そんなことを考えていると。
「宗佑君、どうしたの?」
千桜が声をかけてきた。
「なんでもないよ。」
「じゃあ、行こう。」
「うん。」
そうやりとりをしたのち、俺たちは学校を出た。
作者です。
本編の途中に出てきた[ ]は、天の声的なやだと思ってください。
心の声とは別の解説枠的なものです。
それから作者と名乗るのはこれが最後です。
お恥ずかしながら若者というペンネームを使うことにしたのでこれからは若者と名乗ろうと思います。
それではまた第五話で。
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