第3話 間違い
これから大きなお金の取引を始める事にした。ボスはこの大きな取引を終えたあとは引退をするつもりらしい。
場所のセッティングは俺に一任された。失敗したら大変なことになる。
ボスには長年相棒を率いる女がいる。ボスの女だから、今まで狡猾に男を騙して、借金地獄にさせられた男は数知れない。
だがそれも今回の取引でボスと一緒に引退をするみたいだ。
「おう、どうなってる?報告しろ」
ボスがそういうと俺はこう答える。
「順調です。向こうのマフィアの方のボスにも1週間以内には日本に来ます。取引終えたあとはすぐにでも船が出せるよう手配済です」
「巡視艇は?」
「当日の動きは海外マフィアのボスの方角にはやって来ません。たとえ気づかれたとしても、巡視艇の範囲外になっている事だと思われます」
「なるほど、例え気づいたときにはすでに正確な位置を見失ってるってことか」
「左様でございます」
俺がそう答えるとボスは頷く。
「ところで今回の取引は穏便に行くぞ。血痕を残すような事はしたくない。しかもヘロインでの取引だから10億の価値がある」
ボスがそう言うと、10億という言葉で凄すぎて頭が混乱した。
「解りました!流石ボスですね!早速セッティングするので、お待ち下さい」
俺は喜んでそのセッティングをすることとなる。
―そして1週間後・・・
「ナンダココハ?」
海外マフィアのボスが言う。そうここは結婚式場を俺は取引の場所としてセッティングした。
「おう、どういうつもりだ何で結婚式場になってるんだ取引現場が?」
「え?ボス場所は結婚披露宴って言っていたから、結婚式場を取引現場にセッティングしたんです」
俺がそういうと、ボスの顔は明らかに呆れた表情で俺を見た。
「結婚、披露宴って・・・馬鹿かお前は!俺は血痕、ヘロインって言ったんだ!!血で争うな事はしたくないし、ヘロインだから慎重にという意味で言ったんだ!」
そう言ってボスは銃を引き抜き俺の頭めがけて撃ったが、銃口を向けられた怖さからか、腰が砕けた俺はその場に座り込み、見事紙一重で銃を躱す事が出来た。
「オマエタチハ、バカカ?コンナノ、トリヒキチュウシダ!」
だが、ボスが撃った銃声が原因となり通報をした式場が、俺を含めて駆けつけた警察官に全員逮捕されることとなった。
「オマエタチハメタナ。ユルサナイ!」
海外マフィアも俺もボスも相棒の女も全員逮捕された。
聞き間違えとは恐ろしいものだ。ここまで状況が一変するとは誰も思わなかったろう。
そのあと刑務所内ではボスには怒られ、酷い生活を送っている。
今までしてきたことの因果応報というやつだろう。トホホ・・・。
何で俺がそう聞き間違えてしまったのか原因としてボスには女がいた。だから思い込みで結婚披露宴などと聞き間違えたのだろう。
聞いたつもり。つもりが間違いの原因になる。これは誰しも言えること。
気をつけよう・・・。
あと自分の命が助かってよかった。生きてて良かった。
これからはちゃんと生きる事にするよ。
ー完ー
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます