一方、救助へ向かった3人組は③(オキニスside)

……………………………………………………



…………………………………………………



「俺は…本当は真澄に自分の正体を

伝えるのが怖いんです」






俺は今まで誰にも言えなかった事を

ダージリンさんとシリンヌさんに伝えた。


ダージリン「オキニス様らしくねーな

何でだよ?お前なら狙った獲物を

逃さないタイプだろ?」


「獲物を逃がさないタイプ…

もちろん真澄は逃がしませんよ

でも……」


もし、彼女に

実はクモード王国の王子なんですって

伝えたら…


「真澄に本当の事を言ってしまったら

距離を取られるんじゃないかって…」


シリンヌ「………オキニス…」

(あの時、俺もそうだったな…ピンキーに距離を取られないか不安だった)


「皆の様に オキニス様って

呼ばれて さらに かしこまった態度に

なるんじゃないかって…


真澄だけは嫌なんです

そういう風にされると…」


ダージリン「たしかに真澄なら

普段も礼儀正しいから…最初は畏るだろうな」


頭の中ではそうなる事ぐらい

俺でも分かっている…

分かってるけど……!



ダージリン「でもお前の好きな真澄は

簡単に相手を差別したり、

距離を取るような人間か?」


「…………!!」


ダージリン「違うだろ なら真澄を信じろ

あー…あとこれは余談だが…

ラピスラズリの若い男衆に

真澄は人気らしいから

うかうかしてると取られちまうぞ」

(まあ、オキニス様が蹴散らしているから

嘘だけど やる気出させねーとな)



「そんな事、絶対させません!!」


そうだ、真澄の隣にいるのは

ずっと俺だ !


他の男なんかに取られるもんか


ダージリン「その粋だ

オキニス様なら大丈夫

俺様が保証してやるよ」

(保証しなくとも真澄の好きな人は

お前だしな 上手くいけよ )


ニカっとダージリンさんは笑い、

手をパンッと叩いた。


ダージリン「さっ!オキニス様の悩みも

解決した事だし もう寝るぞ!

ランプ消すからな おやすみ」


そう言って、ランプの火を消そうと

手を伸ばした時、


パシッ!!


シリンヌさんがダージリンさんの

手を止めた。


シリンヌ「まだ、ダージリンの恋愛話

聞いていない」


ダージリン「はぁ?何言ってんだよ

俺様、好きな人なんていねーよ

恋愛話なんてない もう寝るぞ」


嘘だな、表情を変えずに

話しているけど、俺もシリンヌさんも

分かっていた。


ダージリンさんに好きな人がいる事ぐらい


クモード城を出たあの日、

疑いから確信に変わった。



その人は……



「ココレットちゃん」


ダージリン「………っ!」


ココレットちゃんの名を言ったら、

ダージリンさんはビクッと肩を

震わせた。



ダージリン「なっなんで ココレットが

出てくるんだよ

たしかにココレットとは仲は良いが

妹のような存在でっ…」


「…クモード城を出る際、

ご自身の髪飾りをココレットちゃんに

渡してましたよね?

髪飾りを渡す意味があるんですよね

たしか……」


シリンヌ「『何があっても必ず大切な人の

元へ帰ってくる』と言う意味合いだろ?

俺達は一国の王子だからな!

他の国のお呪いなんて知っている!」


ダージリン「………………」


確信をつかれ

ダージリンさんはみるみる頬を赤らめ、




やがて…


ダージリン「ココレットも姉貴も

気づかなかったから…

2人にはバレないと思ったのに……

なんでこういう時だけ気付くんだよ」


顔を隠す様に前髪を

手でくしゃっと音を立て

触った。


ダージリン「……どう思った?20歳の男が

10歳の女の子に恋愛感情を抱くなんて

ドン引きしたろ」


ドン引き?ダージリンさんは

何言ってるんだろう


何か気にしている事でも…

もしかして……



「ダージリンさん

ドン引きする理由がわかりません

もしかして、年の差を気にしているんですか?」


ダージリン「お前ら、気にならないのかよ?!」


「ええ、真澄とは8歳差ですが、

全く気になりませんよ

好きになって何が悪いんですか?


そうなるとシリンヌさんはどうなるんですか?


ピンキーさんと180歳差ですよ!

そっちの方がビックリしますよ」


シリンヌ「俺は全く気にしていないがな!

歳なんて!ダージリンは気にしすぎた!」



ほらっ、相手と180歳 年が離れている

シリンヌ王子だって そう言ってるし


「ドン引きなんてしませんよ 絶対!

俺、ダージリンの恋を応援します

何なら手伝います」


シリンヌ「いつもアドバイス

してくれるからな

今度は俺達に任せてくれ」


ダージリン「オキニス様…シリンヌ王子…」


やがて、ダージリンさんは、

フハッと笑い声が溢れ、


ダージリン「…ありがとな

そう言ってくれて、

お前らの話を聞いてると

気にしていたのが馬鹿みたいだよな…

はぁーなんだか スッキリした」


背伸びをして、俺達に向けて

こう言った。





ダージリン「シリンヌ王子じゃねーけど

俺様、クモード王国に戻ったら

また、ココレットとお茶したいな…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る