第4話 久しぶりの再会①

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……………………………………………



紅い紅葉が舞う中


雛美火さんに手を引かれ

歩き続けて数分後、


私達3人は神殿に着いた。


「ここが…暁の社の中心部…」


空気が外側にいた時よりも

さらに澄んでいて、


神殿の前には赤い鳥居が何重にも

建てられていて、

神殿には大きなしめ縄が施されていた。


あまりにも立派すぎて開いた口が

塞がらない…


一般立ち入り禁止の理由が

分かったような気がする。


ここは神聖な場所なんだと

汚しちゃだめなんだと

人間の私でも理解できた。


だから人をあまり入れないように

しているんだ。


雛美火「ここにいると肌がビリビリする…

真澄さん、ここが神殿となりまして、

ここで儀式を行うと異世界に繋がります


今から、翠狐さんとその儀式を行うので、

真澄さんはお母様と愛狐が

神社にいるか 確認を願います」




「分かりました 少々お待ち下さい」


いそいそと手提げ袋から

携帯を取り出し、今どこにいるか

母さんにチャットをした。


ピコン!(チャットの音)


母さんからの返答がすぐ来て


「雛美火さん、大丈夫です

母さんと黒夜ちゃん 地元の神社にいます」


儀式の準備をしている2人に伝えた。


翠狐「ん?今 黒夜って言った?」


雛美火「翠狐さん……もしかすると……」



「はっはい…あの黒夜ちゃんが

どうかしましたか?」


翠狐「ううん 特に気にしないで

愛狐には珍しい名前を付けるんだなと

思って」(黒夜って僕の知っている人物じゃ

あの子 一人しかいない…でも…あの子は…)


「あっ…なるほど、たしかに

珍しいですよね 母さんが付けたのかな?」


翠狐「そうかもしれないね

きっと…その狐に会えるの楽しみだな

同じ狐だし!」(もし…あの子だったら…

…ちゃんと話し合わないといけない

突然いなくなった理由を…)


雛美火「翠狐さん準備できましたか

早く儀式を行わないと 扉が開かなくなって

失敗してしまいます 急ぎましょう 」


翠狐「……!わかった 真澄さん

僕たちは今から儀式をするから

少しここで待っててね」


「はい! 雛美火さん、翠狐さん

お願いいたします」



2人は神殿の目の前に立ち

息を整えてから

何やら術を唱えた。



雛美火・翠狐「「ーーーーーーーー」」



術を唱えた後、右手には鈴、

左手には神棚に飾る植物を持ち

優雅に舞を始めた。


シャラン…シャラン…シャララ…(鈴の音)


2人の舞は息がぴったりで

ズレがない…


「綺麗な舞…ずっと見ていたい」


あまりにも美しい舞で

無意識に呟いた。



その時……



カッ!!


突然、神殿が光り出し、


「まっ眩しい…」


あまりの眩しさに

両手で目を塞いだ。


目がチカチカする…



雛美火「……そろそろ来ますよ……」


「へ?……雛美火さん?」



ガタ ガタタッ……ガタ!



すると、神殿の中から

何やら物音がして…


バン!!と扉が開くと同時に

懐かしいあの人の声がした。



緑「えっ何? 何処ここ?

景色が変わってる

さっきまで奏神社にいたはずじゃ…

……あっ!!」


黒夜「きゅーきゅ? きゅきゅ!(大丈夫 緑?

どうやら着いたみたいだ……真澄だ!)」



「母さん!黒夜ちゃん!」


緑「真澄!久しぶり!元気にしてた?」


「……っうん!元気だよ 会いたかった」


私と母さんはお互いに駆け寄り、

思いっきり抱きしめた。


黒夜ちゃんも母さんの肩に飛び乗り、

私に頬ずりをしてくれた。



2人とも温かくて、

本当に来てくれたんだと

実感できた。




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2人と1匹が感動の再会をしている最中、

雛美火と翠狐は小声でこんな会話をしていた。


翠狐「雛美火様…あの子…やっぱり」


雛美火「ああ…15年前に行方不明になった…

とにかく無事で良かった……」


翠狐「ぐすっ…本当に心配だったんだから

何か訳ありかも知れないから、

真澄さんとお母様がいない時

問い詰めようよ」


雛美火「そうだな あの日行方不明に

なった理由が分かるかもしれない…」



お互いに頷き

真澄達の方へ駆け寄った。

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