ラベンダー
本を読む時間は尊いものです。
本は私をその世界に引き込み、吹く風や気温、流れる生活音、登場人物の息遣いを感じさせます。時にそれは物語というボートに乗ってどこか遠くへ連れて行ってもらうような感覚で、私を夢中にさせるのです。
手のひらの中に物語が在るというのは、とても不思議な感覚で、本棚の中にたくさんの世界や時間が静かに並んでいるというのは、まるで4次元の棚がそこにあるかのようです。
単行本と文庫本、私はどちらも読みます。
持ち歩くときには文庫本が多いのですが、好きな本ほど、単行本で読みたいと思っています。
単行本はその美しい装丁とページの余白を通じて、その物語をもっとも適切な方法でやさしく閉じ込めているような気がするのです。その表紙をそっと開き、綺麗に並んだ言葉たちと出会う瞬間と、最後に、読み終えてそっと本を閉じるとき、その世界の余韻に浸る時間がこの上なく愛おしく、私はまた本を読むのです。
そして本を手に取れば、いつでも登場人物に会えたり、その場所へ行けたりすることも魅力のひとつです。読むタイミングが違うだけでまったく違う読み方ができたり、違う見え方になったりと、読み手自身の変化が影響することもあります。何度でも読み返したくなる所以です。
また、私は常に“まだ読んでいない本”が家に何冊もあります。これは私の読むスピードと読みたい本に出会う頻度の関係もありますが、私が昔、苦しくなったときに助けてくれたのが“まだ読んでいない本”の存在だったからです。すぐそこにまだ知らない世界がある、という事実は私を救うのに十分でした。
今日も私は、好きな本やまだ読んでいない本に囲まれて、穏やかに息をするのです。
【ラベンダー】
心身の緊張を解きほぐして
ストレスから解放してくれるハーブ。
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