第5話 蒼き青年(オペラ)

……………………………………………………


シラトス王国 第1王子

シリンヌ・クリアラン 200歳


種族:魔王の血縁者


現魔王シルク・クリアランの息子で

次期魔王。


父親に劣らず、魔力が莫大にあり、

それは国を1つ滅ぼす程に…


容姿端麗で一度その姿を見れば、

多くの女性を夢中にさせる。


クモード王国の王子とは友人関係


許嫁候補が50人程いる。



ピンキーと会う際はどうやら、

人間に姿を変えていた。


交友履歴は10年程。

ピンキーの成長につれ、

姿を合わせていた。


……………………………………………………


…以上、私達が色んな人達に聞いて

調べた結果、分かる情報はここまで…


この情報を見て、私は少し

情報を収集するんじゃなかったと

後悔した。


魔力が国を1つ滅ぼす程って…怖っ!!

下手に気分を悪くさせれば…

クモード王国はジ・エンド…


ピンキーさんも青ざめてるし、

ダージリンさんもきっと…


ダージリン「はぁっ?!200歳!!

ばあや より年上じゃねぇーか

それに許嫁候補が50人って……

完全に姉貴の事はお遊びじゃねーか!

ふざけやがってぇ!!」


ピンキー「ダッ…ダージリン落ち着いて!」


ダージリンさんは恐ろしい形相になり、

怒りが頂点に達していた。


それもそうだよ

お嫁さん候補が50人いる人が

無理やりピンキーさんを襲うなんて…

完全に遊んでるしか思わない


誰だって怒るに決まってる!!


「えぇ 本当にふざけています!この方は!

ダージリンさん、その方が役所に来たら

全力でピンキーさんを連れて行くのを

阻止しまょう!」


ダージリン「おうっ!!おい みんな

準備は出来たか?」



職場仲間1「こっちは準備オッケーです」


ココナ上司「わしも泣く準備は整った」


職場仲間2「ピンキーさんは大切な仲間よ

連れて行かせるもんか!」


そして、今回の作戦は、

職場の仲間達にも協力して貰っている。


事の経緯をダージリンさんから説明したら、

全員、ブチ切れて…



ココナ上司「困るよ!!うちの大切な部下を

連れて行くとか、わし達も協力する!」


職場仲間1「ピンキー、安心して何があろうと

私達全員は貴方の味方よ!」


即了承して、作戦に参加した。


ダージリン「そろそろ…奴が来るな…

姉貴!元の姿に戻れ 真澄の所に隠れろ」


ピンキー「わかったわ 解除!!」


みるみるピンキーさんは小さくなり、

私のポケットの中に隠れた。


それと同時に…

出入り口から物凄い風圧が流れてきて

体全体にかかった。


出入り口に目を向けると…



「…!!……」



青みがかった黒髪に、青緑色の鋭い瞳…

王族衣装を身に纏っていて…


明らかに一般人とは違う雰囲気を

かもちだしている


瞬時にこの方がシリンヌ王子だと

理解した。


ピンキー「……シリーニャ…君」



ココナ上司「きっ来た!みんな姿勢を正せ! 真澄さんは受付に!」


カツ


カツ


カツ


足音は一歩、一歩

受付に近づき…


受付前に立ち止まり私に

こう言ったんだ




シリンヌ「俺はシラトス王国の王子

シリンヌ・クリアランだ、

突然の訪問で申し訳ないが

ピンキー・チャイを呼んでくれないか?」


風貌からして、あきらかに王族その物だ。

さらに威厳が出て怖い!!


「…………!」


微かにポケットから振動がした。


その振動はピンキーさんが中で、

カタカタ震えているから…


…ピンキーさん……怯えちゃダメよ私!

私がこんなんじゃ、彼女はシリンヌ王子に

連れて行かれる!


…私が今、出来る事は


「はいピンキーさんですね

お呼び致します。少々お待ち下さい」


平然を装う事だ。


シリンヌ「ああ、頼む」


私はシリンヌ王子に一礼して、

ピンキーさんを呼んだ。


「ピンキーさん!お呼びですよ!」


ピンキー?「はーい!今行くわ」


トタ トタと足音がして、

私の隣に立った。


その人物は見た目も声もピンキーさん、

でも本物の彼女は、元の姿に戻り、

私のポケットの中で身を潜めている。


ピンキー?「シリンヌ様、

わざわざ遠い場所より足を

運んでいただきありがとうございます

また、今までの無礼をお許しください」


彼女?は深々とシリンヌ王子に頭を下げる。


仕草も立ち振る舞いもピンキーさんに

そっくり…すごい…さすが双子だ

私だったら見間違えちゃう


そう…この人物は……



ピンキーさんに変装した

『ダージリンさん』だ。



ダージリン「なーんてね!どうかしら

シリーニャ君びっくりした?

でも、これからはちゃんと

身分をわきまえて…」


シリンヌ「……お前、ピンキーじゃないな」


ダージリン「?何言ってるの?

どうしたのシリーニャ君?」


シリンヌ「たしかに姿や声色は同じだ

ただ、お前に違和感を感じる

本物のピンキーは何処だ?」


ダージリンさんの変装はあっさり、

バレてしまった。


でもこれは予想していた範囲内で、

驚きはしなかった。


ここからが作戦の本番なのだ。



ダージリン「ふふふ…あっははは!」


シリンヌ「…何が可笑しい?!……」


ダージリン「いや、さすが魔族の王子…

いとも簡単に俺様の変装に気付くとは

大したものだぜ!」


シリンヌ「お前は何者だ?なぜピンキーに変装している?!」


……ピンキーさんの姿をして、

ダージリンさんの声…違和感が半端ない。


…シリンヌ王子は恐ろしい形相になり、

今にもダージリンさんに掴みかかってきそうだ。


ダージリン「俺様はダージリン・チャイだ

ピンキーの双子の弟だ!!

王族のテメェが平民の姉貴に何の用だ!」


シリンヌ「ピンキー…の弟…!

それは失礼した 俺はピンキーに

約束があって来たのだが…

頼むここに連れてきてくれないか?」


彼は頭を下げ、ダージリンさんに懇願する

……あれっシリンヌ王子って…本当は良い人なんじゃ…


……いいや!駄目よ私騙されちゃ!

お嫁さん候補が50人いるじゃない!


頭を下げ続けるシリンヌ王子…

だけど、ダージリンさんよ答えは…



ダージリン「…そいつは出来ないな…」


睨みを効かしながら、

シリンヌ王子にそう告げた。


シリンヌ「何故だ!」


ダージリン「…シリンヌ王子…

何故、俺様が姉貴の格好をしているか

分かるか?」


シリンヌ「……ピンキーを俺に会わせたくないからか?」


ダージリン「違う…あの机を見ろ」


すっとダージリンさんはある方向に

指を指した。


指を指した場所は机があり、

その上に花束とお香が添えられていた。


シリンヌ「…………っ!!!」



ダージリン「これで意味が分かったろ

姉貴はな…2日前に自殺したんだよ

だから出来ないんだよ。 」









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