第九話 二人の王女

新たに白虎獣神国の姫、ティアを仲間に加えた次の日、王城から迎えの馬車がやってきて中からアメリアが出てきた。

アメリア「お迎えに来ました、勇者様!」とアメリアが抱きついてくる。

エリス「王女様!またそうやって抱き付かないでください!」と怒るエリス

ティア「はぁ、初恋王女は相変わらずだね」とため息混じりにいうティア

アメリア「むぅ、失礼しました聖女様、って何で貴方ここにいるのよ、ティア!」

ティア「何故って僕は昨日勇者パーティーの一員になったからさ。」憤るアメリアに淡々と告げるティア。

アメリア「なっ、私がいない間にいつの間に、成程どうりで昨日は何処からか誰かに見られてるような気がしたのは貴方だったのねティア!脳筋王女にしてはやるじゃない」

ティア「初恋を拗らせ過ぎてる脳味噌お花畑の初恋王女に言われる筋合いはないと思うけどなぁ。」

アメリア「へぇ、言うようなったわね、ならついでに今すぐその減らず口を叩かないようにしてやるわ。覚悟は出来てるわね?」

ティア「未だに僕に連敗中の君が暫く会わない間に随分と大口叩けるようになったじゃないか。でも、売られた喧嘩は買わせてもらうよ、売られた喧嘩や戦いは全て買って勝てがうちの部族の掟だからね。」

二人の王女が互いに火花を散らし、馬車の御者の騎士がまたか、とでも言いそうな顔でため息をついた。流石にこのままだとまた昨日のように収拾がつかない状態になりそうなのでひとまず仲裁に入る。

竜星「アメリア王女、そろそろ王城に行きたいのですがよろしいですか?あと、ティアは直ぐ挑発しないこと、発言する時はよく考えてからして。そして自分の発言には責任を持つことを覚えて、分かった?」

ティア「うっ、ごめん、悪かったよ。」

アメリア「申し訳ありません、勇者様」

なんとか収まった、これから大丈夫かと不安になる。そして馬車に乗り王城に着き、女王に軽く謁見し、何故かアメリアも旅についてくる気だったため、仕方無くアメリアもパーティー加入を許した。エリスは剣呑な目つきで、ティアは不満そうだったけど。

「いらっしゃい!今日は野菜全て半額だよ!」

「今日水揚げされたばかりのかんぱちはどうだい!」

「お土産はいかがですかー!青龍様の姿を模した置物はどうですか、ご利益がたっぷりありますよ!」

街ゆく人たちに呼び込みをする人達

竜星「活気があって良い街だな」

エリス「うん、魔王が居てもこうやって頑張って生きる人たちが私達よりよっぽど強いよね。」

ティア「確かにそれは言えてるね、エリス、普通に生きていけるのが一番の幸せだしね。」アメリアパーティー加入後、早速ティアの親兄弟を救うため白虎獣神国に行くのだが、獣神国行きの乗合馬車はお昼過ぎごろに来るらしく現在首都観光で時間を潰している。

(ぐう〜)誰かの腹の虫が鳴いた。その鳴いた方向に目をやるとティアだった。

ティア「えっと、ごめん」

竜星「いや、別に謝ることじゃ無いから」

エリス「うん、でもそろそろお昼だよね。馬車はお昼過ぎに来るって言ってたし何か食べる?」

アメリア「それだったら私が良い場所を知ってます、追いてきてください」


アメリアにつれらたのは港町だった。

竜星「ここは港町か」

アメリア「はい、我が国は比較的気候も良く様々な魚が集まりますので漁業こそが国の財政を支えてる言っても過言では無いです。」

と、アメリアが誇らしげに説明してると

エリス「竜星、あれ見て」

急にエリスが話しかけてきた。何事かと見るとそこには漢字で魚丸と書かれた日本でもよく見る漁船が停泊していた。

アメリア「あれはこの港一の稼ぎ頭の方の船ですね、過去に勇者様ではありませんが異世界から転移者の方がこの世界に迷い込んでくることがあるのです。その時迷い込んで来たのはゲン=タマキという方で、その方が当時の港町の皆さんに自身の持つ技術、知恵、漁の仕方、毒魚の見分け方などを教え込み、そのおかげでこの港町はここまで大きくなったのです。」

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