第11話 9個目の和菓子(抹茶わらび餅)③
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呉紅店主のお店の滞在が終わり、
オキニス「…真澄…待って下さいね
準備が整ったら
すぐ、迎えに行きますから」
「オキニス君、待ってます
私もクモード王国に戻れるよう
頑張ります。
それまで、どうかご無事で…」
ほんのちょっと…
オキニス君と一緒に居たい
このまま時間が止まればいいのに…
なんて思った。
…けど、それは心の中に仕舞い込み
私と翠狐さんは牡丹城に戻った。
全てを終わらせて
母さんと黒夜ちゃんを連れて
クモード王国に戻る為に、
…そして
もし叶うなら、勇気を振り絞って
オキニス君に想いを告げられたら…
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牡丹城に到着後、
さっそく、母さんと蓬ちゃんに
抹茶わらび餅の事を話をして、
和菓子作りの作業に取り掛かった。
緑「これはこうして…
うん!これでバッチリね」
蓬「わぁ…抹茶パウダーがお狐様の
瞳の色で綺麗……」
母さんの手により、
抹茶わらび餅はさらに
良い出来栄えになって…
「美味しい!流石、母さん
私が作ったわらび餅より
とても美味しいよ!」
黒夜「きゅーきゅきゅ!!きゅー
(真澄の言う通り見た目も綺麗だし
味もとても最高だよ!!
真澄の作ったわらび餅も食べたいな)」
宝石みたいで食べるのが
勿体ない
緑「もうっ2人ともったら ふふっ…」
(…本当に表情や言っている事がそっくりね
…親子だからかな)
蓬「……………」
緑「蓬ちゃん?どうかした?」
蓬「あっいえ、なんだか3人を見ていると
家族…だなって…
いいな…私も家族がいたら…
お父さんとお母さんに会いたいな」
蓬ちゃんはしゅんっ…と少し顔を
俯いてしまった。
翠狐さんから聞いた話だと、
彼女の家族は2人とも
小さい頃、病気で亡くなったんだっけ…
その後、蓬ちゃんは
牡丹城で働く前は一人で
暮らしていたって…
「…蓬ちゃん…」
なんて…悲しそうな顔を…
こんな時…どんな言葉を投げかけたら…
緑「何言ってるの?蓬ちゃんも
私達の大切な家族でしょ?」
蓬「……えっ……」
……母さん!
緑「あっ…えっと…ごめん!
一緒に和菓子を作ってくれたり、
ご飯やお風呂も寝る時だって…
実は私、蓬ちゃんの事、
娘のように接していて…つい」
……やっぱり、母さんは凄いな
なら…私は…
「じゃあ、私は蓬ちゃんのお姉ちゃんだね
私、一人っ子だったから
ずっと可愛い妹がいたらって
憧れていたの」
蓬ちゃんにとって頼りになれる
お姉ちゃんだ!
黒夜「きゅー!きゅーきゅーきゅう…
(僕は二人のお父さんだ!
僕には勿体ないぐらいの綺麗な妻と
可愛い二人の娘がいて
僕は幸せ者だな…)」
おっ黒夜ちゃんも一緒になって
蓬ちゃんを元気付けているのかな?
でも何て言っているのか
分からないので…
「母さん、黒夜ちゃん
何て言っているのか教えて……」
母さんに聞こうと
声をかけたが、途中で止まってしまった。
だって、母さんの頬…
緑「…くっ黒夜君ったら…////
もっもう…私も幸せだよ」
朱色に染まっているような…
それになんだか慌てている?
黒夜ちゃんの方はなんだか、
嬉しそうに尻尾をぶんぶん
振っているし
本当に何言ったんだろう?
黒夜ちゃん
疑問に思っていると、
扉が勢いよくガラガラと開いた。
翠狐「ちょっと!!
蓬と家族になるのはこの僕だから!!
(お嫁さん的な意味で)」
私達の会話を何処かで聞いていた
翠狐さんが突然入ってきて、
続け様に…
檸門「何言っているんですか!
翠狐様、そのニュアンスだと
まだ、早すぎますって!」
櫻海「そうですよ
せめて、5年位は待って下さい!
その代わり、蓬ちゃんは
私達と生活するので」
ツッコミを入れながら、
蓬ちゃんの上司達も乱入。
翠狐「蓬の事は一番知っているっ
だから僕!!」
櫻海「共に生活しているのは
私達です!!」
檸門「そーだそーだ!!」
蓬「えっと…みっみなさん!
落ち着いてっ…」
その後は誰が、蓬ちゃんの家族になるか
論争になった。
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同時刻
国王「……雛美火…お主っ…その姿!!」
雛美火「……あぁ、父上
黒夜にかけられた呪いが
やっと解けました」
国王に向かってにっこりと笑う、
第三王女……ではなく、
元の姿に戻った第一王子
雛美火「黒夜が優しくて本当に良かった
一時的な呪いだったなんて
…ああ、これでやっと……真澄さんを
俺の妃に…ふふふふ」
彼は自分が思い描いた未来に
想いを馳せ、幸せな表情で
微笑んだ。
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