一方、クモード王国では③(オキニスside)


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一方、クモード王国では③(オキニスside)


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…………………


次の日の早朝…


俺と父さんは

魔術師達の転送用の魔法を受け


十数分後、シラトス城に着いた。


シルク「2人ともわざわざ遠くから

ありがとう…シリンヌもいるし、

これで全員揃ったな

ではさっそく…【マスミ・シンカワ】の

救出作戦の会議を開始する」


リール「すまないな シルク、シリンヌ

どうしても貴方達の力が必要なんだ」


シルク「気にするでない。

僕とお主の仲だろう

ところで…マスミ・シンカワって…

まさか…」


リール「あぁ…お主が思い浮かべている

人物で合っている」


そう言いつつ、父さんは真澄の似顔絵が

描かれている張り紙をシルク魔王に

渡した。


シリンヌ「この女性…ピンキーの友人

オキニスの年上彼女!!

マスミ・シンカワって

真澄さんの事だったのか

オキニス……」


「………まだ、彼女ではないですが

はい…俺の大切な人です…」


……今、彼女は一体何をしているだろう…

誘拐犯に酷い仕打ちをされてないだろうか


生活はちゃんと出来ているんだろうか


一人ぼっちで悲しい思いを

していないだろうか


駄目だ…彼女の事になると

どんどん悪い方向に考えてしまう


シルク「…………」


リール「シルク どうした?」


シルク「いや…真澄さんって

なんだか、オーロラに似てるなと

思って……懐かしいな…」


そう言って…彼女の似顔絵を見ながら、

穏やかな笑みを浮かべた。


シリンヌ「そう言えば…たしかに…

あの時はちゃんと見ていなかったが…

母上…もうあれから140年経つんだな…


父上、母上の生まれ変わりは…」


シリンヌさんの問いにシルク魔王は

首をふるふると横に振り、

悲しげに顔を伏せた。



「…………」


……ちょっと待て…この状況

あまり良くないのでは…?

真澄がオーロラさんに似てるとか

しかも笑みまで浮かべて……


「…………シルク魔王……まさか

真澄の事…一目惚れしたんですか?

俺もそうでしたし…

お気持ちは分かりますが……」


リール「……あー…シルク

感傷に浸っている所、悪いが

あくまでも真澄さんはオキニスの

未来の嫁さんだからな…

もし横取りしようなら……」



ジャキ…(武器を取り出す音)



シルク「…怖っ!!なんという

恐ろしい顔をしてるんだ2人とも!

心の友に対してっ…と言うか…

武器をしまえ!


一目惚れはしていない

僕はオーロラ一筋だ!!!


あと安心しろ真澄さんはオーロラの

生まれ変わりじゃないから! 」


リール「なんだぁ生まれ変わりじゃないなら

安心した。よかった よかった…

すまないな武器を向けて…」


「すみません シルク魔王

俺の早とちりでした」


父さんはシルク魔王に向けてニッコリと笑い

俺もホッと安心して取り出した武器を

いそいそと元に戻した。



シルク「はぁ…相変わらず嫉妬深い親子だな

まぁ人の事は言えないが…


話を元に戻すぞ

真澄さんは今、牡丹王国にいると聞いたが

あそこは妖怪と言う種族の溜まり場

だったよな…」


リール「あぁ…王族は得体の知らない

妖怪だ。王様も何考えているか

分からなかったから、目を付けていたんだが、まさかこの様な自体になるとは…」


…以前 牡丹城に挨拶に行った時

そこで一度王族に会った事がある


見た瞬間、妖気かなんだか知らないが、

禍々しい物を感じ、耐えきれず

少し身を後ろに引き下がった。


また…第三王女の雛美火・紅に対しては…

違和感を感じた


第三王女と偽っても、俺の鼻では誤魔化しきれない…皆んなは気づいていないだろうが、

あの人はきっと……


シルク「……たしかにな…

相手は妖怪だ 魔族と手を組んで

このまま正面突破だったら皆やられてしまう」


リール「……うっ…頭脳戦になるのか

俺、あまり得意じゃないな…

と言う事で…オキニス!!

何か良い案はあるか?」


「父さん…あるにはあるんだか、

上手く行くかどうかは……」


シルク「…なんだ言ってみろ」


「はい…正面突破が無理なら、

俺たちが人間か妖怪に姿を変えて、

旅の商人として牡丹王国に入国すれば良いかと…


もし…獣人と魔族が牡丹王国に入国しようとしたら、明らかにクモード王国とシラトス王国の城の従事者と判断され、入国が難しい…


それに対して牡丹王国はお国柄【人間】を

大事にしている


【妖怪】だとお互いの信頼関係はある

故郷への帰郷だと思われるでしょう」


シリンヌ「いいじゃないか!

その作戦!そのどこが問題があるんだ」


「シリンヌさん…魔族の場合、魔力が膨大にあるから術が途切れない


ただ魔族以外になると魔力が

あまり無いから、途中で途切れてしまい、

元の姿に戻ったら牡丹王国の人達に

バレてしまう…」


リール「……魔族以外にとっては

難しい作戦になるのか…」


そう…獣人にとっては難しい話なのだ。

術を使い続けながら、

真澄の捜索を活動する事が…

すぐに体力も消耗するし、

万が一、牡丹城の従事者と戦いになったら

すぐに負けてしまう


一体…どうすれば……


頭を抱え込んだが、

ピーンとある事が閃いた。


…ここは【シラトス王国】だ

となると……


「そうだ! シリンヌさん

この国って魔力を増幅させる物って

何かありますか?」


シリンヌ「あぁ、それに対応した

魔法道具があるぞ。でもそれが一体…」


「…衣服に身につけるぐらい、

小型に改良ってできませんでしょうか?

そうしたら、魔力を途切れるのを

防げるかも知れません」


シルク「…なるほど…よし!

なら早速、その魔法道具を

僕らの魔術師にお願いをしよう!

なんたって ここは魔法や呪術が栄える

【シラトス】王国だからな!

出来るに決まってる!」


シルク魔王は、魔術達を呼び出し、

魔力増幅の魔法道具の改良を

するように命じ…


シルク「悪いが僕は…魔法道具の改良に

携わる…リール達は、牡丹王国に

入国する下準備をしてくれ」


リール「ありがとう シルク

こっちは任せた! よーし…皆の者!

魔法道具が完成するまで作戦を練ろう」


シルク魔王以外、俺達 全員は

牡丹王国の入国の段取り、

入国後の行動を事細かく、

話し合いをし、作戦を立てた。



ねぇ、真澄…

今は大変かも知れないが、

あと少しで助けに行けるから…


それまでどうか…頼む

無事でいてくれ……


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