第2話 ダーク・スカイ (イチゴのケーキ)

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朝になった。


チチチッと小鳥のさえずりで

目が覚めて、急いで朝食を取る。


今日の朝食は

ヨーグルトにサラダにパン、

ベーコンエッグ。


お手製のレッドベリィのジャムを

パンにつけ頬張る


焼きたてのパンは外はサクサクで、

中身はもっちりして、もう一枚食べたくなった。


でも…今日はヨーグルトさん宅で、

お祝いがあるから……


パンっ!(手を合わせる音)


「ご馳走様でした!」


何とか我慢できた。



そして、朝食後、

皿を洗い自分の身支度を整え、

ヨーグルさん宅へ行く準備をしていると…



ドン ドン ドン



ドアを叩く音がした。

もしかして…


オキニス「真澄、オキニスです。

迎えに来ました。」


「!」


オキニスさんだ

ドアを開けなきゃ!


「今しばらくお待ちを!」


ドタ ドタと急ぎ足で玄関に向かい、

ドアノブを回した。



ガチャ ギイィ…


オキニス「おはようございます。

準備は整いましたか?」


ニコッと笑うオキニスさん、

うっ…相変わらず笑顔が眩しい


「おはようございます。オキニスさん

準備はバッチリです。よろしくお願いします 」


バックを斜めに掛けてっと、

二段ケーキを入れた箱を両手で持って

玄関を出る。


扉はオキニスさんに支えて貰った。


オキニス「…とても大きな箱ですね

その中に真澄の作ったケーキが

入っているのですね。」


「はいっ、張り切っちゃって

二段にしました。中身はヨーグルさん宅に

着いてからのお楽しみです!」



オキニス「へぇ…それは楽しみですね。

あっそれと……」


ひょいっと私が持っていた

大きな箱を抱えた。


オキニス「重たそうなので、俺が持ちますね

反論は無しですよ」


「あっ…うっ…ありがとうございます。

重かったら、言ってくださいね」


オキニス「分かりました。

ではヨーグルトさん宅に行きましょうか」


そう言って彼は歩き出し、

その後ろをついて行くように私も歩き出した。




「……………」


オキニスさんの後ろ姿を見て

ふと思った。


…何で みんなは彼の事を

《オキニス様》と呼んでいるんだろうって…


ピンキーさんもダージリンさんも…

年下や年上であろう人達も…


言葉遣いだって殆どの人達が敬語だ…


思い返して見れば、

疑問に思った事が幾つもある。


例えばクモード城では、

母親のルビーさんが必ずいて、

メイドさんやお城の働く人々に、

命令や指示をしていた事や


レッドベリイだって、

オキニスさんがいなかったら、

ゲット出来なかった事。



……彼は一体何者なんだろう…


本当に王国の騎士なのかしら…


いや…もしかしたら、

貴族だったりして……


私もみんなと同じ様に言葉遣いや、

呼び方を変えた方がいいんじゃ…


疑心暗鬼にオキニスの後ろ姿を、

ジッと見ていると、


オキニス「真澄、何故俺の後ろにいるんですか。横に来て下さいよ」


急に くるっと私の方に振り向いた。



驚きのあまり私は


「はっはい!オキニス様!!

……あ…」


みんなが呼んでいる方で呼んでしまった。



「ごっ…ごめんなさい間違えました。

……いや、私もこの呼び方の方が

よろしいでしょうか」


オキニス「…………で…」


「……えっ今なんて」


オキニス「真澄は(オキニス様)って

呼ばないで下さい 。真澄に

そう呼ばれると嫌です。とても…」


オキニス様と呼ばれた彼の顔は、

あからさまに むすっとしていた。


「ごっごめんなさい 気分害されたなら、

私はオキニスさんとお呼び…」


オキニス「なら、この際 オキニスと

呼んでください。俺は呼び捨てで呼んでいるのに、真澄はいつまで経っても、

俺の事を【さん付け】ですし」


いっいきなり呼び捨て?!

……私にとっては無理難題の話だよ。


……いや、でも、ここで断ったら、

オキニスさん…さらに気分を

悪くするだろうな…


じゃあ…


「……オッ…オキニス君…」


ぴくっとオキニスさんの耳が動いた。


「いつか、ちゃんと呼び捨てで

呼びますので、今はこれで勘弁してくれませんでしょうか」


君呼びも恥ずかしいけど

呼び捨てで呼ぶよりかは少しマシ!


さあ…どうかな!!


オキニス「ふふっ…仕方ありませんね

さん呼びよりかはとても良いです。

じゃあ、これからはオキニス君って、

呼んで下さいね」



「はいっオキニス君」


尻尾がゆらゆら揺れているので、

怒ってない。それになんだか嬉しいそう?

さん付けだと他人行儀で嫌だったのかな?


そう思っていると遠くから声がした。


ヨーグル「あっ…いたいた!真澄ちゃん、

オキニス様!」


いつ間にかヨーグルさん宅に到着していた。



オキニス「おはようございます。

ヨーグルさん」


「おはようございます ヨーグルさん

お待たせしました。今日はよろしくお願いします」


ヨーグル「待ってなんかないよ!

ささっ2人とも家に入って!

主役も中でスタンばっているよ」


「「お邪魔します」」


家の中に入ると…



ココレット「二人ともいらっしゃい!

あっ…お父さん、この人が真澄お姉ちゃんだよ」


ココレットちゃんともう一人…


ダーク「ほう、この方が…

初めまして、我はダーク・スカイと申す

私の家族が世話になっている。」


「………よっよろしくお願いします」



背が高く、表情が怖い男性が

出迎えたくれた。



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ヨーグルトさんの旦那、

ダークさんと初対面。


……そして今…

ダークさんを主役とした祝い事が

開催されている。


ヨーグル「おかえりなさい!お父さん

今日は、貴方の為にみんなでご馳走を作ったんだ」


ダーク「そうか」


ココレット「あとお父さんの大好きな

レッドベリイの使ったケーキもあるよ。

真澄お姉ちゃんが作ってくれたんだ」


ダーク「楽しみにしている」



「………………」


…ダークさんは無表情でヨーグルさんと

ココレットちゃんの話を聞きながら、

食事をとっている。


自分が主役のパーティーなのに…

嬉しくないのかな……



オキニス「真澄、大丈夫ですよ

ダークさんの尻尾をと耳を見てください」


「えっ…?尻尾と耳?」



オキニス君に言われた通り、

視線をそちらに向けると…

あ…これは分かりやすい……


尻尾はブンブン勢いよく降っていて、

耳はピクピクと動いていた。


「オキニス君……ダークさんは

とても喜んでると言う事でよろしいでしょうか」


オキニス「はい、彼は表情を出すのが不得意なので、尻尾や耳で感情を表しているですよ

俺もたまに使います」


へぇ、知らなかった

そういった感情の出し方もあるのね…


きっと尻尾の振り方や耳の動き方によって、

色んな感情の出し方があるんだろうな

今度調べてみよう。



ヨーグル「真澄ちゃん!

そろそろあのケーキを

出してもらえるかな」


ダーク「ヨーグル、ココレットも言ってたな…ケーキとは何だ?」


ヨーグル「見てのお楽しみだよ

真澄ちゃん!お願いします」


「分かりました!少々、準備をしますので、

お待ちください 台所お借りします」


ガタッとイスから立ち、

いそいそと台所に向かった。


まずは箱からケーキを取り出して

ケーキの上にチョコレートプレートと

ローソクを刺した。


最後のトッピングはこれで完了!


先にケーキの取り皿と

ケーキナイフを持ってきてから、


メインディッシュの

二段ケーキみんなの前に出した。



アイリッシュ「すごい!こんな大きなお菓子初めて見た!」


ココレット「きれい…食べるの勿体ない…」


ブルー「……(ヨダレが出ている)」



二段ケーキを目の前に出された

みんなの様子は目を輝かせたり、

驚いた表情をしていて、

ダークさんも二段ケーキが出た瞬間、

カッと目を見開いていた。



「お待たせしました!

ダークさんの好きなレッドベリイで

ケーキを作りました。私のいた世界では、

祝い事の日に作られるお菓子なんです。

そして…」


元の世界から持ってきたライターを

カチカチと火を出して、

ケーキにさしてあるロウソクに火をつけた。



「主役のダークさんにはこのロウソクの火を

消して貰います 」


ダーク「ほぅ…ロウソクを消すのには

何か理由があるのか?」


「はいっ ロウソクを消すのには

理由がありまして、祝い事がお誕生日の場合は、1回でキャンドルの火を吹き消すことができると、願い事が叶うジンクスがありまして


今回はお誕生日ではないのですが、

少しでも楽しんで貰いたいと思い

ロウソクをのせました。」


私の説明を聞いたダークさんは

ゆらゆら揺らめいているロウソクをじっと見て


ダーク「願い事か…1回で吹き消せば良いのだな」


そう言うと息を大きく吸い込んで、

ふっー…!と1回で火を消した。


「おめでとうございます!

願い事が叶いますように…」



ダーク「……こう言う祝いの仕方が

あるのだな。ありがとう 真澄さん

俺たち家族の為に……」


ふっと微笑むダークさん、

その様子を見たヨーグルさんは、


ヨーグル「本当に5年間、

お疲れ様…お父さん…」


頬に一筋の涙を零し、笑顔でそう呟いた。




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