第2話 光の中で
目を開くと何もないところに俺は立っていた
死後の世界
こんなものかと思いながら辺りを見回す
三途の川はない、周りには誰もいない
階段は遠いがある、白い石でできた階段だ。
何もしないのもどうかと思い、とりあえず階段を登ってみることにした。
近くで見るとその階段はとある場所に繋がっていた。
大きな扉のある部屋だ。
大きな扉は自動ドアを思ってくれればいいと思う、少し違うがそんなところだ。
階段は七十段ほどあったと思う、最近運動不足だった俺には少しキツイ。そんなことを思いながら階段を登っていき、ドアの前まで来た。
中には2人の人影があり、少し怖かったが、ここまで来て帰るのも癪なので恐る恐るドアを開けた。中には2人の男女がテーブルを囲んで椅子に座っていた。
どちらもとても美しく、言い方が悪いが人形のようだった。
2人は俺がくることを知っていたらしく、空いている椅子に座るよう言った。
「すみません、ここはどこですか?」
俺はとりあえず聞きたいことを聞いた。
すると少し経った後
「ここは精神空間、あなた方の言う天国です。」
と女性の方が言った。
とても澄んだいい声だ。
「我らはここで死者の意思を聞いている。周りに誰もいなかったのは、単に担当が違うだけだ。そして君には三つの選択肢の中から一つ決めてもらう」
今度は男性の方が言った。
こちらもよく澄んだいい声だ。
「その選択とは?」
という俺の問いかけに向こうは、
「一つはこのまま成仏し、黄泉の国で暮らすこと、二つ目は全く別の人間としてこの記憶を無くし転生すること、大体の人間はこれを選ぶ。
そして三つ目はこの記憶を残したまま新しい生活をすること、でもおすすめはできない。」
俺がなぜかと言うと
「高確率で失敗するからです。その場合、選択肢が出されることはなく、強制的に地獄に落ちます。そのためあまりおすすめができないのですが、あなたはそれでも選ぶのでしょう?」
当然だ、俺は次の人生はやりたいことを全てやると誓ったのだ。それにあの少年に説教してやりたい気持ちもある、そのため
「俺は絶対にあの時代に行きたいです。私情ではありますが、あの子に言わなければならないことがありますから。」
俺はそう言い、どうにか方法がないか聞いてみた、すると
「あなたに私たちの加護を渡します。加護といっても大した物ではありませんが、少しは役に立つでしょう。それによって失敗率も大幅に下がるはずです、確証はありませんが・・」
それでも構わない、絶対に成功させてみせる!
俺は記憶を残したままの転生を選んだ。
そして2人からの加護を受け、新しい人生を進む。
自分の欲望のために、そしてあの少年に説教するために。
俺は転生する。
二度目の人生はガチでいく!
目を開けると俺は小さな男の子の姿になっていた。
起きて姿の確認し、軽く身体を動かしていたところで声が頭に流れてきた。
「無事に成功していて何よりです。さっそくですがあなたに渡した加護について説明します。
あなたには運動能力向上と処理速度増加の二つの加護が働いています。具体的には運動能力が常人の一・五倍、処理能力が常人の一・三倍になります。その後、私たちは一切の干渉が不可能となります。ご武運を」
仕方ないのだろうが少し冷い。
そんなことを思いながら確認の続きを行う。
今後にも関わってくるため、確認はしっかりとしておきたい。とりあえずこんなもんだろう、そう思ったところで、
「そうちゃーん、そろそろ起きてー」
そう声がかかった。
誰だ?、とそう思ったがすぐに思い出す。
俺は新しく城田宗佑として生まれ変わったのだ。
ちなみに年齢は六歳、これから入学式である。
「はーい!!」
そう返事をし、リビングまで小走りでいく。
リビングに入ると今の俺には大きいテーブルが目に入った。
4畳半の大きなリビングに台所が併設されている。
「おはよう、宗佑」
「おはよう、そうちゃん」
父と母が言う
「おとーさん、おかーさん、おはよう!」
俺は小さな子らしく元気な挨拶で返した。
三人でテーブルを囲んで朝食を食べる。
その間にも今後の動きを考える
『とりあえず今は年相応の動きを見せよう。
そこからしっかりとした地位を築き上げていかなければいけない。俺がやりたいことが問題なく行える環境を作るところからだ、そして並行であの子のことも調べていければ上出来だろう。』
まずは目先の入学式をイメージよく終わらせるところからだ。
そう決意しながら朝食を堪能した。
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