一方、救助へ向かった3人組は④(オキニスside)

……………………………………………………



………………………………………………


最後の休憩が日が昇るにつれ、

終わりを告げ


ついに…


ダージリン「よし、お前ら準備はできたか?」


妖怪の溜まり場、

『牡丹王国』に潜入する日となった。


ここからは集中して、

作戦を実行しなくては

命の保証がない…


おふざけはもってのほか!


……なんだけど……



「ダージリンさん……その格好は…

一体……」


ダージリン「あ?! これが俺様の変装姿だよ

文句言うならシルク魔王様に言えよ

俺様だって好きでなりたかねーよ

こんな姿!!」


ダージリンさんの格好を見て

俺もシリンヌさんも目が点になった。


牡丹王国に潜入する為、

俺たち3人は『人間』に変装した。


もし、魔族、獣人、妖精のまま潜入したら

一発でクモード王国・友好国のシラトス王国の住人とバレてしまう。


俺は『クモード王国第1王子のオキニス』と

バレない様、髪色を茶髪に変え、

カジュアルな服装を着用。


名前は【オリーブ】に変更

魔力がそれほど多くないので、

小型した魔法道具を着用。


シリンヌさんは

ピンキーさんに会う際に変化していた姿

「シリーニャ君」になった。


本来の姿と違い、髪色は少し暗めで

禍々しいオーラが一切無い。

魔力が莫大にあるので、魔法道具は不要。



そして…

ダージリンさんはと言うと……


ダージリン「おい!笑うんじゃねー!!

うぇぇ…足がスースーして

気持ち悪りぃ…」


人間の女性になっていた…いや…

本当に女性になった訳ではない


……女装だ。

もちろん魔力は治癒能力しかないので、

小型した魔法道具を着用。



シリンヌ「ダージリン、

女性の姿も似合っている 違和感ゼロだ!!

さすが、ピンキーを演じるスキルも

ある訳だ!」


ダージリン「……なんで俺様だけ…

まあ、野郎3人で牡丹王国に潜入するなんて、怪しさ満載だよな 仕方ねー……」


はぁ…とため息をつき

ダージリンさんは目を閉じて

「俺様は女、俺様は女」と呟き…


ダージリン「………」


目を開いた瞬間、

ダージリンさんは恥を捨て、



ダージリン「シリーニャ君、オリーブ君

早速行くわよ 牡丹王国へ!」


ピンキーさんの声色で女性になりきり、

牡丹王国の入国屋敷へと

歩き出した。


「待って下さい!ダージリンさん」


俺がダージリンさんを

追いかけようと歩き出した所、


シリンヌ「ピンキーの声…

あぁ…ピンキーに会いたい…再会したら

愛くるしい頬を両手で包み込んで、

あの小さくて可愛い唇に迷わず

ディープキスをしてふわふわな胸を触って

それから……(以下略)」


シリンヌさんが何やら

良からぬ事をぶつぶつと呟いていた。


シリンヌさん…1週間ピンキーさんに

会わないと こんな風になってしまうんですね…



病名:「ピンキーさん不足」


症状はピンキーさんに会わないと

思考回路がおかしくなり、

奇怪な行動をおこす……と


………うん…


聞かなかった事にしよう

今の俺は何も聞いていない


…だけどそのままにしたら、

不味い事になるので…


後でちゃんとダージリンさんに

暴露しよ!!




……………………………………………………



………………………………………………



………………………………………



牡丹王国の出入り口の門に着くやいなや、

ダージリンさんの本領が発揮した。


ダージリン「今回、私達はお仕事の為に

牡丹王国にやってまいりました。

お知り合いの方にはちゃんと連絡を取っております」


門番「ほぉ…ではその知人の名は…?」


ダージリン「桜貝町にいる【呉紅店主】です」


門番「少し待て、呉紅店主に確認を取る」


門番の1人が妖術を使い、

呉紅店主と言う方に連絡を取った。


すると……


門番「話は本当のようだ

証明書も本物だし よかろう

3人とも中に入れ!」


どうやら、相手側には話が通っていて

すんなり、許可がおりた。


ダージリンさんが事前に話を

付けてくれたんだろう。

彼の交友の広さに驚きを隠せない。


交流が難しい牡丹王国まで

友人がいたとは…


ダージリン「ありがとうございます

門番さん ……でもなんだか

監視が厳しくなりましたね」


門番「あぁ、紅国王の命令でな

すまないな…俺たちでも理由が

分からないんだ」


ダージリン「そうですか…

門番さんでも……

慣れない作業で大変ですが

無理なさらないで下さいね」


門番「ありがとうお嬢さん等

仕事、上手くいくといいな」



ダージリンさんはにっこりと笑い

門番に手を振り、中へと入っていった。


引き続き俺たちも門番に頭を下げ

ダージリンさんに引き続き

中に入った。


中に入った瞬間、



空気や景色がクモード王国とは

異なり、妙に緊張感が走った。


「…………………」


この王国の何処かに真澄がいる…


真澄、今 貴方は何処にいるんだ

辛い思いはしていないか…


俺が助けに行くまで

どうか無事でいてくれ…


真澄の笑顔を胸に秘め

俺達は一歩、一歩、

前へ歩き出した。




→第3章前半 完 後半へ続く。


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