第11話 ただいま!(アップルパイ)完
※第1章の最終回となります。
元の世界に戻って今日で1週間
ついに約束の日が来た。
ペンダントが光り出すまで、
私はクモード王国へ行く準備をしていた。
「携帯の充電器と発電機よし、
シナモンパウダーとパイシートよし…」
緑「あとは林檎ね。クモード王国に戻ったら
みんなに作るんでしょアップルパイ」
はいどうぞと母さんは
紙袋いっぱいの林檎を渡し、
受け取った瞬間ずしっと重みを感じた。
おっ…重い……でも…
…1週間、お休みだった訳だし、
私に任せられたお仕事も
誰かがやっている筈…
お友達や仲間達…
他にもラピスラズリの森の人々、
クモード城で関わった人々、
多くの人達に対して作るから、
材料も多く持っていかないと
「ありがとう母さん
よし!これで準備は完了」
緑「どういたしまして、なんか…
娘が嫁に行く感じで寂しいわね…」
「母さん…大丈夫!
また ここに戻ってくるから、
その方法もちゃんと見つける!!
その間は…黒夜ちゃん、
母さんの事お願いします。」
黒夜「きゅぅぅ…
(真澄…わかった緑の事は任て!)」
緑「黒夜ちゃんがいれば寂しくないわね
…うん!母さん待ってるね
真澄が戻ってくるのを…」
私達は顔を見合わせ、笑い合い抱きしめた。
その時
パァァァァと机の上に置いていた
ペンダントが光り出した。
「…ペンダントが光り出した
…もう行かなくちゃ…」
緑「えぇ…行きなさい真澄
光が消えたら二度とクモード王国に
戻れなくなってしまうんでしょ」
「うん!リュックサックを背負って…と」
そしてペンダントを首に掛けて…
「じゃあ母さん…黒夜ちゃん…
行ってきます!」
いつまた会えるか分からない、
なら…忘れないように、
向こうに行っても思い出せるように…
瞼に焼き付けるようにして
母さん、黒夜ちゃんを見た。
緑「行ってらっしゃい真澄
気をつけてね!」
黒夜「きゅー!(頑張れ真澄!)」
手を振る母さん…
尻尾をパタパタ振る黒夜ちゃん…
2人の声援を聞き、
私の身体はペンダントの光に包み込まれ、
ふっ…と辺りが見えなくなった。
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……………………………………………
………………………………………
………………………………
しばらく時間が経ったのちに…
空気が変わった。
???「ーーーみ」
……?声が聞こえたような…
???「ま…すみ……」
私を呼ぶ声がする。
この声色知っている。
元の世界に戻っても想っていた。
1番会いたくて…
私の……
???「真澄!」
好きな人。
そっ…と目を開くと
目の前にオキニスさんがいた。
「オキニスさん……皆さん…
ご心配お掛けしました。」
その周りにはピンキーさんや
ダージリンさん、ヨーグルさん一家、
仲間達がいた。
「……新川 真澄 戻りました。……!!」
素早く手をひっぱられ
ぎゅうぅと力強く、
オキニスさんに抱きしめられた。
…いっ…痛い 苦しい
でも…なんだか…あったかいな……
抱き返そうと思ったけど、
「………………」
気持ちがバレそうな気がしたから、
オキニス「………!」
……私も会いたかったですっと
心の中で呟き、背伸びをして、
彼の頭を撫でた。
いま、私が彼にできる事はこれしかない。
想いをまだ告げる事が出来ない、
臆病な私を許してね。
オキニスさん…
いつか、ちゃんと想いを告げるから、
たとえ、オキニスさんが私に
興味がなくても…
ダージリン「おーい…オキニス様
そろそろ真澄を離そうか。みんな見てるぞ。」
ピンキー「オキニス様
私達も真澄ちゃんとの
再会を分かち合いたいです」
……みんな……あっ…!
バッ!!みんなの方向を見ると
頬を染めている人もいれば、
怒りでプルプルしている人もいて…
小さな子供達は
大人の手で目隠しをされていた。
はっ恥ずかしい!!
オキニス「……!!…そうだな
また、みんなに説教されてしまう。」
そっ…と腰に回していた手を離し、
笑顔で…
オキニス「真澄、おかえりなさい。」
と言った。
当然私はその言葉に対してこう言った。
「ただいま!オキニスさん」
→第1章 おしまい。第2章へ続く。
……………………………………………………
『オマケ 真澄の恋愛相談』
※ここからは会話のみとなります。
ま…真澄
ダ…ダージリン
………………………………………………
元の世界から再びクモード王国に舞い戻り、
数日経った頃、私はラピスラズリの森にいた。
目的はバニラビーンズを頂くのと、
ある人物に相談に乗って貰う為に。
ダ「……その相談相手っていうのが、
俺様でいいのかよ
姉貴じゃなくてよかったのか?」
ま「はいっ…この内容は
ダージリンさんじゃないと
ダメなんです…」
ダ「わかった で、何を相談したいんだ
この俺様に?」
ま「ダージリンさん…実は私、
好きな人ができました。」
ダ「へっへぇ~…
(おいおいおい…あれだけオキニス様が
真澄にちょっかい出す男共を
蹴散らしていたのに大丈夫なのかこれ…
好きな人が出来たって…
オキニス様にバレたら……)」
ま「……だけど…」
ダ「なんだ 何か問題あるのかよ?」
ま「好きな人…私より8歳も年下の方なんです…」
ダ「……はっ はぁ?!マジかよ…
たしか…真澄ってオキニス様と
同い年だっけ?だとしたら……
9歳の子に…恋心……」
ま「あれっ、私の年齢
言ってませんでしたっけ
私の年齢は 25歳ですよ
なので…17歳の子を
好きになってしまいました…」
ダ「25歳…嘘だろ…?! 俺様より年上っ?!
悪い真澄ずっとタメ口で
これから敬語で話すべきか?」
ま「いっいえ気にしないで下さい
そのままで大丈夫です
その…話を戻しまして、
どうしましょう…ダージリンさん…
何か良いアドバイスはありますか?」
ダ「いや、17歳なら何とか大丈夫だろ
この国の成人は16歳からだし!
でもちょっと17歳じゃ早いな
俺的には18~20歳ぐらいで想いを
告げたらどうた?
その子の為だ。色んな選択肢がある中で、
いきなり俺達が奪ってはダメだ」
ま「なるほど…やっぱりそうですよね
ありがとうございます。ダージリンさん」
ダ「どういたしまして!それで誰なんだよ
好きな人って?」
ま「……オッオキニスさんです///」
ダ「オキニス様か…あいつモテるから
頑張れよ!
(相思相愛かーい!!何だ心配して損した
……いや、待てよ そっちの方が返って真澄が
危なくないか…オキニス様…昔言ってたよな
好きな人ができたら、どんな手を使っても
手に入れる たとえ心が俺に向いてなくてもって…
そんな物騒な事を考えている奴と両想いなったら…)」
ま「ダージリンさん?」
ダ「……あっいや何でもねえ
とにかく真澄 お互いの好きな人に
想いを告げるのは、あいつらが一定の年に
なるまで内緒な 俺様達は大人だ約束は守れるな?」
ま「はいっもちろんです!ダージリンさんも
頑張って下さいね ココレットちゃんの事」
ダ「ああ、あと8年の辛抱だけど、頑張るぜ
真澄もな!」
……………………………………………………
こうして真澄の恋愛相談は終了した。
その後、ピンキーが仕事の間、
真澄がダージリンに会いに行った事を
知ったオキニスは…
物凄く嫉妬をして、数日間
恐ろしい視線をダージリンに向けていた。
……………………………………………………
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