第五話 勇者様と聖女様

俺達がギルドの扉を開くと多くの冒険者達で溢れていた。そしていかにもファンタジー世界お馴染みの職業らしき人たちも多々いる。戦士や騎士といった近接戦闘職から魔法使いや僧侶といった後方支援職等と様々だが中には忍者みたいな人がいたのは驚きだった。エリスも物珍しそうに辺りを見回していた。

竜星「エリス、あまりキョロキョロしない方が良い、怪しまれるぞ。」

エリス「あ、ごめん」

竜星「えっと、受付はあそこか」ギルドのカウンターらしきところの上の看板に「冒険者ギルド受付」と書いてあった。何故か日本語で。

竜星「すみません、冒険者登録をしたいのですけど」

受付嬢「はい、新規登録者様ですね。では、先ずこちらの用紙に当ギルドの規約などが書いておりますのでそちらをしっかりよく読んだ上で下の方にサインをして下さい。」

俺とエリスは受付嬢からもらった紙のギルドの規約や決まりごとをお互いしっかりと目を通してサインをした。

竜星(何だろう、何処となく日本のバイト面接の際に書かされたとき物に似てるな)やはりどこの世界でも契約書は必要らしい。

エリス「はい、サインしました」

受付嬢「はい、確認しました。では、次はこちらの鑑定の水晶に手をかざしてください、その水晶に表示されたステータスを元にギルドカードを発行させていただきます。」

竜星「エリス、先にやって良いぞ」

エリス「うん、じゃあ」エリスが水晶に手をかざすと水晶が銀色に赤色が混じった色、レッドシルバーに輝いた。

受付嬢「これは、個人の魔力を色として表す効果もあるのです。ですが、この色はかつてこの世界を古代の勇者様と共に救った聖女様と同じ色です。まさか、聖女様の生まれ変わりとか。」後半が小声で聞こえなかったが受付嬢が何かぶつぶつ呟いている。

竜星「あの、そろそろ俺も良いですか?」と竜星が受付嬢に問いかけた。

受付嬢「え、ああ!申し訳ありません!どうぞ」謝る受付嬢に促され次は竜星が手をかざした。すると今度は白金色に水晶が強く輝きそしてパリンッと音を立てて割れてしまった。

竜星「えっ?あ、えっと?ごめんなさい。」

エリス「ちょっと竜星!どうするの!割れちゃったよ!これって弁償しなくちゃいけないんじゃ....」エリスが驚きながらも狼狽え始めた。

竜星「あの!本当に申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ‼︎」と竜星は床を突き破るかのような勢いで土下座をした。受付嬢はポカンとしていた、多分放心してるのだろう。だが、すぐに同僚らしき人に叩かれて、はっ!と意識を取り戻した

受付嬢「まさか水晶を割るなんて、まさか、伝説の勇者様の再来なんでしょうか?」受付嬢がまた小声で何かぶつぶつ呟き始めたのでエリスが見かねて

エリス「あの、どうしました。大丈夫ですか?」と心配そうに受付嬢の顔を覗き込む。

受付嬢「えっ!あっ!はい!アメリアは大丈夫です!」とアメリアという受付嬢はあの某高速戦艦の三女のような返事をすると、

アメリア「リュウセイさんとエリスさんですね。水晶の方はですね、ギルドマスターにこの事を当人達から証言してもらわないといけないので、ついてきて頂けますか?」

竜星「は、はい」竜星はようやく頭を上げた。

エリス「大丈夫だよ、竜星、私も一緒に謝ってあげるから」

竜星「すまない、エリス」

エリス「良いよ別に、ただ後で私の我儘に少し付き合ってくれたら、だけど」

竜星「ああ、可能な限り付き合うよ。」と竜星とエリスが話してる間アメリアは、

アメリア(まさか、伝説の勇者様と聖女様だったなんて!ようやく、現れてくれたわ!預言師様がいった通りだったわ。あの、聖女様には悪いけれど、勇者様からは身をひいてもらいますよ。ふふっ、絶対に逃しませんよ。この私、アメリア=ヤマトの未来の旦那様♪」このアメリアという受付嬢、実はこの青龍東洋国の王女だったのだ。そんな事をつゆほどにも知らない竜星とエリスだった。この先更なる波乱が待ち受けてることに。

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