9/9 落城

 9月9日。曇り。頭が痛い。低気圧だろうか。


 昨晩少し持ち直した反動なのか、今日は一段と気力が尽きている。


 午前中はがんばって郵便局にいった。そうしたらもう何もできなくなってしまった。ベッドに倒れ込んで、ぐるぐると色んなことを考えていた。考えたくなくても、余計なことは考えない方がいいとわかっていても、脳みそが勝手に考え始めるのだから救えない。

 家具の処分の方法、売れるもの、売れないもの、いつ売るか、どうやって回収してもらうか、何が一番負担にならないか、何が一番コスパがいいのか、散らかった情報をまとめなおす頭がない。

 役所にも後々手続きに行かなければならない。保険証と転出届をどうにかしないといけない。

 荷造りもしなくちゃ。

 その前に、本が届いたら発送も。未だに印刷所から発送の連絡はない。

 やることが重くのしかかってくる。心も体もどんどんしんどくなる。


 家財道具を一切引き払って実家に引っ込む、なんて、元気な時でも大変な作業なのだろう。今の自分にはなおさら重い。その上本のこともある。この先やらなければならないこと、考えなければならないことが次々頭に流れ込んできて、その重さで自分が潰れそうになっている。もう何も考えたくない。楽になりたい。


 こんなことになるなら、島に帰るなんて言わないで、こっちで生活できるよう、もう少しでもがんばっていればよかったのか。こんなことなら仕事を続けていた方がずっと楽だったんじゃないか。

 なんて、引き返せなくなってから考える。今の自分じゃ何もできなすぎて、色んな人に寄りかかって、色んな人を巻き込みすぎて、自分じゃ責任の負えないところまで広がっている。

 前回の移動だって大変だったのに、今回は私の生活全部を捨てて向こうに行かなければならない。それがどれだけしんどいのか、島に戻ると決めた時の私はまるでわかっていなかった。


 どうにかなるのだろうか。本当に。

 私にできるのだろうか。

 こんなに、毎日、何もできないと嘆いているだけの私に。

 どうにもならない気がして、余計に気分が塞ぐ。



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