第1話 祝い事(イチゴのケーキ)①



異世界に転移して…

ちょうど3ヶ月目。


前回は元の世界に戻り母さんと再会、

黒夜ちゃんと出会い、

二人と一緒に1週間生活を送った。


元の生活は、

母さんと黒夜ちゃんと旅行に行ったり、

親友と食事に行ったりと楽しくて、

穏やかな日々だった。


その間に私はこれからどうしたいのか、

何をしたいのか考え…


漸く一つの答えにたどり着いた。


やっぱりお菓子を広める野望を

叶えたいって…



私は………


『母さん、私やっぱりクモード王国に戻るよ

やりたい事をまだ成し遂げていないから。』


…と二人に告げ クモード王国に再び転移した。



これが2週間前の話。



そして今…


「プレートをどこに乗せようか…

今回はタルトにするか…

スポンジケーキ…ビスキュイか…」


私はヨーグルさん一家の為に、

お祝いのケーキの案を考えていた。


どうやら、ヨーグルさんの旦那さんが、

5年ぶりに家に戻って来るとの事。

その為の祝いのケーキである。


先日、約束のカスタードプリンを渡す為、

ヨーグルさん宅へやってきた時、


彼女と子供達の嬉しそうな表情を見て、

知る事ができた。


……………………………………………………


(先日)



「ヨーグルさん なんだか

嬉しそうな表情ですね

何か良い事があったんですか?」


ヨーグル「えっ…そんなに顔にでていた?

うふふ、実は5年振りにお父さんが

帰ってくるの」


ブルー「ぼく、お父さんに会うの初めて!」


アイリッシュ「オイラは、お父さんが帰ってきたら、剣の練習するんだ!」


ココレット「お母さん、本当に、

これからはお父さんとも

一緒に暮らせるんだよね!」


ヨーグル「えぇ本当よ!お父さんから連絡があって、1週間後に戻ってくるって、

ココちゃん、お父さんの為にご馳走を作ろっか」


ココレット「うん!お父さんが大好きなお肉料理を作るぞー……あっそうだ!」


ココレットちゃんが何か思い付いたようで、

私の顔を見た。



ココレット「真澄お姉ちゃん!

お祝いのお菓子って何かないですか?」


「そうですね…ならホールケーキは

どうでしょうか?お祝い事にはぴったりです。」


生クリームでデコレーションして

華やかにするのもありだし…


定番のいちごの生クリームケーキや

フルーツタルト、ガトーショコラを作り、

プレートをケーキの上に乗せるのもいいよね。


じゅる…想像するだけでよだれが…


ヨーグル「祝い事のホールケーキ…

真澄ちゃん!お願いなんだけど…

お父さんの帰ってくる日に合わせて

ケーキを作ってほしいな…ダメかな?」


「……!その言葉待ってました。

もちろん喜んで!とっておきのケーキを

作りますね」


ヨーグル「ありがとう真澄ちゃん。

じゃあ……」



…………………………………………………




………………………………………………



………………………………………




「よし…最終確認でヨーグルさんの

旦那さんが好きな食べ物、

レッドベリイ(イチゴ)も含まれてるし、

飾り付けもこれで良いよね…」


よしっ!決定!!

今回はレッドベリィ(イチゴ)のケーキに

しよう。


卵や砂糖等のスポンジケーキの材料は

家にあるとして…


家にないのは生クリームとレッドベリイ…


生クリームはヨーグルさんのお店で買える。

レッドベリイは……たしか

クモード城の庭園で栽培しているとか……


明日、クモード城に用事がある事だし、

もし会えたら…オキニスさんに

レッドベリイを分けて貰えるよう

お願いしようかな



……会えるといいな


彼の笑顔を思い浮かべ、

胸をときめかせながら


まずは生クリームも買う為、

ヨーグルさんのお店へと



「行ってきます」


バタン!(ドアを閉める音)


足を進めた。


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